第１話

　この世には、二種類の人間しか存在しない。

　『成功者か、それ以外か』

　もちろん俺は前者だ。
　この前はちょっと恥ずかしいところをお見せしたが、それでも俺が万能の天才であることは、否定しようのない事実だ。
　だが、俺が天才かどうかは関係ない。
　これを読んでいるお前ら凡人に、俺だけが知りうる、とっておきの情報を特別に伝授しよう。

　だが、その前にいくつか条件がある。
　もし、俺の提示する条件を一つでも呑めないのなら、今すぐ読むのをやめろ。そしてすぐにブラウザバックするんだ。
　もし、この情報が外にもれたら、お前のかあちゃんに言いつけるだけでは済まないと思え。
　だが、これだけは忘れるな。
　今回は特別だ。
　俺がいつ気が変わって、口を閉ざすかもわからない。その時になって泣きついたところで、俺に救済の義務はない。
　それを踏まえたうえで、この先を読み続けてほしい。

　まず最初の条件は、今から公開する情報を決して他の人に話してはならない。
　もちろん、撮影やコピーもNG。USBメモリに記録するなど論外だ。要するに他言無用というわけである。
　理由は簡単だ。今から話す内容は、超Aクラスの極秘情報であり、選ばれし者にしか手にすることの許されない、金の卵だからだ。
　この情報さえあれば、誰でも俺やビル・ゲイツ、最近でいえば将棋の藤井聡太や、いとうあさこのような成功者になれるのは確実。だから、そう易々と第三者に漏えいされては困るということを理解して欲しい。
　本音を述べれば、この情報が誰の耳に入ろうが、俺は構わない。既に潤沢な資産があるし、地位や名誉もある。俺のような成功者が増えるのは、むしろ歓迎したいくらいだ。だからこそ、これを読んでいる者だけに、特例として伝授しようとしているわけだ。
　読者の中には、俺の名声を知らない者もいるかもしれない。
　だからといって己を卑下する必要はない。俺の身分は世間的には公表されていないからだ。俺の持つ、とっておきの情報を手に入れたい組織が世界中に存在するのだから、自ら命を危険にさらすわけにはいかないわけである。
　これを目にしているお前らは、最高のインフォメーションを知る機会を得た。
　感謝は俺にするな。これを目にするに至った幸運の神に捧げよ。