一、俺たちはこうして共著を始めた

文字数 9,504文字

『リアル人生ゲーム完全攻略本』発売記念座談会です!


いやー、よく考えてみてくださいよ。

おれと至道先生という、クセの強い、ぜんぜん作家性の共通しない作家がですね。

二人で仲良く一冊の本を書いてるんですよ?


こいつは一体どういうことなのか?

おまえら、裏ではケンカとかしてんじゃねーの?

実は担当編集が胃潰瘍で入院したんじゃねーの?


みたいな。そういう野次馬根性で見に来てください!

10月4日22時開始です(そして本書の発売日でもある!)


そうだ、カネの話もしようじゃあねえか。

印税の分配割合とかよォォ~~。

ども!

時間前ですが、軽くお知らせを。

昨日から、出版社ゴマブックスさんが前代未聞の新人賞『ゴマブックス新人賞』を始めています。色々ありえないのですが、かなり無茶な新人賞で、突破力がすごいです。


ここで紹介したのは、このゴマブックス新人賞は、もちろん小説もいけるのですが、ひそかに実用書や写真集もOKとしています。

ここで我々が議論するような新書・ビジネス書・実用書についても投稿可能な貴重な新人賞なので、ここでの共著のお話は無関係ではないです。

いや、考えてみれば、ビジネス書を投稿できる新人賞って他にないんじゃないですかね?


それだけでも貴重なのに、全投稿作POD化とか、ちょっと考えられないものまでついてきます。


ともかく皆さんも、新しい視点からの実用書を、どなたかと共著なさってみませんか?

そしてゴマブックス新人賞に投稿ですよ。

というわけで、軽めに自己紹介させていただきます。


至道流星です。

多方面に戦線を拡大中で、色々なことをやっているクリエイターです。今回の新書への参加もその一つですね。長らく事業活動もしており、それもクリエイター活動の一環かなと自分では考えています。

初めての方も、馴染みの方も、どうぞよろしくお願いいたします。

どもー、こんばんは。架神恭介です!
あー、ゴマブックス新人賞に共著で応募はぜんぜんアリっすね!
なんか上のほうでゴマブックス新人賞について軽めに紹介したんですが、ますますありえない感を今感じています……。POD出版化に目を奪われてましたが、実用書もいける新人賞と考えればかなり貴重なんじゃ……?
共著の何が良いって、お互いに監視(笑)しながら書くんでサボれないんですよ。

なので執筆スピードが速まりますね。

おれ一人だと今回の作品も二年コースでした。

そして、対話文形式の実用書であれば、(気持ち的に)簡単に作れるってのもありますよね。
みなさんこの機会にパートナーを見つけ、楽しく共著でゴマブックス新人賞に応募しましょう!

どっちにしろ原稿は残りますし、販売までされます!


そのためのキッカケ作りとして、この座談会が役立ってもらえば御の字ですね。

ぶっちゃけ自力でもやろうと思えば簡単にできるんですけど、Amazonで検索して自分の名前が出てきたら結構興奮すると思うんで、ぜひトライを!
おっと、肝心のおれたちの書籍の宣伝を忘れてましたよ、至道先生!
>対話文形式の実用書


実はこの、キャラクター会話形式の新書レーベルって作ってみたいと構想していたんですよね。

差別化できるのも重要だけど、もっと楽しく、気楽に、学びのキッカケができると思うのですよ。

架神恭介・至道流星共著


『リアル人生ゲーム完全攻略本』


ちくまプリマー新書より本日発売です!

全国書店にて販売中!!!

いやー、ぼくと架神さんの作風って、もうまったく全然違うじゃないですか。講談社BOX出身というところだけは同じなのに。

こんなに違う2人が、いったいどうして共著を出すまでにこぎつけたのか、この体験やノウハウは皆さんにとっても有用かなと思われます。普通、ほかでは見聞きしませんからね。

この要諦をどうやって言語化すればいいのか、やや難しくはあるんですよね。

まあ、ちょっと追々語っていきましょう。

架神さんのパートと、ぼくのパートの印象も全然違う。神と悪魔っていうくらい違う。これが共著になってるんですよ。

さて、最初の議題は


「共著」とはどのような過程を経て成立するのか?


