佐藤莉乃VS水城あくあ
文字数 3,065文字
カーンカーンカーン!
カーンカーンカーン!
カカカカッカカカッ! ――ッカーン!!!
丑三つ時の公園の木の影からハンマーを叩きつける釘の音が響く。
その旋律は聞く物を魅了するかのようにアグレッシヴで、周囲の民家への騒音を撒き散らしていた。
カーンカーンカーン!
カカカカッカカカッ! ――ッカーン!!!
丑三つ時の公園の木の影からハンマーを叩きつける釘の音が響く。
その旋律は聞く物を魅了するかのようにアグレッシヴで、周囲の民家への騒音を撒き散らしていた。
2017/03/03 09:10
その頭に蝋燭を二本灯した少女がリズムに乗ってビートを刻む。
その腕はまるで別の生き物ののように一心不乱に踊り狂う。
その腕はまるで別の生き物ののように一心不乱に踊り狂う。
2017/03/03 09:11
それをみつめていたのは一人の少女だった。
夜間に不可解な音が聞こえると聞いて近所の公園へとやってきた少女。
彼女は一つ上の女になる為にその真相を突き止めるべくやってきたのだった。
夜間に不可解な音が聞こえると聞いて近所の公園へとやってきた少女。
彼女は一つ上の女になる為にその真相を突き止めるべくやってきたのだった。
2017/03/03 09:12
少女が振り返るとそこには見知った顔。
2017/03/03 09:15
水城あくあが首を傾げると、対する佐藤莉乃は腕を組み笑った。
2017/03/03 09:20
あくあは恐怖に震える。
その視線は莉乃の後ろを見つめていた。
その視線は莉乃の後ろを見つめていた。
2017/03/03 09:22
冷ややかな風の流れが彼女の髪を揺らし、彼女は後ろを振り向く。
2017/03/03 09:23
その後ろには空に浮かぶドクロの姿!
当然のように足はなく、手にはカマを持っている。
当然のように足はなく、手にはカマを持っている。
2017/03/03 09:25
少女の挨拶にそれは無言で頷き、そのカマを振り下ろした。
寸でのところで後ろへと尻もちをつくように倒れ、莉乃はそのカマを避ける。
寸でのところで後ろへと尻もちをつくように倒れ、莉乃はそのカマを避ける。
2017/03/03 09:26
女子が出してはいけないような声をあげつつ莉乃はその体勢のまま、凄い速度で後ろへと後ずさった。
2017/03/03 09:27
彼女たちの言葉を交わす様子を見ながら、ドクロの死神はゆらりと標的を定め近付く。
2017/03/03 09:30
莉乃はそう言いながら彼女の胸にタッチする。
2017/03/03 09:32
莉乃の言葉を無視するかのように、死神は彼女にカマを振り下ろした。
2017/03/03 09:33
振り下ろされるカマを重ねて何とか避けつつ、その場に転がる莉乃。
しかしその斬撃は寝転んだままの彼女を襲う。
しかしその斬撃は寝転んだままの彼女を襲う。
2017/03/03 09:35
その死神のカマが水の障壁に阻まれる。
莉乃が視線をあくあに向けると、その腕から服が変形して水圧のバリアを形成していた。
莉乃が視線をあくあに向けると、その腕から服が変形して水圧のバリアを形成していた。
2017/03/03 09:37
あくあの声の直後、そのカマが水の障壁を打ち破る。
競っていた圧が解放された為か、激しい衝撃が二人を吹き飛ばした。
競っていた圧が解放された為か、激しい衝撃が二人を吹き飛ばした。
2017/03/03 09:39
あくあの身体が地面に転がる。
一方の莉乃は噴水の中に射出され、ドッパーンと水没音があたりに響いた。
一方の莉乃は噴水の中に射出され、ドッパーンと水没音があたりに響いた。
2017/03/03 09:41
水壁に消費されて薄手になったあくあの服の生地は、呪いの力の衝撃を軽減しきれない。
痛みが彼女の行動を阻害する。
痛みが彼女の行動を阻害する。
2017/03/03 09:42
死神があくあへと迫る。
2017/03/03 09:43
噴水の中立ち上がった莉乃が濡れた紙を死神に投げつける。
水を吸って歪んだ人型に切り抜かれたその紙は、彼女の手を離れると風に乗って形を変えた。
水の滴る鳥の姿へ変貌し、それは死神へと飛んでいく。
水を吸って歪んだ人型に切り抜かれたその紙は、彼女の手を離れると風に乗って形を変えた。
水の滴る鳥の姿へ変貌し、それは死神へと飛んでいく。
2017/03/03 09:44
一声と共に死神へと体当たり。
その死神はさしてダメージもないようでそのまま鳥を振り払った。
その死神はさしてダメージもないようでそのまま鳥を振り払った。
2017/03/03 09:46
鳥が死神にまとわりついている間に莉乃はあくあへと駆け寄る。
2017/03/03 09:47
莉乃があくあに手をかざすと、そこから緑色の光が漏れ彼女に降り注ぐ。
あくあは体勢を整えると莉乃に笑顔を向けた。
あくあは体勢を整えると莉乃に笑顔を向けた。
2017/03/03 09:49
そう言いながら莉乃は彼女の手を引いて噴水の方へと逃げる。
それと同じくして足止めをしていた鳥が彼女たちの元へと戻った。
それと同じくして足止めをしていた鳥が彼女たちの元へと戻った。
2017/03/03 09:51
あくあは噴水に入って水面に手を触れる。
2017/03/03 09:56
彼女の声と共に噴水の水は一筋の竜となった。
それは死神へと迫り、飛沫をあげて激突する!
それは死神へと迫り、飛沫をあげて激突する!
2017/03/03 09:57
多少その動きを制限するが、呪いはじりじりと距離を詰めようと前進する。
その正面で鳥が舞った。
その正面で鳥が舞った。
2017/03/03 09:59
その鳥の下、地面に撒き散らされた文字が蠢きだす。
2017/03/03 10:01
カイムが月夜に吠えると、その水は地面に50音表を描き出した。
2017/03/03 10:01
莉乃が懐から取り出した10円玉を弾くと、それは地面に五芒星を描くように飛翔する。
そこから光が溢れ、死神を包んだ。
そこから光が溢れ、死神を包んだ。
2017/03/03 10:03
光と共に死神が消えていく。
2017/03/03 10:05
それを見て安堵したのか、あくあは噴水の中に倒れ込んだ。
2017/03/03 10:06
次の日。
2017/03/03 10:06
あくあは病院にいた。
昨夜の戦いで骨折していたようで、緊急入院となった為だ。
学校も休む事になってしまった。
しかし彼女は寂しくはない。なぜなら――。
昨夜の戦いで骨折していたようで、緊急入院となった為だ。
学校も休む事になってしまった。
しかし彼女は寂しくはない。なぜなら――。
2017/03/03 10:06
隣に40度の熱を出した莉乃が入院していたからだ。
昨夜水を被った為か、はたまた呪いによる後遺症か。
彼女は高熱を出し倒れ、そのまま病院のベッドに寝かされていた。
昨夜水を被った為か、はたまた呪いによる後遺症か。
彼女は高熱を出し倒れ、そのまま病院のベッドに寝かされていた。
2017/03/03 10:08
怨嗟の声が病室に響く。彼女の受験戦争はまだ始まったばかりだった――。
2017/03/03 10:09
莉乃はそうSNSに投稿し、意識を失った。
2017/03/03 10:09