赤リボンちゃんのとなりに

文字数 1,510文字

キャラクター 主人公
大空歩美(おおぞら あゆみ)ちゃん。七歳の女の子。早生まれ。
内気で大人しいがしっかり者。絵を描くのが好き。

キャラクター2
ボールの赤リボンちゃん。(ファンタジー)
元気でわんぱくな女の子のボール。
前の家で不要になり捨てられたが、歩美ちゃんに拾われ、明るい心を取り戻す。

あらすじ
小学校からの帰り道、大空歩美は道路わきにコロンと転がっているボールを拾った。家に帰ってきれいにしてあげると、
「わたしは(タマシイ)を持ったボール。傷を癒してくれてありがとう」
とお礼を言われ、二人は急接近。友だちになった歩美とボールはキラキラな楽しい毎日を過ごすけれど……?

ストーリー


大空歩美(おおぞら あゆみ)は、内気で小柄な女の子。早生まれのため周りの子と成長スピードがちがい、みんなについていけない自分に自信をなくしている。
ある日の下校中、道ばたに捨てられている傷だらけのボールを見つける。サッカーボールほどの、素材の柔らかい手触りに、歩美は親近感を覚えて家に持ち帰る。
泥を落としタオルで拭いてやり、自分が小さいころにつけていた赤いリボンを飾ってあげる。
するとボールは弾けたように喜び、嬉しそうにはねて歩美になついた。
それは命を持ったボールだったのだ。


歩美はボールを「赤リボンちゃん」と名づける。
赤リボンちゃんと一緒に遊ぶ歩美。毎日が楽しくハッピーになる。学校へも元気に通い、リアルな世界での友だちができる。
学校が楽しくなってきたころ、赤リボンちゃんが、私も学校生活をしてみたいと言う。
大人に相談しようと思った歩美は、両親に赤リボンちゃんを紹介したが、こわがられてしまい、赤リボンちゃんは「姿かたちがちがうだけじゃない!言葉が通じるのに怯えるなんてバカみたい!」と怒って外へ飛び出してしまう。歩美から離れていく赤リボンちゃん。
歩美、火がついたように泣き、生まれてはじめて両親と大ゲンカをする。
赤リボンちゃんと会えなくなった悲しさと寂しさから、自由帳に彼女の絵を描き始める。毎日のように描き続け、かなりの枚数になる。
ある日、学校の提出課題イラストに赤リボンちゃんを出したところ、最優秀作品に選ばれる。そのうわさを聞きつけた赤リボンちゃんは、再び歩美のもとに姿をあらわす。歩美は嬉し涙を流しながら赤リボンちゃんと熱いハグをかわす。


赤リボンちゃんと再会した歩美。もう一度一緒に暮らしたいと両親に相談する。
両親は渋い顔をして断る。赤リボンちゃんとあなたは生きる(しゅ)がちがうから私たちの家族にはなれないと言われてしまう。
赤リボンちゃん、何かを納得して再び歩美から離れ、外の世界へ旅立ってしまう。
歩美は、今度は泣かなかった。かわりに両親とあまり話さなくなった。
赤リボンちゃんの絵を描き続ける歩美。


時間がたち、歩美は十歳に成長した。身体も大きくなり、周りの子についていけるようになっていた。
学校への登校中、ふと、誰かの視線を感じた。
振り返ると、通学路の電信柱の陰に、赤いリボンをつけたボールがのぞき込んでいた。
歩美は、あのころのなつかしい思い出が一気によみがえり、七歳の女の子の気持ちに戻る。
「元気だった?大きくなったね」
「赤リボンちゃんのことを忘れた日はなかったよ。赤リボンちゃんがいてくれたから、がんばって学校にも行けて、友だちもできて、クラス委員にもなれたんだよ!」
「歩美ちゃん、おめでとう。ずっとあなたを見守っていたよ」
二人で一緒に通学路を歩く。学校の校門が見えてきたところで、歩美と赤リボンちゃん、見つめ合う。
二人でお互いに強くうなずいた。
校門をくぐる歩美。ちがう道へ進む赤リボンちゃん。
二人は別れた。
「また会おうね。いつか」


   了

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登場人物紹介

大空歩美《おおぞら あゆみ》


内気で大人しい性格だがしっかり者。

赤リボン


家庭用ボール。ファンタジー的な存在。

優しく扱われるとテンションが上がる。

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