ですかね。

今回は2日しかないんで、チャキチャキ進めていかなきゃーですね!

架神さん議題振りお願いします!

質問など投げてもらえましたら、ぼくもお答えする感じが、スムーズかなと思われますが、進め方もお任せいたします。

思い返せば一年前…………。


https://twitter.com/fladdict/status/775359352865632256


おれがこのツイートを筑摩の担当に見せたんですよ。

「ちょーおもしろくないっすかー。こういうので本書きたいっすー」みたいな。

>おれがこのツイートを筑摩の担当に見せたんですよ。


なるほど、ここが出発点だったんですね。

この図なら、ぼくが参加した最初の打合せで見せられました。

で、担当から本作のコンセプト「人生をゲーム化して攻略する」という示唆をもらったんですけど、結構、細々としたパラメーター分けとかを担当はイメージしていて、一方でおれはもっと人生全体を概念化したみたいなのを考えてたんで、微妙に話が合わなくって、一時、横に置いてたんですね。


「まあ、ちょっと、ヒマになったらやります」


みたいな。(↑こういうのはよくある)

※おれに都合よく改竄された可能性のある記憶なので、「いや違うぞ」という関係者の方はツッコミを入れて下さい。
ちなみに、ぼく(至道流星)のほうは比較的最近声をかけられて参加した側なので、架神さんとの記憶を共有していない部分が多いかもです。念のため。
で、そうこうしているうちに、おれと至道先生がトークメーカーを始めるじゃないですか。


おれと至道先生の間にパイプができた、ということを知った担当が、「至道先生の著作は昔から読んでて、仕事を頼みたかったから紹介して」と言ってきて、3人でメシを食ったノリで、この企画が再誕したわけです。


あってます? 至道先生。

そうですね、筑摩の編集者さんが、昔からぼくの著作シリーズを読んでくださっていて、「いつかお仕事を」と考えてくださっていたのはお聞きしています。合ってます。
筑摩の担当さんがよく議題に上げてくださったのは、『羽月莉音の帝国』シリーズですね。

このシリーズは、いずれ来る未来の政治経済金融を描いたものだったのですが、資産税などが絶対に必要だと書いていたんですよ。そもそも主人公らの目的は、資産税を主体にした新しい世界システムを打ち立てることでした。ピケティとかが話題になるかなり前で。

それが筑摩の担当さんが興味を持ってくれた大きな部分だったようです、たぶんですが。

ここでTipsが一つ。


あなたと仕事をしたい編集者は実はいるかもしれない。だが、機会がなければ顕在化されない。


次回開催予定のコネクション座談会にも繋がる話ですけど、向こうも「一緒にやりたい」という気持ちを持っているのと、「実際に接触する」というアクションにはやっぱり隔たりがあるわけです。


おれとのパイプなんて本当にきっかけですよ。

実際は担当は至道先生にメール一本出せばいつでも同じことができたはずだけど、おれという「ほんのちょっとしたきっかけ」が必要だったわけです。


これがコネだ……。

で、このコンセプトを元に何回かディスカッションしたんですよね。


今の役割分担っていつ決まったんでしたっけ?

なんか序盤のうちは、この作品の目標(「人生の勝利者」とは何か?)についてだいぶ議論してた気がします。


「リアル人生ゲームを作ろう会議室」


かなり序盤のタイミングで、これを作ったんですよね。

でも、この会議室は、これ自体の運営が難しかった(笑)

>あなたと仕事をしたい編集者は実はいるかもしれない。だが、機会がなければ顕在化されない。


すごく重要な点ですね。

「この作家と仕事したい」と思っているんだったら、すぐ連絡すればいいだけだと、多くの人は受け止めるはず。でも、そうじゃないんですよ。実際に連絡なんてもらえなかったんだから。


ぼくも、僭越ながら、色々な人を経由して、「至道と仕事したい」というお話を「どこどこの編集が言っていた」と聞くことがあります。でもね、誰も連絡なんてしてこないんですよ!

