第５話　なに…

なに してんの？
気になるなぁ
同じ夜の下　寄せあう肩もなく
寄せては返す 波の中

にべもなく 身もフタもなく
ワッタッシ、ハ、ダレデショネ
頭のなかへ旅に出る
はりつめた空気　よどんだ日常
なまぬるい春など 来ないほうがネ
願ったところで 春は来る
頭のなかに 春が来る

ぬん、と一閃
気合を入れて 殻を割る
届いたろうか
届いたろうか
この気持ち
文字に詰めて 送りました

ねぇ、何を見ているの？
彼女が聞くので 答えます
何を見ていたの？
彼が聞くので答えます
ひとつになれず
ふたり、それぞれの窓から
それぞれの景色、見てました

「のん、のん」と 青い目をした異人さん
「一回いっても 百回いってもノンはノンだヨ、ノン！」
売り言葉に 買い言葉
のっぴきならぬ空気になって
ふたり、つめたく別れます
黒い目　茶の目　ぐるりと回って地球の目　
ミンナ、異人デシタ
そう気づくまで
かかった時間　五十年