第92話  モントゴメリーと穴バースト

文字数 3,256文字

 ※


 教室に戻り、授業を終えると早速こちらに振り向いた西部。

 ターゲットを俺に固定し真っ直ぐ向かって来る。


 ああ、忘れてたぜ。こいつのこと。

 王二朗くんとの会話が真剣だったので、何でこいつに睨まれているのか一瞬分からなかったぜ。

さ~て黒澤。俺の白竹さんと二人で何をしてたんだ? 正直に答えろ

 「俺の」って何だよ。まるでお前のモンみたいじゃねーか?


 すると横から「西部くん」と呼んだのは美優ちゃんだ。

 さっき西部は任せてくださいと名乗りをあげてくれたからな。


 お願いします。こいつ。俺にはやたら攻撃してくるんで。

私はちょっと魔優とお話してただけなのでし! 黒澤くんは関係ないのでございます!

 あ、そっか。そういういい訳なんですね。

 彼女がママといったあの子は、魔優だと名乗ってたからな。

じゃあ。お前何してたんだよ

 西部は美優ちゃんを乗り越えて遠距離攻撃しだしたぞ。

 まぁお前のことだ。美優ちゃんには面と向かって攻撃できないんだろ。


 俺が答える前に美優ちゃんは立ち上がる。

黒澤くんは……保健室で寝てました!
 え? そんなパターンにするんですか? 
そそそ。ちょっと気分が悪くなってな

 美優ちゃんの即興ストーリーにフォローしなくちゃいけない事態になってしまう。


 まぁいい訳なんてどうにでもなる。

 その辺は入れ替わり体質である俺の得意ジャンルだな。 

わ、分かった。で。白竹さん。もう一人の魔優ちゃんは何者ですか?
 俺達が喋っている間に染谷くんも近寄ってくる。これはしょうがない。彼も魔優ちゃんを見た訳だからな。
双子の妹なのです。本当はね、違う高校に通ってるよ
 まあそう答えるのがセオリーだよな。
だけどそっくりすぎだね。授業中入れ替わっても誰も気付かなかったよ

いや。俺はすぐに分かったぞ。

おっぱいの大きさが断然違うし。形も違うし、何よりもあっちの方は……完成形だったさ

 おい西部。お前さ、本人の前で失礼なこと言うなよ。

 無意識にこいつを睨んでも、気付かないし。

あれは間違いない。魔優ちゃんのチチは魔乳

 ん? 魔乳? あれ? もしかしてそれって……

 平八さんのおっぱい職人の話でも出てきた奴じゃないか?


 世界中のパイ職人でも常識がどうのこうの……

 確か、俺が白竹ママの画像を見た時に、平八さんも言ってたよな。

   

 って。ことは? もしかしてお前が美優ちゃんを盗撮した穴バーストか!

おい西部。ちょっとこっち来い!
何だよいきなり。俺の話は終わってねーんだよ
どうしたの? 黒澤くん?
いあ、ちょっとね。こいつに聞きたいことがあって

 そう言いながら西部を廊下に引きずり出すと「聞きたい事がある」と低い声を出した。


 一応みんなの前で暴露するのは可哀想だしな。

 まずは一対一で話し合おうか。

あんだよお前。顔が怖いぞ
 俺はまずツイッタ上で名乗ってる「穴バースト」という名前がお前なのか確かめてみると、
俺じゃねーよ。俺はモントゴメリーだって
なんだそりゃ? 歴史上の人物か?
 俺が胡散臭い顔をすると、向こうも「お前馬鹿じゃね?」と反撃されてしまう。
あのな。モントゴメリーは、分かりやすく言うと、おっぱいの周りにあるブツブツの事だよ。天使の匂いを発するんだぞ
 やれやれと言った表情をみせた西部。

 何だか馬鹿にされている気がしてきた。いあ、絶対馬鹿にされてる。

尻バーストは真鍋だよ。ってか何でお前が知ってんの? っておい!

 というわけで。速攻真鍋にも廊下に出てもらう。


 真犯人である真鍋には、ストレートに追い詰める。

 美優ちゃんを盗撮した嫌疑が掛かっていると告げると、あっさりと認めやがった。

勝手に盗撮したのは謝るよ。

だけどさ……美優ちゃんのあれは、激レアおっぱいなんだって

そんなつまらんいい訳するな。本人に黙ってやったのなら削除しとけよ
そんな……せっかく功績が認められておっぱファイターになれたのに……

 何だよそれ。おっぱファイター?

 っていうか。真鍋も普通におっぱいとか言うなよ。

だからやめとけって言ったんだよ!


パイ職人も言ってるだろ? 盗撮は禁止だと。

どこから密告されるかわからねーし、何よりもそのおっぱいが可哀想だと。


画像を上げてもいいのは、本人の承諾が必要なんだよ。

は? 待てよ。

平八さんは俺に無許可でアップしてたぞ。

ああっ……素晴らしい一枚だと思ったのにな……

 マジヘコな真鍋を見ていると、なんというか……可哀想に思えてくる。

 それでも盗撮という悪い事をしたのだから、当然だとは思うけど……


 今回だけは……見て見ぬフリをしようと思ったら、真鍋は最終的に「わかったよ」と返事してくれた。

 

 これにて一件落着と言ったところか。

 しかし……今度は西部が俺に攻勢をかけてくる。

なぁ黒澤。何でお前がそんな事知ってんの?