これについてはぼくも100倍くらい書きたいことがありますが、なぜか皆さん「コンタクトする」という行為にまで及ばない。

> なぜか皆さん「コンタクトする」という行為にまで及ばない。


単純にエネルギーだと思いますよ。

「小説を書きたい」と思うのと、「実際に一本書く」の間には巨大な隔たりがあるのと同じで、実際に連絡を取るのには初動のための多大なるエネルギーがいるんだと思います。


あと、編集者としても、依頼するからには相手の著書を結構読んでおかなきゃいけない、と思うでしょうし。

>「リアル人生ゲームを作ろう会議室」


ありましたねえ、そんなものが!

これ、今だから言えますけど、ぶっちゃけ完全破綻してる感じでしたよね。

ぼくと架神さん、ぜんぜん噛み合ってないし!

おれ、もっとぶっちゃけた話を今からしようと思ってるんですけどwwwww
でもまあ、「リアル人生ゲームを作ろう会議室」も、部分的には幾つかのアイデアが得られましたよね。本書において「タイプ」として描写された概念とか。


で、なんか埒が明かねーんで、もっかい集まって、3人であーだこーだ、言って。


ここから、おれ、記憶がスゲー曖昧なんですけど、なんか分からんけど、とにかく書き始めてみよう、みたいな感じになったんですよ。

なんでよく分かってないのかっていうと、ですね。


…………ぶっちゃけ、


至道先生と担当が何を書こうとしているのか全く理解できなかった。

>単純にエネルギーだと思いますよ。


自分はちょっと特殊な体験をしてます。

一緒に本を出してきた編集者さんとの昔話ですが……その方は、どうしてもぼくの本を出したいと思ってくださっていたらしいのですよ。編集者になって一番最初に、ぼくの本を扱いたかったようなことを仰っていました。

それなら、別に「コンタクト一本してくれればいいじゃん」と思うのですが、そうじゃない。その方は、ぼくを担当している他の編集者に根回しして、周辺を色々考えたうえで、慎重すぎるほど慎重に、おそるおそるといった感じでコンタクトしてきてくださってんです。話を聞く限り、かなり無駄に時間を経過していたはずです。


このケースなどでも、ぼくのほう、普通に直接連絡もらえれば、前向きに考えるんですよ!

その担当者さんが根回ししていた編集者さんとは、ぼくはそこまで親密ではなかったので、むしろストレートに直接アクセスしてきてもらったほうが良かったんです。どうして皆さん、作家に直接、気軽にコンタクトしてこないのでしょう?

その辺は、編集者さんに聞かないとわからないですね。

>至道先生と担当が何を書こうとしているのか全く理解できなかった。


架神さんが「ぼくの執筆内容」を、まったく理解できていなかったことを、ぼくは察しておりましたよ。そのぼくのほうの理解を、架神さんも理解していたのではないでしょうか。

こんがらがってきましたが、ニュアンスが伝われば。

まあ、これ、どっちかつーっと、美談だと思うんですけどね。
当時は言語化できなかったんですけど、今なら言語化できる。


本書はおれが哲学的な「説明書」パートを書いて、至道先生がビジネス的な「攻略本」パートを書いてるんですが、かなり長い期間、おれは本書は哲学的な書籍になるもんだとばかり思ってたわけですよ。完全にそういうイメージでいた。


なので、至道先生と担当が今の方向に舵を切った?(最初からそのつもりだった?)時は「なんか急によく分からん話をし始めたぞ」みたいな感じでボンヤリしてました。



そんなボンヤリした感じで最後まで進められたのは、ある意味、至道先生と今の担当だから、ってのがありましてですね。


普通は良くないですよ! ちゃんとコンセンサス取って、三人でコンセプトを理解し合って、みんなで同じ方向を向いて作るべきですよ……!



