詩小説『地下アイドル』3分のドキュメント。全ての若者へ。

エピソード文字数 629文字

地下アイドル

スポットライトは眩しかった。地下と言われる暗闇照らすよに。

箱は熱気に包まれていた。なんとも言えぬ圧が、狭い劇場ひしめくように。

私は懸命に踊り続けた。このまま埋もれてしまわないように。

みんなが同じ声で、おんなじようなこと喋って、沸かしてる。

私だってそう。やりつくされてる現場。量産型なんだ。

ツーショット、握手、隣で注ぐ酒。線引きは曖昧になる。

これも売れてしまえば、報われる。報われると何度も唱えた。

私の背中をすり抜けた。
通行人がすり抜けた。

新たな流行が生まれ。
新たな新星が生まれ。

私の背中を追い抜いた。
新参者が追い抜いた。

時代に背中を撫でられた。
立ち止まれば泣いてしまうだろうと。

作り物だろうが、ほんものだろうが、笑顔は笑顔。見返り求めて振り撒いた。

憧れの人の、カードに消しゴム、下敷き。今や実家の引き出しに眠る。

夜の町。紛れていく雑踏。過ぎ行く人の群れ。空を見上げた。

卒業なんて体の良い言葉。私は歳を理由に追われるのだ。

この町になにを残したというのだろうか? この私になにが残るというのだろうか?

夢は煌めいた。煌めいたのは寝て見る夢だけ。なにか大事なものを汚して。

私の背中をすり抜けた。
あの日の私がすり抜けた。

新たなヒット曲が生まれ。
新たな懐メロが生まれ。

私の背中を追い抜いた。
あの日の憧れが追い抜いた。

時代が背中を貫いた。
この心を射抜くように。
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登場人物紹介

主人公はあなたです。それぞれの恋愛模様を『詩小説』で。

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