もしかしてお前も、隠れおっぱい職人の同士だったのか?

お前らと一緒にするなよ。知り合いの人がその有名なおっぱい職人なんだよ
は?
えぇっ?

すると西部も真鍋も一瞬にして、顔から血の気が引いていく。


何だそのリアクションは。水戸のおじーさんの印籠見たような顔しやがって。

マジ? 黒澤。この人はこの界隈では超有名人だぞ!

おっぱいズムの教祖様だっつーの!

ちょっと。紹介してよ黒澤っ!
え?

 しまった。つい口が滑っちまった。

 ってか、そんな羨望の眼差しで俺を見るな!

まぁその人に聞いてやるよ

 平八さんには言わないけど。


 それなのにこのおっぱい馬鹿達は、俺を女神を見るような目で「お願いします」とか言いやがる。

 キモいから止めてくれ。


 しかも廊下でスマホを弄り出した真鍋は、平八さんのページ開いてやがる。一々見なくていいだろ?

いいなぁ。あのおっぱい職人が知り合いだなんて……

是非おっぱいアナライザーの技を目の前で見てみたいね。

だな。是非おっぱいについてご教授願いたいぜ。きっと一日中話せる自信がある

 こいつら。こんな馬鹿だったのか。

 胸だけでこんなに盛り上がれるなんて、なんつー安上がりな奴らなんだ。


 と、その時、楓蓮の画像が目に入ってくると、ふとこいつらに質問していた。

なぁ。何でこの人は人気が無いんだ?

 何気に気になる質問をしていた。

 すると西部も真鍋もやたらテンションが下がってしまった。

これはなぁ……まずいんだ
どうにかしてあげたいけど
 何なんだこいつら。俺の胸がそんなにマズいのか?
見てよこのコメント。みんな心配してるんだ
 真鍋に言われるがまま、画面を見てみると……
おっぱい職人。どうにかしてやってくれ!
この至高の宝を見殺しにするのか! 神乳候補だぞ!

このコメントの奴らは何を言ってるんだ?

その返事に平八さんが答えていた。

私とて放っておけませぬ。

ですが彼女におっぱいを愛する気持ちが無い限り、おっぱい職人としても手の打ちようがありませぬ

 何だかシリアスな話になってまってるぞ。

 俺が「どういう意味」と尋ねると、西部らしからぬ怒号が飛び出した。

このままじゃ、この爆乳おっぱいが……おっぱいが……

垂れちまうんだよ!

 え?

こんなに大きいと、ちゃんと支えてあげないと地球の重力に屈してしまう!

それなのに……この女性は全くおっぱいをケアしてくれない……


くっ……なんたる悲劇だ!

 ええええっ?

 それはつまり、俺が胸を労わっていないという事か!

 まぁ家じゃほとんどノーブラだからな。

見ろよ。このコメントの多さを!

みんなの魂の叫びが。彼女に届いてくれれば……

おっぱい職人! それがお前の使命だろうが! 

この爆乳を助けずして、何がおっぱい職人なんだ!

やめろ! おっぱい職人だって策を練ってるんだろ?
早くしないと……この爆乳が朽ちるXデーは刻一刻と迫っている
このまま指を咥えて見守るしかないのか……なんてことだ
……た、垂れるの?
間違いない。おっぱい職人の話では余命一ヶ月だと……
……そっか。そりゃこの彼女も大変だな
 やべぇ……この歳で胸が垂れるとか洒落にならんぞ! 


 へ、平八さんに連絡しとこ!

――――――――――――――


次回 白竹美優視点 真実 1~5



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登場人物紹介

キャラのプロフィールは、章の始まりにも記載しています。


ここに記載されているのは主要人物です。

その他の登場人物は章の始まりなどに記載しています。


読者視点は神視点。

物語の中の人達が知らないことを全部見る事ができます


また、二章からはキャラの心の声まで聞こえます(フキダシが灰色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年


 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 とても弟思いの良いお兄さん(お姉さん)

 ★ 白峰楓蓮 しらみねかれん


  蓮の女性の姿。白峰というのは偽名。

  黒澤家とは繋がりを見せないように演じる。


  心の中は男の子なので、女の子のファッションやらに興味が無い。

  とても美人なのにあまり自覚がなく、女性の姿はオマケだと思っている。

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生


 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。



 ★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは家族だけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。


 ★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。


 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。

 など、全てを兼ね備えている人。


 二人目の主人公。

 ★ 白竹 美優 しらたけ みゆう


 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。

 自分の家の喫茶店で働いており、メイド服で接客をこなす。


 学校と喫茶店では、雰囲気がまるで違うのには理由があり……

 

 三人目の主人公。 

 

 ★ 白竹魔樹 しらたけまき


 蓮の隣のクラス。美優は双子の姉弟。


 学校ではとてもクール。喫茶店では男の娘?

 双方を知る蓮にとっては、非常に疑問な人物。


 四人目の主人公

 ★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的。学校ではいつも笑顔で誰にでも優しいが……

 

 五人目の主人公

 ★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲



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