でもまあ、いっかな、って。



至道先生とうちの担当がそれで行くっつってんだから、まあ、まとまるんだろう、みたいな。

わかりますね。


★架神さんは哲学面からの考察を形にしたかった。

★ぼくは哲学もゲームの一環だと考えていた。


基本はここで噛み合ってなかったかもしれません。

この辺は完全に信頼オンリーですね。

「なんかよく分からんけど、この二人がそれでいいっつってんだから、いいんだろう。このままいこう」みたいな。


これ、初めて組む担当とか、知らない作家との共著だったら、もっと絶対食い下がって意地でもコンセンサスを取ろうとしましたね。


でも今回は「なんかよく分からんけど、まあ、いっか」って。

((最悪、めちゃくちゃ混乱しても、おれの腕力でなんとかできるだろう、という気持ちもあった))
>まあ、いっか


すごいわかります。しみじみと。

これ、実際に渦中にいないとなかなかわかりづらいニュアンスかもしれません。

ぼくも、かなり多くの部分で、架神さんがそう考えるなら「まあ、いっか」というスタンスでしたよ。

なんつーか、どんなに混乱しても、最悪、三人のうちの誰か一人が強権発動すれば、そのうちの一人の腕力で、何らかまとまったモノにはなる、みたいな感覚ありましたね。


ただ、これはあんまり、皆さんの共著執筆の役には立たないかもしれないw

筑摩の編集さんが興味深いことを仰っていました。


「共著主同士が互いに直接やり取りすると、角が立ちまくって、相手とすり合わせることができず喧嘩になる。普通は編集が間に入って調整する」

みたいなことを。


それで、さらに仰っていたのは、

「でもまぁ、架神さんと至道さんなら直接やり取りしても大丈夫ですよ」


だから編集さんは、「まあ、いっか」という精神がお互いにあることを、わかっていたんだと思います。実際、架神さんもぼくも、そういう謙虚さは持ち合わせているような気がしております。

基本的に全体のバランス調整、ディレクションは担当の仕事なんで、んで、担当の力量はもう絶対的に信頼してるんで、「おれにはよく分からんが、全体を見ている担当が大丈夫だっつってんだから、大丈夫だろう」みたいな感じですかね。


この辺は「無責任」ではないんですよ。最悪、おれ一人になっても商品のクオリティには責任を持つんで。まあ、うちの担当は本当に任せとけば大丈夫なんで、今回も大丈夫だったわけですが。

> 実際、架神さんもぼくも、そういう謙虚さは持ち合わせているような気がしております。


この辺は、お互いにトークメーカーで色々やってきたのが蓄積になってる気がしますね。

ていうか、今にして思えば、おれが至道先生の著作を少しくらい読んどきゃよかった!

そうすりゃ、打ち合わせの段階で至道先生が何を書こうとしているのか、もっとハッキリ見えたはずなのにね!


おれたちお互いの著作ぜんぜん読んでないもんな!

Tipsその2。


お互いの著作をぜんぜん読んでなくても共著はできるけど、読んどいた方がいいぞ!

基本的に、今回の編集さんは非常に優秀だったというのもありますし、

ぼくは架神さんの仕事ぶりを見て、改めて優秀なクリエイターだなぁと感心しましたよ。


ぼくとの違いを上手く挟み込んで、上手いこと締めたのは、架神さんの手腕でしょうね。

で、お互いに書き上げたものを通して見てみて、おれは「なんかゴタゴタしてるな」「書籍としての一貫性が……」「このままでは一冊の本としてはまずいぞ」と思ったんですよ。そこでおれは……

「まあ、いっか。担当にブン投げれば、なんとかするだろ」


と思って、担当に「なんとかして」って言ったら、「じゃあ、幕間を入れて調整しましょう」みたいな感じになって、言われるままに入れてみたらスッキリ一貫性が出来て、「ああ、うん、やっぱうちの担当はなんとかするな」みたいな。

まあ、そんな感じですね。
なんかね。


自分で書いてて思ったんですけど、おれたち、思った以上にプロっぽい動きをしてて、あんまり皆さんの参考にならないかもしれないな、これ……。


「コイツはここまでのことはできるやつだ」


みたいな信頼が互いにあるので、適当に仕事を押し付け合えば、あんまり悩むことなく、なんとなく成立するという、そういう感じ。

自分の記憶違いかもしれませんが、幕間はちょっと挟む設定じゃなかったでしたっけ?


