2-1 思い出せない夢

文字数 1,011文字

(夢の中)


「俺の世界は間違っていた」

 彼は自らの存在意義を、己に問う。

 その身を置いた世界は間違っていた。けれど、間違えたのは何より自分自身。

 

「あきらめるな、抗い続けろ!」

 君の世界は更に残酷だとしても、君には正しい仲間がいる。

 

「今は飲み込まれてしまうとしても、爪痕くらい遺せるだろう!」

 いつか、渡せる日が来るかもしれない。

 その時、君の世界が君にとって正しいものであることを願う。

 ……

(俺が、目覚まし時計で起きた……?)

 蕾生(らいお)が家を出るとちょうど(はるか)が迎えに来たところだった。
 え?


 え、ライくん、ウソでしょ?

 何が

 時間通りだろ

 ……なんてこった

 僕があんなことを話したばっかりに

 いや関係ねえから
 だいじょぶ?

 ちゃんと寝れてる?

 おう、ぐっすり寝た
 急に早起きしてみようと思った、みたいな?
 別に

 なんか自然に目が覚めた

 え……

 まじでゴメン……

 ──なんで?
 ライくんの精神に負担をかけてしまったから……
 んなことねえだろ
 話しておいてなんだけど、あんまり深刻にとらえないでね?

 考え過ぎたらダメだからね?

 考え過ぎるも何も、お前、まだほとんど話してくれてないだろ
 そうなんだよ、だから心配なんだ

 あれだけの情報でまさか不眠症になるなんて……

 そんなんじゃねえよ

 ぐっすり寝たって言ったろ

 ……
 (はるか)
 わかった

 ライくんを信じることにする

 お、おう
(昼休み、弁当を食べた後。中庭)
 とりあえず、ミッションそのイチ
 リン、ってやつのことだろ?
 そうリン!

 なんであいつ、あんなところに居たんだろ?

 アイツがいると思ったから銀騎(しらき)研究所に行ったんじゃないのか?
 ──と言うより、ほんとは別のことを確かめたかったんだよね
 何だよそれ?
 んーと、なんていうか……

 どうしよっかな……

(ジロー……)
 わーかった、話す!

 えっとね、ほんとはあの研究所に刀があると思ったんだよね

 刀?
 (ぬえ)を討伐した時に褒美として帝から賜った宝刀なんだけど

 銀騎(しらき)側に取られちゃってて⭐︎

 いつ?
 うーん、いつからだったかなあ

 結構前から


 直近だと2、3回くらい前の転生の時かなあ

 そんなに前から銀騎(しらき)研究所と知り合いなのか
 なんかいろいろややこしい因縁が出来上がってるんだよね、あそことは

 元は──


 ま、その辺はちょっと置いといて、リンのことを先に説明してもいい?

 あ、ああ
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登場人物紹介

唯 蕾生(ただ らいお)


15歳。男子高校生

怪力なのが悩みの種

九百年前の武将、英治親の郎党・雷郷の転生した姿


周防 永(すおう はるか)


15歳。男子高校生

蕾生の幼馴染

九百年前の武将・英治親の転生した姿


御堂 鈴心(みどう すずね)


13歳。銀騎家に居候している少女

英治親の郎党・リンの転生した姿

永と蕾生には非協力

銀騎 星弥(しらき せいや)


16歳。高校一年生

銀騎詮充郎の孫で、銀騎皓矢の妹

鈴心を実の妹のように可愛がっている

永と蕾生に協力して鈴心を仲間に入れようとする


銀騎 皓矢(しらき こうや)


28歳。銀騎研究所副所長

詮充郎の孫

銀騎 詮充郎(しらき せんじゅうろう)


74歳。銀騎研究所所長

およそ30年前、長らく未確認生物と思われていたツチノコを発見、その生態を研究し、新種生物として登録することに成功した


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