1話 字コンテ

文字数 8,776文字

1話を想定した字コンテ。


基本的に文章の塊を1コマとしています。

1P



小川神一(おがわしんいち)の自宅の全景。中流家庭のごく普通の家。



2階にある神一部屋からスマホのアラーム音が聞こえてくる。



スマホ「ティリリリ・・・ティリリリ・・・」



 



ベッドの布団から手がニョキッと出て、スマホを器用に操作して、



アラームを止める。



神一「あと、5分。あと5分」



 



スマホの画面。アラームは7時5分、7時10分、7時12分、7時15分、7時18分と小刻みに設定してある。



 



神一「(朝の5分って、なんで愛おしいんだ。時間よ止まってくれ)」



 



2P



部屋の全景。高校生男子にありがちな、汚い部屋。



壁には映画のポスター、高校の制服がハンガーにかけられている。勉強机の上にはマンガ、ノートパソコン。



ちゃぶ台の上には飲みかけのお茶、参考書。



壁に立てかけられたギターは横に倒れている。



母親の声「神一! いいかげん起きなさい!! あんた、衣替え期間今日まででしょ、間違えて冬服着ないようにね」



母親の声「ねぇ、莉子ちゃん、お兄ちゃん起こして来て」



莉子「えーっ」



 



バンッ。



と神一のドアが開けられ、中学生の制服姿の莉子(りこ)が



「お兄ちゃん、いい加減起きなよ! 今日こそ夏服着なよ!」



 



ギターを布団の上に投げつける莉子。ゴフッ。布団越しに頭に当たる。



神一「ぎゃぁ」



 



3P



洗面所の鏡の前に立ってぼーっとしてる小川神一。



寝癖で髪ボサボサ。



神一「ふぁー」



 



顔をバシャバシャあらってる神一。



 



顔を上げた神一ののアップ。雫が顎からポタポタ垂れてる。



「なんか、急に空見上げたら、第9地区って映画みたいなでけーUFOいたりしねぇかな」



神一「(そしたら、俺が宇宙人と交渉しに行くのに)」



 



歯磨きしている神一。



洗面所に顔を覗き込む莉子。



莉子「あー、またご飯の前に歯磨きしてる!」



神一「どっちが先でも別にいいだろ」



莉子「風呂入ったあと、うんちしても平気なタイプだ」



神一「そーだよ」



莉子「汚ーい」



 



4P



朝食。配膳を嫌々手伝う神一。右に御飯、左に味噌汁。



母「あーもう! 御飯とお味噌汁逆! ご飯が左!」



神一「どっちでもいいでしょ」



母「駄目よ! 日本の心!」



 



テレビでは朝のニュースをやっている。



テレビ「私鉄めんたい鉄道、開業60週年を迎えました。



一度も事故が起きず、地元では安全神話がうたわれているめんたい鉄道の社長へインタビューを試みました」



社長「安全は技術だけではなく、やはり人が作り上げていくものでして…」



 



味噌汁飲んでる神一。



神一「(日本って平和だなぁ)」



莉子「お兄ちゃん、夜中にギターの音、聞こえなくなったけど辞めたの?」



神一「ん、まーな」



 



5P



神一「(ギターは駄目だった。才能なし!)」



神一「(ラノベも書けそうだったけど、



俺には向いてなさそうだ)」



神一「(でも、俺、なんか“持ってる”と思うんだよな)」



莉子「三日坊主だよね」



神一「(超能力とかかなぁ)」



神一「(うーん、わかんねぇや)」



 



神一の家の全景。玄関前に高級リムジンが停車されてる。



ブーッブーッとクラクション。



 



ご飯もぐもぐ食べてる神一。



女の子の声「し、ん、い、ち、くーん!! 迎えにきたよー」



 



6P



莉子、窓の外を見て、



莉子「あー、二階堂さんだ。愛だね」



神一「俺は嫌だって言ってるんだよ!」



莉子「変だなぁ」



神一「何が」



莉子「トーコも、ちなみも言ってたよ。お兄ちゃんはモテる要素が一つもないって」



神一「何っ。髪クシャクシャにしてやる」



 



立ち上がり、莉子の頭の周りをクシャクシャにする仕草をする神一。莉子、のけぞって、



莉子「や、やめてよ! キレイにしたのに!」



 



7P



玄関のドアがガチャっと開く。



 



出て来る制服(夏服)神一。



 