たぶんその話が出たタイミングで、上記で架神さんが書いたような混乱があったと思うんで、架神さんはいったんリセットしたのかなと想定します。

そのなかでまた幕間の話が、編集さんを通して再提示されたのではないでしょうか。

ど、どうでしたっけ……?


ほんの数ヶ月前の話なのに、もうあんまり記憶に無い。

なんかちょろっと手を入れたら、巧いこと一貫性が出て、良かった良かった、みたいな記憶なんですが。

>「まあ、いっか」精神


繰り返しになりますが、これが一番重要だと思います。

本文については上で書いた通りですが、もっともっと、この精神が必要な事情が周辺にさまざまあるんですよ。


一番わかりやすいのは、「どっちの名前を上にするか」とかでしょうか。ぶっちゃけ上のほうが圧倒的に目立ちますし。


あと印税ですよね。文字分量で決める方法がシンプルですが、自分はそういう細々しいことはしたくなかったので、最初に決めた通りばっさりいきました。文字分量は少しぼくのほうが多めではないでしょうか。


こうした周辺事情は色々あって、どれも多くの作家さんは気になるところばかりのはずですが、自分はぜんぶ「架神さんなら、まあ、いっか」でしたよ。

お互いに、この精神があるかどうかが、共著後も仲良くパートナーシップを組んでいけるのかにとって切実に重要かもしれません。

至道先生、おれ的にはこんな感じなんですけど、読者の皆さんに提示できる共著のコツみたいなのってありますか?
あ、もう書かれてた。
> 一番わかりやすいのは、「どっちの名前を上にするか」とかでしょうか。ぶっちゃけ上のほうが圧倒的に目立ちますし。


あ、これ、今おれが上になってんの……。

すいませんね、テヘヘ。


まあでも、別にどっちが上でも特になにも言う気はないっすね。

文字分量的には至道先生の方が割合大きいんですけど。

22時過ぎたんで、一般ユーザーからの書き込みもお待ちしてますー。
しかし、「まあ、いっか」って、一般の人に勧められるのかなぁ。

少なくとも誰か一人がガッチリとハンドリングして作品のクオリティに責任持たなきゃいけないんですよね、普通は。


おれたちの場合は、まあ担当がやるだろう、みたいな気持ちがあったんですけど、それは「ケツを叩く必要もなく、あの人はできる」みたいな信頼があったからで、一般の人たちが「じゃあ今から共著しましょっか」ってなった時に、「まあいっか」できちんとしたものが成立するかどうかは分っかんないな~。

共著で重要なのは、もうホント、架神さんの指摘通り、「まあ、いっか」精神につきますね。

とくに作家はこだわりがメチャクチャ強めの人種なので、絶対に譲らない人が多いんです。多すぎます。びっくりしますよ。


自分は作家である前にビジネス人だったので、妥協もしますし、折り合いをつけていくのも重要な仕事です。だから、何もかも許せるんですよ。許して受け入れないと、事業が何も進まないですからね。

そういうスタンスで、作家もやってます。

今回は共著に焦点を当てていますが、対編集さんに対しても、ぼくは基本、同じスタンスで向き合っていますよ。

おれたち二人は「まあ、いっか」だったけど、担当は実はめちゃくちゃ頑張ってたのかな。




…………いや、そんな風には見えないな。

これは共著の話ですけど、対編集さんに対しても、同じような心持ちが必要なのかなと思います。

また、普段の人付き合いにおいてさえ!

これが出来ない人が多すぎる!


