第2話:惑う歌姫の涙の色は
文字数 792文字
いつもと変わらない朝を迎え、奏と陽は近所の廃屋に向かっていた。
たどり着いた廃屋は元は民家だったようで、
ボロボロながらも生活感が残っていた。
奏はメモ帳に走り書いた。
けれど廃屋の中に入ってみても、奏にはなにも感じられなかった。
その後半日廃屋を探し回ったものの、特に成果は得られなかった。
それから奏は歌のよさを説こうと思った。
ところが。
歌のよさについて考えていた奏の目からは、涙がポロポロとこぼれ出していた。
勿論、奏の内心は大丈夫などではなかった。
廃屋に眠る声を探すどころか、奏は自分自身を見失ってしまった。
そしてその日の夜、奏は不思議な夢を見る。