6-10 いたわり
文字数 1,195文字
そんな痛々しい
どうしても破れない結界に頭を押しつけて、星弥 がその名を呼ぶ。
それは詮充郎 が万全を期した防弾ガラスだったのだが、いとも容易く割れた。
その中から
目の前の光景に詮充郎 は目を見張った。
二体の遺骸は、
残された鵺 は咳き込むように息を吐いた。その口元から同じような鋭い形の石が飛び出して床に落ちた。
その何かはわからない三つの物体がチカッと光った次の瞬間、
それまで禍々しいほどに漆黒だった毛並は全て金色に、瞳も黄金に煌めき、まるで気高い狒々 のように穏やかな表情で立つ鵺 の姿があった。