空を見上げる。晴天。



「UFOはなし、か」



 



神一の肩越しのカメラ。笑顔で手を広げてる二階堂あゆみ。



あゆみ「おはよう! さ、行こう神一くんっ❤」



 



無視して横をすり抜ける神一。



神一「行ってきまーす」



 



ガッとボディガードと運転手に両腕を掴まれ、連行される神一。



神一「は、離してっ」



 



8P



リムジンの後部座席。ふてくされてる神一。横には二階堂あゆみ。



二階堂あゆみ「フィアンセが登校中に事故にでもあったら、大変でしょ?」



神一「いや、勝手にフィアンセとかやめてくれる? 俺、電車の乗り方も知らないような非常識なやつと結婚なんて嫌だからな」



 



大きな川の橋を走るリムジン。遠くに見える鉄道橋の列車が並走している。喜々として自慢げに話し出すあゆみ。



あゆみ「あら、大丈夫よ!」



 



あゆみ「前にこっそり電車に乗ってみたの。ぬいぐるみ持った女の子が乗り方教えてくれたよ」



 



再び車内。助手席のボディーガードの男が顔だけこちらに向け



ボディーガード「あゆみお嬢様、勝手な行動は控えてください」



 



9P



二階堂あゆみ「説教はキライよ。私は花嫁修行してるんだから」



 



神一の腕に手を回す二階堂あゆみ。



二階堂あゆみ「ねー神一くん❤」



 



上の空で、車内から空を見ている神一。



神一「(UFO・・・来ねぇかなー)」



 



静淵(せいえん)高校の正門。高校生たちが登校してる。



 



10P



2年3組の教室。



 



神一は顔を真赤にして、机に立てたシャーペンに手をかざしている。



神一「(倒れろ・・・倒れろ!)」



 



神一の背後で、ちょっとチャラい男子生徒が、オタクっぽい太った生徒から写真を取り上げている。



チャラ男「なんだよこれ」



オタク「か、返してよ!」



 



望遠レンズで捕えためんたい鉄道写真。



チャラ男「お前、鉄オタってやつだろ。迷惑かけてんだってな。



ネットで見たぞ」



 



11P



オタク「ぼ、ぼ、僕はマナーを守って…」



チャラ男「ぼ、ぼ、僕はマナーを守って…んで?」



オタク「と、とにかく、かえしてよっ」



 



チャラ男は写真を高くかかげるため、オタクは手が届かない。



 



ガンッとチャラ男が神一の背中に当たる。



シャーペンの先が目に当たりそうになる。



神一「わ!!」



 



神一、ゾーッとする



「(今、目失う所だった!)」



 



12P



チャラ男「悪ぃ悪ぃ、こいつが暴れるからよ」



 



オタク、泣きそうな顔。状況を把握する神一。



 



神一「お前、それ返してやれよ」



チャラ男「は? お前に関係ないだろ」



神一「いや、そーいうの見てるとこっちがイライラするんだよ」



 



チャラ男、真顔になる。



 



ビリビリと写真を真っ二つに破く。



チャラ男「ほら、お前にやるから、好きにしろよ」



 



13P



神一「・・・・・・」



 



チャラ男「どうした、早く返してやれよ」



 



破れた写真を返しに行く神一。



「ごめん、俺が変なこと言ったから破られた」



 



その瞬間、ポケットに手を突っ込んだままチャラ男が背後から



神一の腰を片足で蹴る。



 



ガッシャーンと前に倒れる神一。



 



シーン、となる教室。



 



14P



二階堂あゆみが血相を変えて神一に駆け寄る。



あゆみ「ちょっと、神一くん大丈夫!?」



 



神一、鼻血が出てる。



神一「どけっ二階堂。今こそ隠された力を発揮する時!」



 



チャラ男、急に楽しそうになって



チャラ男「お、やる気?」



 



ポケットに手を入れながら、神一に近づくチャラ男。



 



と、誰かが足を引っ掛け、思いっきりこけるチャラ男。



 



15P



見上げると、笑顔の九条さとる。



九条さとる「悪ぃ、悪ぃ。でも、一番悪いのはお前だよ~」



 



チャラ男立ち上がり、九条の胸倉をつかむ。



チャラ男「なんだ、お前やるのか?」



 



九条、椅子から立ち上がる。その身長、185センチ。



見上げるチャラ男。(絶対勝てそうにないって表情)



 



