第14話  ボーイとなる

文字数 1,420文字

 琢磨は高校を卒業してから、新宿二丁目のボーイズバーで働いている。
 夜は8時から店に出て朝3時まで働き、その後新聞配達のバイトをしてから明け方に帰り昼間は眠る生活だ。
 家は下町でスナックを経営している母の優子も、やはり明け方に帰ってきて朝方に眠る。
 琢磨が5歳の時に優子は離婚して、上野でホステスをしていた。
 その頃は同居していた祖母が家事をしていたが、琢磨が小学二年生の時に亡くなった。
 ホステスと言っても、愛想が悪いので中々太い客はつかなかったが、顔が可愛かったので人気はあった。
 その中の一人が優子のパトロンになり、スナックを始めることになった。
 その愛人もバブルが弾けると、優子と別れ店だけが残された。
  見た目は綺麗だが、元々ヤンキーなので来る客は殆どがブルーカラー族だ。
 それでも、女子大生のアルバイトを何人か雇い細々と店を続けていた。
 祖母が死んだ後は店のつまみの残りが食事となり、掃除洗濯などの家事は琢磨の仕事となった。
 このボーイズバーも、母親の客の紹介で働き始めた。
 高い時給とは言えないが、年の近い子が多く気を使わないので働くのも楽だった。
 チップを貰えることもあったが、お金は別の方法で稼いでいた。
  琢磨も入学金は何とか稼ぐことができたが、長くパリに住むためにはもっとお金が必要だった。
  稼げるからとホストにも誘われたが、身につける物にお金もかかるし売掛金を立て替えるのが嫌で止めた。
 バーは制服があり、勤怠も緩くてゲイが多かったことも理由の一つだ。
 お金が必要なら、立ちんぼをすればいい
 それを教えてくれたのは、同じ店のボーイだ。
 琢磨は過去に嫌な経験をしたので、決して売りはしなかった

 男は40歳位くらいで常連客ではなかったが、たまに若い男を連れてきていた。
 この日は、男と鶯谷で待ち合わせをした。
 男は琢磨を連れてホテルに入った。
 通常男同士ではホテルに入れないが、男は入れるホテルを知っていた。
「あのな、女に金を使うよりも男の方が稼げるんだよ。君は男前だし、小柄だからモテるよ。金のある男は綺麗な若い男を欲しがるものさ。だから、女を相手にするホストより、男を相手にした方が稼ぎがいいんだ」
 男はそう言いながら上着を脱ぎ、琢磨にズボンのファスナーを下ろさせて先にシャワーを浴びにいった。
 琢磨もシャワーを浴び、ベッドに横になっている男の隣に体を滑り込ませた。
 男は琢磨の体を撫で回した。
「若いと、肌がスベスベでいいな」
 男は琢磨の手を取って自分の下腹部に持っていき、性器を触らせてた。
 そして、それをゆっくり揉むように求めた。
 琢磨の体を撫でていた男の手は琢磨の股間に入り、性器を触り始めた。
 琢磨は嫌だったが、我慢した。
 男のはため息を漏らし、だんだん息が荒くなってきた。
 やがて、琢磨の顔に跨り口に股間を押し付けてきた。
 琢磨は嫌がったが、男は力尽くで口の中に自分のものを無理やり押し込んだ。
 琢磨は息苦して仕方なかったが、暫くすると男は声をあげた。
 男は体を逸らした、琢磨から離れた。
 琢磨はすぐにシーツに嘔吐をした。
 男は、タバコを咥えながら財布から金を出し琢磨に渡した。
「また金が必要なら言ってくれ」
 琢磨は堪らなく惨めな気分になったが、手にしたのは一月バイトしても稼げない金額だった。
 琢磨はお金をリュックに入れて、服を着て部屋から出ていった。
 初冬なので外はすでに、暗くなっていた。



ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

上島美樹 フランス大使館に勤める女性で裕翔の幼馴染

中村裕翔  イケメンで美樹とは幼馴染、レディースのファッションデザイナーを目指すがゲイであることに悩む男性

柴崎琢磨  裕翔の恋仲になる美男子だが小柄な男性、裕翔を同じくファションデザイナーを目指している。出世のためにゲイのように装うバイセクシャルだが、マレで有名になる。


ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み