ダンボールの野良猫
文字数 280文字
木枯らしのダンボールにうずくまり
野良猫が眠っているのを
誰も気付かない
ただ空地にダンボールがひとつ
転がっていると思うだけ
この星空と凍りつく冬の荒野で
ダンボールの野良猫が見ている夢は
いつかわたしも見た覚えがある
待ち遠しい春のにおいのする夢
まだ土の中で眠る草の芽が見ている夢
海にとけた雪のかけらが
ゆらゆら波をただよいながら
また空に帰る日を夢見ている
そんな夢とおんなじ
寒さに目を覚ました野良猫の
夜更けのダンボールにしみついた
涙のにおいを誰も知らない
ダンボールにしみついた
夢のかけらを
誰も分かち合いはしない
夜が明けたら
また生きてゆくための
戦いがはじまる
ダンボールの野良猫
野良猫が眠っているのを
誰も気付かない
ただ空地にダンボールがひとつ
転がっていると思うだけ
この星空と凍りつく冬の荒野で
ダンボールの野良猫が見ている夢は
いつかわたしも見た覚えがある
待ち遠しい春のにおいのする夢
まだ土の中で眠る草の芽が見ている夢
海にとけた雪のかけらが
ゆらゆら波をただよいながら
また空に帰る日を夢見ている
そんな夢とおんなじ
寒さに目を覚ました野良猫の
夜更けのダンボールにしみついた
涙のにおいを誰も知らない
ダンボールにしみついた
夢のかけらを
誰も分かち合いはしない
夜が明けたら
また生きてゆくための
戦いがはじまる
ダンボールの野良猫