恋愛の先輩はかく語りき

文字数 455文字

 恋をするということはどういうことなのか。

 友人は言っていた。
 今まで信じていなかった占いを信じてしまうことだと。

 妹は言っていた。
 たまたま見かけたおまじないを試してしまうことだと。

 姉は言っていた。
 おみくじの恋愛の欄を一番に見てしまうことだと。

 朝、眠い目をこすりながら、双子座の運勢を見る。気になる人と急接近しちゃうかも、なんて、そんな子供騙しに、少しだけ期待した。

「ねぇ、この曲を最後まで聴くと、好きな人から連絡が来るんだって」
 妹のその言葉に、「へぇ」と興味のない返事をして、自室に戻って真っ先に検索をかけて、その曲を聴いた。

「ねぇ、どうだった?」
 手元から視線を上げると、そこには残念そうな姉の表情。
「私小吉だったー…。梨沙は?」
「あ、えっと、末吉」
「微妙~」
 その言葉に軽く笑って返して、先ほどまで見ていた欄にまた視線を戻す。
『恋愛 自ら行動を起こすべし』
 その言葉に彼の姿を思い浮かべて、明日の朝、「おはよう」と声をかけてみるべきか悩む。

 あぁ、私はもう、どうやら恋をしているらしい。



End.
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