だからぼくが作家方面でパートナーシップを結べると考えて、受け入れて、「まあ、いいか」精神を持って臨める貴重な相手が架神さんなんですよ。特殊な人々の集まりである作家業界において、それが出来る珍しい人なので。

>しかし、「まあ、いっか」って、一般の人に勧められるのかなぁ。


ぼくは大いに勧められるかなと思います。

共著のみならず、「まあ、いっか」と相手を受け入れられる心の余裕がある人は、どんどん本物の人脈を広げていけます。

クリエイターの方は、自分のこだわりをいったん脇に置き、ゆっくり世界を見渡してみる時間を持ったほうがいいかもです。

これねえ。


今度、「10年お金に困らない生活をする漫画家ビジネススキル講座!」でも話をすることになると思うんですが、交渉ってイチかゼロじゃないんですよね。


「その条件は嫌ですから、この話は無かったことに」ではなくて、「その条件は嫌ですからこうして下さい、そしたらやります」っていう摺合せとかが本来必要なんですが、クリエイティブ方面しか技術を伸ばしていないわれわれ作家は交渉という概念が希薄なんですね。


かくいうおれも、キャリア10年以上あるのに、この概念を持ち始めたのはつい最近の話です。

しかし、至道先生、おれたち三人の場合は、三人が三人とも、


「まあ、いざとなったら、おれがなんとかしてやるわい、ガハハ」


と思ってたから、色んなことを「まあ、いっか」で流してたと思うんですが、そういう「最後の一線でおれがクオリティを担保する」みたいな気概が、「まあ、いっか」には必要だったりしますかね?

自分の才能を信じ切っているクリエイターさんって、プロでも、デビューしていない人でも、結構いると思うのですよ。だから心に余裕が持てなくて、周りを「まあ、いいか」で見ることができない。

あまりにそれが強い方を見ると、自分は何も感じず怒りもせず、静かにスルーさせて頂くだけですね。


でも世界は広いし、上には上がいるし、分野がわずかに違えばあなたの能力なんて無価値なのだし、色んな物事を知れば知るほど、「まあ、そうだよな~」と何もかも受け入れられるようになるかもしれません。自分は何でもアリというスタンスですが、何もかもを受け入れているからですね。核ミサイルが降って来たって受け入れるとどこかで書いたことがありますが、別にって感じです!

>「最後の一線でおれがクオリティを担保する」みたいな気概が、「まあ、いっか」には必要だったりしますかね?


どんな方向でも、何とかなりますからね。

そもそも、絶対に「共著」をごり押しする必要性すらないわけです。選択肢は無限にある。互いに書いてみて、「これは別々の本にしよう」という選択すらあるわけで、自分に責任感があって、関係者と誠実に話を付けていく気概さえあれば、落としどころはゴマンとあります。

なんとでもなるものなんです。

ああ……。なるほど。


共著を解除するという選択肢すらあったんですね。

それは盲点だった。


確かにそこまでいけば「まあ、いっか」も極まりますね。

Tipsその3。


いざとなったらおれの単著になってもクオリティは担保できる、という気概があれば、「まあ、いっか」が極まる。


スゲー話だな……。

キリがいいので、次のエピソードへと移動しましょう!
あと前にも「いつか架神さんとの共著は残したいっすね~」くらいの与太話をしていたように記憶しているんですが、今回のタイミングでそれが出来て満足していますよ。

共著後も、互いに何の変化もなくいられているんだから、ぼくらのパートナーシップは堅いです。証として残せたものもある。それで、いいんじゃないですかね~。

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登場人物紹介

架神恭介


作家、漫画原作者、ライター、ゲームデザイナー。

最近はオンラインサロン経営、ならびにそれに伴うイベント運営が多く、職業を聞かれると「作家…………あ、いや、イベンターかな……」ということも多くなってきた。

至道 流星 (しどう りゅうせい)


小説家、システム開発、会社経営などに携わる兼業クリエイター。

小説、ビジネス書、漫画原作など50冊ほどの著作がある。海外翻訳も多数。創作者というよりビジネス色が強いクリエイター。


◆主な著書

小説『大日本サムライガール(全9巻)』『羽月莉音の帝国(全10巻)』『破滅軍師の賭博戦記』

(※そのほか多数!)

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