第3話

文字数 662文字

 ノーベル文学賞を受賞した作家の作品というのは、読んでみるとやはり、少なくともわたしにはおもしろい。一読してその優れていることは明らかである。
 と云っても、歴代受賞者の作品とおなじくらいのレベルのものは非受賞者(故人・存命問わず)の創作中にも数多ある。
 
 日本語の小説家にも今後の受賞に期待のかかる者が何人かいて、よく名前の挙がるのが村上春樹、多和田葉子、小川洋子、川上未映子、柳美里(韓国籍)ということになっている。

 村上春樹は存命でありながら母校(早稲田大学)に記念図書館ができているほどなので、もはや受賞などせずとも良いだろう。ノーベル賞など問題とならない、最高の作家人生を送っているのだから。
 いっぽう多和田葉子、小川洋子の受賞では早稲田(詰まるところ「私立大学」)初のノーベル賞とかいうくだらぬ方へ受賞意義がズレそうなところがあるし、その意味でも半端な印象がある。

 わたしとしては柳美里のノーベル文学賞受賞を期待している。
 なにもわたしは柳作品の熱心な読者だというわけではない。むしろ、記憶によれば彼女の作品は読んだことがない。
 どの文学賞もイベントなのであって、作品を公正に評価しようという姿勢のないフザケタものが多い。その中にあって、いろいろと批判される点もあるが、これまでの受賞者をふりかえってみれば、ノーベル文学賞はかなりマトモな賞である。
 そもそも理論上、文学作品の公正な評価など不可能だということがある。
 詰まるところ文学賞はイベントなのだから、せめて、よりインパクトの強い授賞をわたしは望むのである。
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