叔母の死

文字数 340文字

 夢は人に話すと正夢にならない。そう聞いたから、わたしは叔母が死ぬ夢のことを誰にも話さず黙っていた。
 夢を見た三日後、わたしは母親から、健診で叔母にガンが見つかったことを知らされた。そのガンはあっという間に全身に転移して、叔母はその一ヶ月後に亡くなった。
 葬式のあと、わたしは叔母からの手紙を、まだ小学校に上がったばかりの叔母の娘から受け取った。
「入院中に夢を見ました。あなたが私と同じガンにかかってしまう夢です。でも幸いなことに、あなたの試した最後の抗がん剤が驚くほどよく効いて、あなたは命をとりとめました。私はほっとしました。あなたには、幼い子供をあとに残して無念のまま去っていく私の分も、どうか長く生きてほしいのです」
 その三日後の健診で、わたしはガンであることが判明した。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み