第1話:暗闇に未来が見えバブルに乗った

文字数 1,994文字

 時田賢介は、1974年、伊勢原中学2年生の夏、友人2人と一緒に自宅からバスとケーブルカー乗り継いで約30分で阿夫利神社に到着した。そこで、実家の商売が繁盛を願ってきた。その後、厚木高校を経て横浜国立大学経済学部に合格し、経済の勉強をして大学を卒業した。大学時代に知り合った山室圭子さんと親しくなり1984年9月7日に結婚し、時田賢介は、将来のため証券口座を作り100万円を入金した。

 その後、毎朝、8時半、時田賢介は証券会社に電話した。10月22日、電話すると担当者が清水建設株の気配値が216円と安いと言うので4千株成り行き買い注文を出した。翌週、口座を確認すると86万4千円で買え口座残金が13万6千円となった。1985年になるとアメリカは債務国になった。その後は赤字幅は縮小したが対日貿易不均衡はあまり是正されず、日米経済摩擦は激しさを増した。

 1985年、日本のGDPが1兆3800億ドルで世界2位になった。年末、円ドル相場が200円を割れ1986年には150円へと急激なドル安円高となった。時田夫妻は、時々ハイキングに出かけ阿夫利神社の周辺を歩くと偶然、大山隧道と書いたトンネルを見つけた。その隧道に興味を持った時田賢介は、トンネルの中を歩いてみようと言った。しかし、奥さんは気味悪いと尻込みした。

 時田が俺一人で行くから待っていろと告げた。すると彼女が待っててと言い、後をついて来た。トンネルに入ると湿っぽく奇妙な臭いがした。構わず、時田賢介は、歩を進めたがトンネルが真っ暗で気味が悪いので懐中電灯をつけた。すると奥さんが気味が悪いと言い出した。少し歩を進めると時田賢介の脳裏に奥さんとの出会いとのシーンが浮かんだ。奥さんは、何となく、ぼーっとしていた。

 しばらく行くと出口になり強い日差しが入り眩しく感じた。すると奥さんが戻りましょうというので再びドンネルに入った。その後、時田賢介は、再び頭がぼんやりし、目の前に白髪交じりの中年夫婦の姿が見えた。幸せそうに公園の奥の海岸線を女性と2人で散歩していた。2人は、少し歩いてトンネルの入ると急に陽が差し込み、今まで見えていた画像がテレビを消した時の様に一瞬のうちに消え去った。

 奥さんも我に返った様でトンネルを出ると安堵の声を上げた。すると時田賢介が奥さんに海岸が見えたかと言うと奥さんが同じだわと叫んだ。しかし、あまりにも奇妙な出来事だったので時田賢介は、その後、誰にもその話をしなかった。その後、1989年になっても時田の奥さんに妊娠の兆候がなく、気になったので近所の産婦人科に奥さんを連れて行った。すると、奥さんは、子宮後屈で妊娠しにくいと言われた。

 すると奥さんは悲嘆にくれ、可愛そうになった時田賢介は、その後、子供の話をしなくなかった。1989年12月4日の朝、証券会社の担当者から時田賢介に電話が入り清水建設株が2500円と高いと言われ全株成り行き売り注文を出した。翌週、証券口座を確認すると口座残金が877万円となった。1990年2月21日、日経平均株価が1日で1161円下がり,終値が3万5734円になった。

 2月23日には、936円安の終値3万4891円,2月26日には、1569円安の終値3万3322円と急降下した。4月2日、日経平均株価が1日で1978円下がり終値が2万8002円になった。10月1日、日経平均株価が一時2万円割れたが翌日2677円の大幅に上昇した。1992年3月に2万円大台を割り最高値の約半値になり8月には1万4千円台まで急降下した。

 8月20日の朝も時田賢介は証券会社の担当者に電話して値を下げてる優良株はないかと聞くと東京精密株の株価が670円と安いと言われた。それを聞き1万株成り行き買い注文を出すと670万円で買え残金が207万円となった。1993年景気回復に入ったが一進一退であった。95年、円相場が1米ドル80円の最高値を付け、95年、山一証券の自主廃業など金融機関の破綻が相次いだ。

 97年、日経平均の安値は1万4千円台で止まったが消費税や社会保険料の引き上げなど性急な財政再建政策で弱々しかった景気回復は腰砕けした。貸し渋りと金融システム不安がピークに達した98年10月にバブル崩壊後の最安値を更新し、1万2879円まで下げた。大手銀行に対する大量の公的資金投入が決まって株価はようやく底割れを免れた。

 こうして99年12月30日の朝、証券会社から電話が入り東京精密株の気配値が16800円と聞き、全株成り行き売り注文を出すと売れた。その後、証券口座を確認すると残金が14587万円となった。そこで、横浜の山下公園近くの1LDK中古マンションを1億円で買い、入居し、2人は近くのデパートに転職し、有給休暇が貯まると2人で海外旅行に出かけ、末永く仲良く暮らした。<完結>
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