第1話    思い出せば

文字数 3,115文字

        
2020年10月アメリカ・プロバスケットボールリーグ開幕

ワイオミング州は全米50州の中で最も人口の少ない州であり、 首都はシャイアンでそこに在る バスケットチームが、ワイオミング・シャイアンズである。
チームは市民達で運営されている事で、監督・コーチ・スタッフ関係者がワイオミング州出身者、もちろん選手もだ。スポンサーは地元企業と言うより市民全員がスポンサーと言っても良いくらい皆んなに愛されているチーム、ホームグランド シャイアンアリーナでの開幕戦、チームの去年までの成績は5年連続最下位 それでもやっぱり市民達はこの日が来るのを楽しみしている。
今シーズンこそは今までとは違うと誰もが思っている、何故ならば 2名の新人が入団したからだ。のひとりが地元出身のジョンソンが入団した事で皆んなが期待している。もうひとりが初めての日本人選手だ。市民だれひとりと日本人選手が入団した事をチーム関係者以外は知らなかった。

さてロッカールームでは、彼にとって全てが初めての経験で緊張して落ち着きの無い様に見えたのか、それを見たキャプテン・マイクが話しかけてきた。

「大丈夫か マ〜初めての経験だからな… しょうがないか… リラックス 」

試合前の準備していたメンバー達も    「リラックス ‼︎」

そんなやり取りの中、監督ボブが入って来て。

「皆んな集まってくれ」皆んながボブの周りに集まった。

「皆んな、今日が開幕戦だ。  相手チームはオクラホマシティ・ワンデー 去年は負け越したが今年こそは勝ち越せる。皆んなも知っての通りジョンソンとシュータが入って攻撃力が上ったからだ。 OK! 前半は C・マイク PF・ジョンソン PG・ケニー SG・ルイス SF・ゴンザレスで行く,デイフェンスはゾーン・オフェンスいつも通り OK…」

「OK ボブ」

「さぁ〜 暴れてこい❗️」

「よし 行くぞ…… オ〜‼︎」

この風景が確りと目に焼き付いていた。

ロッカールームのドアを開けると、アリーナに向かう通路にはチーム関係者達が拍手をしながら
「ワンデーなんか倒してこい…」などと、いろんな声援を掛けられた。

メンバー全員がコート上に現れると、アリーナ全体が声援で響き渡った。 するとチームのテーマソング VanHalen・ Jumpがアリーナ全体に流れ聴こえて来たら、観客達はノリノリで踊る人や歌い始める人でこれ以上にない盛り上がりの中メンバー 紹介のアナウンスが始まった。

オクラホマシティ・ワンデー   監督:ウイルソン

センター(C) ルイス 212cm  ポイントカード(PG) ロイ 197cm  ガード(G) ジャクソン205cm
パワーフォワード(PF) ゲイジー 203cm  フォワード(F) コニー 2m

アリーナ内は静まり返っている、ほとんどがシャイアンのサポーター観客達だからだ、オクラホマシティ・ワンデーのサポーターはひとりも居なかった。

ワイオミング・シャイアンズ    監督:ボブ    ウォ〜‼︎ ヒュ〜ヒュ〜‼︎ 

センター(C) マイク 210cm ポイントカード(PG) ケニー 198cm シューティングガード(SG) ルイス 203cm スモールフォワード(SF) ゴンザレス 208cm

そして  パワーフォワード(PF) ジェンソン 205cm

一段と声援が昂まった時、 彼はたかだかと手を上げて声援に応えて思った。

今日と言う日をどれだけ待ったか、ここ街で生まれ育って俺の活躍を皆んなに観て貰う為に憧れのシャイアンアリーナのコート上で最高のプレーをして優勝したいと…。

もうひとりは、シュータFrom Japan

とっ 呼ばれ英語での発音は修太(シュウタ)と呼ぶのが難し為シュータと発音される。
彼の名は三山修太18才 身長166cm。

その修太を見たサポーター観客達、いや対戦チームオクラホマシティ・ワンデーもザワツキ驚いていたら…
ある観客 サポーターから

「何だ、マスコットボーイかと思った。まるで大人と子供だ、あんな小さいのに大丈夫なのか…」

「待てよ、あの日本人何処かで見た事あるぞ… 確か〜ストリートバスケで…」

「確かに、俺も見た事あるストリートで… 俺も 俺も見た事ある」

「あれ、シューじゃないか… そうだよシューだよ間違いないシューだよ 何だよ知り合いか?
昨日も一緒にストリートでプレーしたけどシャイアンに入ったって言って無かったぞ…
それでどんなプレーヤー何だ   彼 凄いよ!」

などと、いろいろな言葉が聞こえて来た。

アメリカプロバスケットリーグの中で、しかも身長165cm そんな小さなシュータ(修太)が 後々活躍するとは誰もが知る事は無かった。
ルーキージョンソンは、カレッジバスケットリーグでMVPに輝きドラフトはもちろんリーグチームからの誘いを断り地元のシャイアンズに入団した。そんな輝かしい成績を残したジョンソンとは違い、修太は日本での活躍などは全く無く日本とアメリカ全土のストリートバスケしか経験が無くストリートでは凄い奴と言う噂だけで、観客達はシュータの事を何も知る人は居なかった。

修太は天井を見上げ照明の光が余にも太陽のように眩しく目を閉じ昔を思い出していた。

親父(オヤジ)見てるか‼︎

修太はイリノイ州シカゴで生まれ、父親(三山友晴36歳)はバスケが好きで週末になると修太を公園に連れて行きストリートでプレーをしているそんな父を見て育った。
そんな元気だった父が病気で入院し、ベットで横になっている父が掠れた声で…

「修 そこに置いてあるバスケットボールを取ってくれるか」

修太はボールを枕元に置いた。

「ありがとう このボール修にあげるよバスケ好きだろう…   いいか聞いてくれ… このボールをパパだと思って肌身外さずどんな時でも手から外さず毎日触って手にボールの感覚を覚えさせて………   出来るな修太‼︎ 約束だぞ❗️」

とっ 言いながらボールを修太に手渡した。

そのやり取りを見たいた母親は自然と涙が流れてるのを感じていた。


その数日後に三山友晴は二度と目を開く事は無かった…


母親は、 泣きながら 修太に… あのねパパはお空のお星様になっちゃったよ とっ伝え… 
その後は言葉が出なくなり修太を抱き締め泣き崩れた。
修太の目からも涙がこぼれていた。

その時修太は5歳だった‼︎


日本を離れる前に報告の為父親の墓に来ていた。

父の形見であるバスケットボールを片手に持ち、幼い頃からこのボールで遊び、特にストリートならでのキズが付いたボールに染み込んだ父の汗や土・コンクリートなどの匂いがする大切なボールを約束どうりに今でも肌身はずさず持ち歩いていた。
親父の好きだったストリートバスケでは無くアメリカプロバスケットリーグのシャイアンズに入団したよ、太陽の下でのハーフコートとは違いオールコートでのプレーだよ、この俺がどこまで出来るかは知らないけれど取り敢えず1シーズンだけど出来る限り頑張ってみるからさぁ〜 そして、またストーリーに戻ってくるよ。

だから空からの応援頼むぜ‼︎

母親は、そんな修太の後ろ姿を遠くから見ていた。


思い出せば…

        あの人との出会いが無ければ……













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