第1話 プロローグ

文字数 259文字

 真っ暗闇だ。目の前にあるのは、黒、黒、黒。押し寄せるような無数の黒が、わけのわからない音を発して責め立てる。
 嫌だ、嫌だ、嫌だ。近寄るな、触るな、話しかけるなっ。ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
 何を嫌がり、何に向かって吠え、誰に対して謝っているのか。自分でも訳が分からない。とにかく、もう何も聞きたくない。
 拒絶して直ぐに、耳は全ての音を遮断する。シンと冷え切った感情。ぼんやりとした脳内。時折体に触れるものは、小刻みに震えていて冷たい。なのに、導かれるように握られた手のあたたかさに僕は涙した――――。
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登場人物紹介

深沢 樹(ふかざわ いつき) - 主人公 双子の兄 文房具会社に勤める新卒


梶 早苗(かじ さなえ) - 樹が越してきたマンションの隣人

               ポニーテールがよく似合う快活な女性

結城 真也(ゆうき しんや) - 樹と同じ文房具会社に勤める同僚

                 お調子者で雑にみせて、気遣いのできる男

深沢一輝(ふかざわ かずき) - 双子の弟

                 小3の夏 事故死

健さん - ときわ商店街で金物屋を営む店主

      周囲から、健(けん)さんと呼ばれ親しまれている

      本人曰く、マルチプレーヤー。

マシロ - 樹の飼う うさぎ

      

おキクさん - ときわ商店街でお茶屋を営んでいる

         亡くなった息子に似ている樹のことを可愛がっている

        源さんの和菓子が好き

幸代(さちよ)さん - ときわ商店街でパン屋を営んでいる

            健さんと仲良し

増田さん - ときわ商店街で精肉店を営んでいる

       夫婦の言い合いが名物

みっちゃん - ときわ商店街にある老舗のおでん屋のお嫁さん

        情に厚く涙もろい

        義母の喜代さんと仲良し


喜代(きよ)さん - ときわ商店街にある老舗のおでん屋を営んでいる

           お嫁さんのみっちゃんと仲良し

           肝っ玉母さん

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