九条の表情芽球に変わる。気迫ある表情。



九条「お前さ、ヤンキーしたいなら、そういう輩が集まったとこ転校しろよ」



九条「やってもいいけど、放課後にでもしよっか?」



チャラ男「・・・・・・・いや、もういいよ」



 



16P



九条さとる、オタクのところへ向かう。



九条さとる「それ、めんたい鉄道の『からかぜ』だろ」



オタク「ひっ・・・え、え、あ、うん」



九条さとる「俺も好きだよその列車。渋いよな」



 



遠くで一部始終を見ていた女子たちは九条くんカッコイーとか言ってる。



 



神一は二階堂あゆみにテッシュをつっこまれてる。



神一「(九条さとる。あいつ超クールで嫌味な奴って



思ってたけど、俺と同類だ。“持ってる”よ、お前)」



 



17P



学校の廊下。教室のドアの上に「進路指導室」の札。担任の先生の声が聞こえてくる。



担任「小川~これはマズいって」



 



進路指導室内。2つの机と椅子を向かい合わせて、神一と担任が向かい合ってる。



神一「何がですか?」



 



担任「実力テストの結果! もっとマズいのは志望大学が空欄って事」



 



神一「あー。



俺すごい才能あると思うんです。でも、それが何なのかはわからない。



だから志望大学書けないわけです」



 



担任、あきれてる。



担任「・・・・・・」



 



18P



担任「小川、お前が何かの才能あるかもってのは否定しないよ。



素敵なことだと思う」



神一「でしょ!? 先生もそう思うでしょ?」



 



神一のセリフを打ち消すように、



担任「でもな、それはそれとして、大学は決めろ」



 



進路指導室を出る神一。



 



神一「(なにが、それはそれとして、だ。あいつは敵だ!)」



 



廊下の奥では、九条さとるが2人の女子と楽しそうに話してる。



 



九条、神一が出てくるのを見ると、



九条「小川ー」



 



19P



神一「?」



九条「朝は悪かった。俺もあいつにはイライラしててさ」



神一「お前が謝る必要はないぞ」



九条「そっか!」



九条「以上!」



神一「じゃぁ、行ってよし」



 



女子のところへ戻ろうとする九条。



 



神一「あ、待って!」



九条「な・ん・だ・よ!!」



神一「つかぬこと聞くが、お前は進路って決めてるの?」



九条「・・・いきなり土足で踏み込んでくるんだな小川って」



 



20P



九条「俺は卒業したら、すぐ働く」



神一「えっ、学力トップなのに?」



九条「あー、先生には大学受行くって嘘つくよ」



神一「じゃぁ、どっか務めるの?」



九条「いや、起業する! バイトでためた100万が今株で500万になった。



卒業までに一千万貯める予定。起業したら2年以内に黒字化を目指す」



神一「・・・マジか。分かった。九条帝国作って独裁者になるんだなっ!」



九条「俺のためじゃないよ」



 



女子たちが九条くーん、と呼んでる。



 



21P



九条、超さわやかな笑みで、



九条「大金が必要なのは家族を養いたいからだよ」



九条「俺は家族が幸せならそれが一番なんだ」



 



学校の屋上。



 



学校の屋上で紙パックのジュースを飲んでる神一。



神一「(俺は今、UFOが来ても、ぜんっぜん驚かないぞ)」



 



先程の映像が頭から離れない神一。



その場でしゃがみこんで頭をかかえる神一。



九条のセリフ「俺家族が幸せならそれが一番なんだ」



神一「(まじかー。今世紀最大の衝撃発言だ)」



 



22P



学校の駐輪場。



自転車の鍵を解錠してる神一。



二階堂あゆみ、体ごと斜めに傾けて。



あゆみ「えっ。どういうことー?」



 



神一「今日は自転車で帰るわー」



あゆみ「じゃ、私も一緒に帰る!」



神一「また護衛のおっちゃんに怒られるぞ」



 



すでにスマホでリムジンの運転士に連絡取ってる二階堂あゆみ。



あゆみ「8時までには帰るから。何って花嫁修行!」



神一「・・・・・・」



 



23P



自転車を押しながら帰る小川神一と二階堂あゆみ。



神一はなんか怒ってる。



 



神一「あいつ、永ちゃんの「成り上がり」読んでないんだよ!」



あゆみ「何の話ー?」



 



