五日目

文字数 481文字

 デフレ太郎はまたもや物思いに耽っていた。
生きとし生けるものは須く遺伝子の乗り物に過ぎない。

我々が食べ飲み叫び眠るのも大地にやがて朽ちる朒塊を蔓延らせる、朒を播種するシステムの一部なのだ。

・・・という事を考えている人間はなんと暇なのだろう、そう考えていたのだ。
そんな事は当たり前で、その中でどう生きるかが大事なのだろう。
目先の快楽に負ける事はしばしば。食べては寝るだけの毎日にも意味がある。
所詮人間は自分一人の事しか分からない。

人心掌握に長けた者が人間の心を真につらまえているのであれば、諍いなど起きない世を作るなど容易いだろう。 

・・・という事を考えることもまた無意味である。
デフレ太郎は一日の楽しみが、帰り掛け 近くの薬局やスーパーで購入した6本408円のコーヒーを、歩道橋の上でちびりちびりと消費することであり、己がいかに卑小な存在であるかを自覚して 今日もまた微睡(まどろみ)の中に消えていった。

薄れゆく意識の中で、常日頃何処かで諍い争い命のやり取りがあるこの世にあって、変化のない自分の生活こそがファンタジィであるのだとデフレ太郎はデフレ太郎はデフレ太郎はデフレた
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