佐藤莉乃VS水城あくあ

文字数 3,065文字

カーンカーンカーン!
カーンカーンカーン!
カカカカッカカカッ! ――ッカーン!!!
丑三つ時の公園の木の影からハンマーを叩きつける釘の音が響く。
その旋律は聞く物を魅了するかのようにアグレッシヴで、周囲の民家への騒音を撒き散らしていた。
2017/03/03 09:10
「うわああああ! 死んでよう死んでよう! せめて下半身不随の重体でー!」
2017/03/03 09:10
その頭に蝋燭を二本灯した少女がリズムに乗ってビートを刻む。
その腕はまるで別の生き物ののように一心不乱に踊り狂う。
2017/03/03 09:11
「あ、あれは……。何かアニメキャラみたいな格好してるけど、クラスの佐藤さん……?」
2017/03/03 09:11
それをみつめていたのは一人の少女だった。
夜間に不可解な音が聞こえると聞いて近所の公園へとやってきた少女。
彼女は一つ上の女になる為にその真相を突き止めるべくやってきたのだった。
2017/03/03 09:12
「あ。あの……」
2017/03/03 09:14
「誰っ!? こんな時間に話しかけてくるなんて、さてはあなた怪しい奴ね!」
2017/03/03 09:15
少女が振り返るとそこには見知った顔。
2017/03/03 09:15
「ぐええええ!? あくあちゃん!? なぜここに!? 今頃呪いに苦しみ救急車で病院に運ばれているはずではー!?」
2017/03/03 09:16
「えっ……なにそれひどい……。とりあえず今もこうしてピンピンしてるけど……」
2017/03/03 09:16
「うわああああ! もしや髪の毛を得る為に盗んだ体操着はあくあちゃんのじゃなかったのかー! あくあちゃんの匂いに包まれてくんかくんかしてしまったのに!」
2017/03/03 09:17
「そ、そんなことしてたの!?」
2017/03/03 09:18
「くそう! あくあちゃんを呪殺すれば明日のテストは出席者がわたし一人になって推薦をもらえるはずだったのに! こうなったらコーデバトルで勝負よ……!」
2017/03/03 09:18
「ごめんね佐藤さん、あなたが何を言ってるのか一から十までわからないの……コーデバトルってなに……?」
2017/03/03 09:19
水城あくあが首を傾げると、対する佐藤莉乃は腕を組み笑った。
2017/03/03 09:20
「くくく、バレてしまっては仕方ない、ここで会ったが100年飛んで1年と三ヶ月目! 口封じに病院食を食べるハメにしてくれるわ! お?」
2017/03/03 09:20
「……ひっ!?」
2017/03/03 09:22
あくあは恐怖に震える。
その視線は莉乃の後ろを見つめていた。
2017/03/03 09:22
「ふっふっふ。この魔法少女マジカルリーノの前には震えて声も……ん?」
2017/03/03 09:22
冷ややかな風の流れが彼女の髪を揺らし、彼女は後ろを振り向く。
2017/03/03 09:23
「……死……ナんじ……殺害の……エニシ……まじないと……死の……うんめイ……」
2017/03/03 09:24
その後ろには空に浮かぶドクロの姿!
