第7話 ✿ 背徳の返事

文字数 529文字

振られることは……覚悟しております

返事に困るテレサに、アルバートの優しい声がかけられた。


見ると、いつもの険しい顔がおだやかにゆるめられている。

誠に申し訳ない・・・。二年も、こじらせた恋だったのです。


この街への赴任が決まった時、あなたにまた会えると、私は嬉しかった

二年も・・・

はい・・・。けれど街に着いてすぐ、あなたは修道院の高い塀の向こうにいて、用がある時以外、修道女は頻繁に街に出てこないと知りました・・・


あの日、偶然にも、すれ違ったのがあなただと分かってあまりに嬉しくて…。


今をのがしたらもう二度と想いを告げる機会がないと思った

アルバートは深く頭を下げた。
私の失礼を、どうかお許しください。シスター・テレサ

長く静かな時間が流れた。


 パタ・・・パタ・・・


 落とし物の置かれた机に、雫が落ちる。
し・・・シスター・テレサ? 涙が・・・
涙をぽろぽろとこぼすテレサに、アルバートはあたふたとした。

あなたを苦しめてしまいましたね。


修道女のあなたに。私はなんて背徳を…

いいえ・・・いいえ・・・
テレサは手の甲で涙をぬぐいながら、首を横に振った。
私こそ……背徳者です
テレサは声をしぼりだす。
私は……嬉しいのです。アルバートさん
そう言うと、彼の制服のそでを、そっとつまんだ。
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登場人物紹介

シスター・ガブリエラ


本名:メアリー・デイヴィス

ルーク・リンフォード


伯爵卿の息子。

シスター・テレサ


修道女。負傷兵アルバートの手当てをした。

アルバート


 元軍人。顔が怖い。

 戦後、警察官になる。

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