森に住む魔女【前編】
文字数 980文字
昔々あるところに年老いた一人の魔女がいました…
魔女は人間嫌いだったので人里離れた森の奥深くに住んでいました…
ある日、魔女は森で迷っていた小さな女の子に出会いました…
「ここはお前さんのような子供が来るところじゃないよ!! さっさと家へお帰り!!」
魔女はそう言いましたが女の子は動こうとはしません。
よく見ると女の子は足を怪我していたのです。
仕方がないので魔女は女の子を家に連れ帰り、怪我の手当てをしてやりました。
魔女が軟膏を女の子の足に塗ってやると、女の子はたちまち歩けるようになりました。
「さぁこれでいい… 帰りは森をまっすぐに歩いて帰るんだよ…」
女の子はぺこりとお辞儀をすると…『ありがとう』と一言だけ言って帰ってゆきました…
女の子が帰ると村ではちょっとした騒ぎになりました…
誰も森に住む魔女の事なんて知らなかったからです。
村人たちは話し合った結果、誰かを魔女のところに行かせる事にしました。森の魔女が良い魔女か悪い魔女か確かめるためです。
そこで女の子の両親が名乗り出ました。
夫婦は女の子から聞いた通りの道を進み、やがて魔女の家にたどり着きました。
「おぉ…慈悲深き魔女よ… 私たちは先日貴女に助けられた女の子の両親です。今日は貴女にお礼を申し上げたくて来たのです!」
女の子のお父さんが言いました。
すると魔女は…
「礼なんて良いからさっさと帰っておくれ… 私は人間なんて大嫌いなんだよ!!」
と言いました。
仕方ないので夫婦が帰ろうとすると…
「三日以内に川の堤防を今より高く補強するんだ! わかったねッ!」
と言って魔女は扉をぴしゃりと閉めると、それきり出てきませんでした。
村に戻った夫婦がその事を話すと、さらに村は大騒ぎとなりました。
とにかく時間がなかったので、村人たちは総出で川の堤防を補強する事にしました。
すると三日目に大雨が降りました。
川の水は濁流となって押し寄せましたが、堤防を補強した事で村は無事でした。
次の日、村長やその他大勢の村人が魔女の家を訪ねました。
「おぉ…聡明なる魔女よ… 貴女のおかげで村が救われました… どうかこれからも村をお守り下さい!」
すると魔女が言いました…
「アンタたちの村なんて知ったこっちゃないね! それよりさっさと帰っておくれ!」
村人たちはそれぞれ持ち寄った作物や干し肉や魚を、魔女の家の扉の前に置いて帰りました。
(後編につづく)
魔女は人間嫌いだったので人里離れた森の奥深くに住んでいました…
ある日、魔女は森で迷っていた小さな女の子に出会いました…
「ここはお前さんのような子供が来るところじゃないよ!! さっさと家へお帰り!!」
魔女はそう言いましたが女の子は動こうとはしません。
よく見ると女の子は足を怪我していたのです。
仕方がないので魔女は女の子を家に連れ帰り、怪我の手当てをしてやりました。
魔女が軟膏を女の子の足に塗ってやると、女の子はたちまち歩けるようになりました。
「さぁこれでいい… 帰りは森をまっすぐに歩いて帰るんだよ…」
女の子はぺこりとお辞儀をすると…『ありがとう』と一言だけ言って帰ってゆきました…
女の子が帰ると村ではちょっとした騒ぎになりました…
誰も森に住む魔女の事なんて知らなかったからです。
村人たちは話し合った結果、誰かを魔女のところに行かせる事にしました。森の魔女が良い魔女か悪い魔女か確かめるためです。
そこで女の子の両親が名乗り出ました。
夫婦は女の子から聞いた通りの道を進み、やがて魔女の家にたどり着きました。
「おぉ…慈悲深き魔女よ… 私たちは先日貴女に助けられた女の子の両親です。今日は貴女にお礼を申し上げたくて来たのです!」
女の子のお父さんが言いました。
すると魔女は…
「礼なんて良いからさっさと帰っておくれ… 私は人間なんて大嫌いなんだよ!!」
と言いました。
仕方ないので夫婦が帰ろうとすると…
「三日以内に川の堤防を今より高く補強するんだ! わかったねッ!」
と言って魔女は扉をぴしゃりと閉めると、それきり出てきませんでした。
村に戻った夫婦がその事を話すと、さらに村は大騒ぎとなりました。
とにかく時間がなかったので、村人たちは総出で川の堤防を補強する事にしました。
すると三日目に大雨が降りました。
川の水は濁流となって押し寄せましたが、堤防を補強した事で村は無事でした。
次の日、村長やその他大勢の村人が魔女の家を訪ねました。
「おぉ…聡明なる魔女よ… 貴女のおかげで村が救われました… どうかこれからも村をお守り下さい!」
すると魔女が言いました…
「アンタたちの村なんて知ったこっちゃないね! それよりさっさと帰っておくれ!」
村人たちはそれぞれ持ち寄った作物や干し肉や魚を、魔女の家の扉の前に置いて帰りました。
(後編につづく)