第5話

文字数 611文字

 家に帰ると「随分とおそいね。残業でもしてたの」と姉は明るい口調で言う。私は「もうこれで何も心配いらないよ。姉さんはもうこれ以上苦しまなくていいんだよ」と言い、涙が溢れた。姉は怪訝な顔をして「どう言うこと」と詰め寄る。私はあの男が死んだことを伝えた。姉は、一瞬戸惑い「本当なの、どうして貴方がそのことを知っているの」と詰め寄る。私は正直に、男と女とお腹の子を殺したことを伝え、姉に抱きついた。姉は全力で抵抗してきたが、無理やり服を脱がす。「やめて、やめて」とあの死んだ女と同じことを大声で叫んだ。私は姉に拒絶され絶望した。姉の首を全力で締めて「姉さんが求めていることはこれだろ」と言う。10分ほど首を締めて、姉が動かなくなった。私は、ズボンを下ろして姉の中にペニスを入れた。動かなくなった姉の姿は、人生で一番美しいと思った。何度も何度も姉の中で果てた。急に虚しさを感じる。愛する姉が亡くなってしまった。最初から姉はあの男と暮らさずに、私と一緒になればこんなことにはならなかったのに。姉の不幸が私の中に押し寄せ私の身体を蝕む。こんなに姉を愛していたのに何故神は奪ってしまったのか。これ以上この世界に未練は無くなった。生きる意味がない。死ぬしかない。
 気がつくと駅のホームに立っていた。なるべく世の中の人に影響が出るよう死のうと思ったのであろう。自分の不幸を周りにもうつしてやりたい。特急列車が通過する旨のアナウンスが流れた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み