第10話

文字数 385文字

結局、田舎にも帰らず、部屋に引き籠り病人のように寝て過ごした。
何もする気が起きない。
心が傷つき、悲鳴を上げる。
見えない傷が塞がらずにいつまでも心は血を流し続けている。

苦しい。
心が壊れそう。

ベッドの上で膝を抱えて顔を埋め息を吐き出す。
いつまでもこんな事をして居られない。
そんな事を考えていた時、
彼から連絡が入る。

『会いたい。〇〇ホテル503で待っている』

携帯の画面を眺める。

フラフラと立ち上がりシャワーを浴び、脱衣室で体を拭いていると
鏡に全身が写り込んだ姿が目に入る。

彼と出会って、彼に染まって、彼に変えられた体。

こんな体、なくなってしまえばいい。

手元にあった化粧瓶を思いっきり鏡に投げつけた。

鏡が砕け散る。
鏡に映る自分も砕け散る。
涙が頬を伝う。
一頻り泣いた。
そして、少し痩せた体に服を着せ、やつれた顔に化粧を施す。

彼に会いに行く。

部屋を出て待ち合わせのホテルに向かった。

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