神一「俺は将来、自分の才能で成り上がってみせるんだ! 自分のために!」



あゆみ「アタシ、応援してるね!」



神一「それがなんだ、あの九条さとるってやつは、家族のために稼ぎたいとか言うんだよ。信じられる?」



あゆみ「わたしもパパとママも妹も大好きだよー」



 



24P



はーっと、ため息をつく神一。



神一「二階堂はどうすんだよ、将来」



 



パーッと目を輝かせる二階堂あゆみ。



あゆみ「きまってるでしょ、神一くんと結婚する!」



 



神一「やだよ、二階堂一族に入るとか」



 



あゆみ「ちがうよ~。アタシが神一くんの家に嫁ぐの」



神一「え、じゃぁ、二階堂家は誰が受け継ぐの?」



あゆみ「まー、誰も受け継がないんじゃないかなぁ」



神一「そんなもんなの?」



 



25P



あゆみ「パパは、私と妹には好きにしろって言うよ。私達の幸せが一番だって」



 



神一「すげーな、お前んちの親父」



 



あゆみ「ライバルのいいなずけとか、いたほうが良かった?」



神一「知らないよ」



 



神一、ちょっと焦ってる。



神一「(あー、なんだかんだでみんな自分のやりたいこと見つけてるんだなぁ)」



 



26P



突然、大声を出す二階堂あゆみ。



あゆみ「あっ!!」



 



あゆみ「せっかく二人きりなんだから、素敵な所に連れて行ってよ。8時まで、まだ時間あるし!」



 



神一「えー、なんだよそれぇ・・・」



あゆみ「いいじゃなぃ、おねがい~」



 



27P



街が一望できる高台。夕日が街を赤く照らしている。



大はしゃぎの二階堂あゆみ。



あゆみ「わ~キレイ~素敵!!」



 



神一「ここは、俺の特別な場所だ。誰にも言うなよ」



あゆみ「二人の秘密ね! 嬉しい!」



 



神一に抱きつく二階堂あゆみ。



神一「ちょ、ちょっとやめろよ」



 



丘を降りようとする神一。



神一「せっかくなら、もっと街が見えるところまで降りようか」



 



が、行こうとする手をグイっとつかんで止める二階堂あゆみ。



 



28P



振り向くと、夕日に照らされた二階堂あゆみが真面目な顔をしている。



あゆみ「神一くん、アタシじゃ駄目かな?」



 



神一「えっ」



 



目を閉じる二階堂あゆみ。



あゆみ「し、神一くんしたいコト、しいいよ」



 



めちゃめちゃ慌てる神一。



ドキドキドキドキドキドキ。



 



スッと手を伸ばす神一。



 



29P



次の瞬間、手を思わず二階堂あゆみの胸に当ててモミっとする。



あゆみ「!?」



 



あゆみ「なにするの!」



両手で神一の胸を突き飛ばす二階堂あゆみ。



 



勢いで尻もちをつく神一。



神一「ご、ごめん。したいことしていいっていうから」



 



二階堂あゆみ、涙目。



あゆみ「信じられない!!」



 



30P



そのとき、二階堂あゆみの背後から、強いライトが照らされ、逆行になる。



大型トラックがスピードを出しすぎて、反対車線まで飛び出している。



 



神一「危ないっ」



神一は立ち上がると同時に、あゆみの腕を強く引く。



 



立てて止めていた自転車がトラックにぶつかり宙を飛ぶ。



 



31P



そのまま、丘をゴロゴロすごい勢いで転がり落ちる二人。



神一「(危なかったー トラックに轢かれるとこだったー)」



二階堂「きゃーっ」



神一「痛っ」



神一「(トラックに轢かれるトコだったー)」



 



神一「(痛い痛い痛い痛い)」



神一「止まらんっ」



二階堂「キャー」



神一「(二階堂の身体柔らかっ)



 



危険、と書かれた黄色いテープ。



その先に転がりつづける二人。



 



突貫で作った木でできた柵がぐんぐん向かってくる。きけん、の文字。



「神一「(これ、止まったら二階堂と身体が入れ替わる奴じゃないかー)」



 



32P



木の柵を勢いで突き破る二人。空中に放り出される二人。断崖絶壁だった。



神一「(えっ・・・)」



 



数十メートル下には道路が見える。落下していく二人。



神一「(待て待て、これ、ヤバいやつだ!)」



 



33P



ぐんぐんアスファルトが近づいていく。アスファルト上に大きな水たまりが見える。



 



