第1話 家族観について

文字数 1,821文字

 家族というのは難しい。血縁関係にある程、いら立ってしまいがちになり、心の距離が広がる時もある。たとえば、財産争いの時、分裂してしまうこともあるので決して良いものとも限らない。
 かと思えば、苦しくなった時、助け合うのも又血縁的家族の特徴なのでもある。しかし、これにも例外があり、自分のことしか考えない者はしばしば家族を犠牲にしてアルコール依存症、ギャンブル依存症、ドメスティックバイオレンスに走る傾向がある。特に借金など抱えていると厄介で後々家族は散々な目にあう場合が多い。奨学金などもそれに近く、収入が絶えると家族に迷惑をかけ、不和を招く元にもなる。血縁関係で一番良好な良薬は資本の持ち分によるものである。豊かな一族ほど問題は少ない。
 だが、これにも例外がある。資本が多いことは物質依存を引き起こし、心の交流を冷やしてしまう効果がみられる。社会的地位を保つ為に立派にしていなければならない。こういった体裁はしばしば子供達の心を蝕むのである。結果として引きこもりなどを増やしてしまうこともある。
 血がつながっているからといって理想を抱くのは酷なことでもある。
 他方で教会といった家族もある。これは宗教的家族である。これも又複雑怪奇の様相を呈している。心通わす兄弟の様な間柄もあれば、説教臭い年上の人間もいるから一概に言えない。ただ、言えるのは力関係さえ誤らなければ、それなりに良好な生活を送れる。ただ、問題は金なのである。教会といえども人間の組織である以上は必然的に資本がいる。もちろん、教会は資本が全てではないと主張するであろう。だが、だからといって資本なしでは立ち行かないのも現実なのである。宗教的家族はしばしば金銭が必要になるのを否めない。
 又、信仰上の理由で離反することも少なくない。ただし、教会は様々な教派があるので合うものを見つければそれなりに心地良い環境で過ごせる利点がある。
 更に精神的な兄弟として悩みの相談に乗ってもらうことも多いし、お互いに相談し合える関係も築けるのが強みだ。
 又、友人を家族とみなす考え方もある。これは友情的家族である。これは思春期に多い家族観である。友情は美しいものである。順調にいっている間は秘密を共有し、楽しい時を過ごして青春を送れる。これは後に人脈にもつながり、大きな力になることも多い。ただ、問題なのは裏切りである。裏切る気がなくとも裏切られたと感じたら友情的家族は崩壊し易い。これがきっかけで鬱や精神疾患を発症する可能性がある。
 福祉的家族も又存在する。これには当たり外れが多い。良いところに恵まれた人は幸せに暮らせるが、外れを引くと地獄を見る。障がい者に該当することが多く、今日では搾取されている場合も多い。又、肩身が狭いのも問題である。確かに国の財政で生きているのだから肩身は狭いのは致し方ない。問題はそれが非人間的扱いに結び付くかどうかなのである。今日に占める社会において障がい者の割合は社会の7パーセントを占める。これは宗教的家族、血縁関係家族、友情的家族においてさえも影響力を与える。
 どの家族にも一長一短はある。問題は自分がどの家族を重視することなのである。家族をないがしろにしていると後々つけを払うのは自分なのである。家族が障がい者だろうとも引きこもりだろうとも健常者だろうとも問題なのは自分がどうみるかなのである。
 神的愛はこれを差別しない。神的愛は人類そのものを家族ととらえる。だからこそ教会は今日まで家族として続いてきたと言える。
 私自身も血縁関係家族にも迷惑はかけたし、かけられたりもした。教会の兄弟姉妹に法律の相談をしたり、祈って貰ったり、援助物資を頂くこともある。
 相続争いで辛酸を舐めてきた。強かな親族に嵌められ、貧乏生活を送っている。恨み言は沢山ある。だが、妬みは妬みを呼び起こすことも知っている。
 だからこそ、これを読んで下さる方々へは家族というものをしっかり大切にしてほしい。普段から話し合えば、トラブルは回避し易いし、後悔も少ない。ストレスも溜まるだろうが、家族との会話も大切なのである。どの家族にも言えることがそれである。それでも駄目なら福祉的家族を利用するのも一つの手だ。
 家族という逃げ場を作って下さい。悪人からあなたを護ってくれるのは家族なのである。
 実に家族とは難しい。

                                   -了-
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