神一「(まだ童貞なのに)」



 



神一「(死にたくないっ)」



 



神一「(俺がクッションになって二階堂助からないかな?)」



 



 



水たまりに激突しようとする瞬間、時間が止まり、3コマほど同じコマが続く。



神一「(ダメだ、死ぬっ)」



 



神一「(死)」



 



34P



3コマ目で、



神一「(ん?)」



 



ぬいぐるみを抱えた少女と目が合う。



 



ぬいぐるみを抱えた少女はニコっと笑う。



 



35P



少女「(私と 世界を変える 契約しません?)」



 



神一「(え?)」



 



少女「(もう、あと0.0004秒後に、あなたとお嬢さん、死にますよ)」



 



神一「(・・・・・・する! 契約する!! なんでもする!)」



 



少女「じゃぁ、1回目。時間を戻しまーす」



 



背景黒に白い文字



文字「グチャッ」



 



空が見える。死にゆく神一の主観だろうか。



 



少女が主観カメラに向かって顔を覗き込む。



少女「あ、言い忘れたけど、仏の顔も三度までですよー」



 



36P



地面に立っている神一。



神一「えっ? 何が?」



 



場所は、先程夕日を見ていた場所だ。太陽はすでに沈んでいる。



 



真正面に立っている二階堂あゆみ。



二階堂あゆみ「えっ?・・・」



 



ブワっと涙があふれる二階堂あゆみ。



 



あゆみ「神一くーん・・・」



 



バッと抱きつく。



二階堂「神一君っ 生きてるっ!」



 



37P



自転車で二人乗りしながら、坂を駆け下りる神一とあゆみ。



あゆみ「わたしたち、ゴロゴロってなったよね!」



神一「なった!」



あゆみ「で、高~いところから、落ちたよね?」



神一「落ちた!」



あゆみ「で、死んだんだよね!?」



神一「死んでない!」



あゆみ「良かった~」



 



 



神一「二階堂! 見たか! これが俺の隠された能力だ! 死んでもなんか、助かるってやつ!」



 



あゆみ「神一くん、すご~い!」



 



神一「(やった! ついに! 見つけてしまった!)」



 



38P



道路標識。左右が反転している。そのことには気づかない二人。



あゆみ「でも、すごいね、死にそうになると幻覚が見るんだね」



 



対向車。アメリカみたいに日本と逆の車線を走ってる。



神一「ばか、幻覚とかじゃなくて、俺の力だって」



 



左右反転している自動販売機。



あゆみ「でも、アタシまだ夢見てる気がする」



 



と、背後からパトカー。拡声器で



警察官「そこの自転車! 二人乗りはやめなさーい!」



神一「やべっ」



 



39P



慌てて降りる二階堂あゆみ。



 



パトカー車両の「POLICE」の文字が左右反転している。



パトカー「・・・・・・」



 



自転車を越して行ってしまう。



神一「ほっ」



神一「ん?」



 



神一から笑顔が消えて、



神一「俺、やっぱ夢見てるのかなぁ」



 



神一「二階堂さー」



あゆみ「何?」



 



神一「生でおっぱい触らせて」



あゆみ「・・・えっ」



 



40P



神一「俺、正~直に言うけど、夢で二階堂とHしたんだ。でも、俺したことないから、



なんていうの? 夢の中で、先に進まないんだよね。いい雰囲気になるところまでは



リアルで でも、そこからおっぱい触っても、感覚がないの。触ったことないから



空気つかんでるようで、ふわ~っと夢はそこで終わる」



 



41P



腰に手を当てて、うーん、と悩みまくる二階堂。



 



神一「頼む! 夢か現実かジャッジさせてくれ!!」



 



二階堂あゆみ、くるっと反対を向いて、背中に手を回し、制服に手を入れて



ブラのホックを外す。



 



あゆみ「一度だけだからね」



神一「はいっ」



あゆみ「(夢ならいっか)」



 



あゆみ「早くして」



神一「はいっ!」



 



もみっ。



神一「・・・!!!」



神一「この幸福感・・・ 夢じゃない!」



 



42P



カメラが引くと、お好み焼き屋の前にいる二人。だが、「お好み焼き」の文字は



読者にわかるよう、大きな文字で左右が反転している。細かいところまで



すべて反転している。



 



神一「じゃぁ…この世界は、“どこ”なんだ!?」



 



1話、終わり。



 

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