当然のように足はなく、手にはカマを持っている。
2017/03/03 09:25
「……ハロー……」
2017/03/03 09:26
少女の挨拶にそれは無言で頷き、そのカマを振り下ろした。
寸でのところで後ろへと尻もちをつくように倒れ、莉乃はそのカマを避ける。
2017/03/03 09:26
「ギョエエエエエエエエエ!」
2017/03/03 09:27
女子が出してはいけないような声をあげつつ莉乃はその体勢のまま、凄い速度で後ろへと後ずさった。
2017/03/03 09:27
「さ、さ、さ、さ、佐藤さんなにあれ!?」
2017/03/03 09:28
「あ、あ、あ、あ、あ、た、た、た、た、たぶん呪いを見られたからそれが形になってアサシンアンドデストロイ!」
2017/03/03 09:29
彼女たちの言葉を交わす様子を見ながら、ドクロの死神はゆらりと標的を定め近付く。
2017/03/03 09:30
「あっ! あくあちゃん!」
2017/03/03 09:31
「へっ、何?」
2017/03/03 09:31
「えんがちょ」
2017/03/03 09:31
莉乃はそう言いながら彼女の胸にタッチする。
2017/03/03 09:32
「ひゃっ!?」
2017/03/03 09:32
「ふひひひ。これで呪いはあくあちゃんに移っ――ドワァァアー!!」
2017/03/03 09:32
莉乃の言葉を無視するかのように、死神は彼女にカマを振り下ろした。
2017/03/03 09:33
「なんで! なんで! 穢れを分けたからあくあちゃんにも呪いが降りかかるはずなのに! ちくしょう穢れなき乙女ってことかよ! この世は残酷だ!」
2017/03/03 09:34
振り下ろされるカマを重ねて何とか避けつつ、その場に転がる莉乃。
しかしその斬撃は寝転んだままの彼女を襲う。
2017/03/03 09:35
「死を……贄を……命を……体を……」
2017/03/03 09:36
「うわー! ごめんなさい心を入れ替えます許してー!」
2017/03/03 09:36
「――あくあヴェール!」
2017/03/03 09:37
その死神のカマが水の障壁に阻まれる。
莉乃が視線をあくあに向けると、その腕から服が変形して水圧のバリアを形成していた。
2017/03/03 09:37
「あくあちゃん! 信じてた! 愛してる! ずっ友だよ!」
2017/03/03 09:38
「いいから逃げて……! この力……押さえきれない!」
2017/03/03 09:39
あくあの声の直後、そのカマが水の障壁を打ち破る。
競っていた圧が解放された為か、激しい衝撃が二人を吹き飛ばした。
2017/03/03 09:39
「きゃぁっ!」
2017/03/03 09:40
あくあの身体が地面に転がる。
一方の莉乃は噴水の中に射出され、ドッパーンと水没音があたりに響いた。
2017/03/03 09:41
「う、ぐ……」
2017/03/03 09:42
水壁に消費されて薄手になったあくあの服の生地は、呪いの力の衝撃を軽減しきれない。
痛みが彼女の行動を阻害する。
2017/03/03 09:42
「死……汝……贄……代償……」
2017/03/03 09:43
死神があくあへと迫る。
2017/03/03 09:43
「――やっつけろカイム! 急々如律令!」
2017/03/03 09:44
噴水の中立ち上がった莉乃が濡れた紙を死神に投げつける。
水を吸って歪んだ人型に切り抜かれたその紙は、彼女の手を離れると風に乗って形を変えた。
水の滴る鳥の姿へ変貌し、それは死神へと飛んでいく。
2017/03/03 09:44
「クエー!」
2017/03/03 09:46
一声と共に死神へと体当たり。
その死神はさしてダメージもないようでそのまま鳥を振り払った。
2017/03/03 09:46
「あくあちゃん!」
2017/03/03 09:47
鳥が死神にまとわりついている間に莉乃はあくあへと駆け寄る。
2017/03/03 09:47
「ちちんぷいぷいちちんぷいぷい! 知仁武勇は御代の御宝! 痛いの痛いのFly Away!」
2017/03/03 09:49
莉乃があくあに手をかざすと、そこから緑色の光が漏れ彼女に降り注ぐ。
あくあは体勢を整えると莉乃に笑顔を向けた。
2017/03/03 09:49
「ありがとう佐藤さん……」
2017/03/03 09:50
「いいってことよ! 痛みはひくけど怪我は治ってないからそこんとこよろしく!」
2017/03/03 09:50
そう言いながら莉乃は彼女の手を引いて噴水の方へと逃げる。
それと同じくして足止めをしていた鳥が彼女たちの元へと戻った。
2017/03/03 09:51
「カーッ! オレサマこんな姿で戦いなんて出来ねーっつーの! オレサマは知略の悪魔! わかる!? わっかんねーかな~~~~!」
2017/03/03 09:52
「しゃ、しゃべった!」
2017/03/03 09:53
「いたいいたい! ついばまないで!」
2017/03/03 09:54
「あくあちゃん! あいつ足止めできる!?」
2017/03/03 09:54
「う、うん……! たぶん少しなら……」
2017/03/03 09:56
あくあは噴水に入って水面に手を触れる。
2017/03/03 09:56
あくあゲイザー!」
2017/03/03 09:57
彼女の声と共に噴水の水は一筋の竜となった。
それは死神へと迫り、飛沫をあげて激突する!
2017/03/03 09:57
「命……依代……魂……!」
2017/03/03 09:58
多少その動きを制限するが、呪いはじりじりと距離を詰めようと前進する。
その正面で鳥が舞った。
2017/03/03 09:59
「悪魔カイムっていったらちょっくら有名なんだけどな! 俺の力は動物と話す事と的確なアドバイスを与える事! そして――」
2017/03/03 10:00
その鳥の下、地面に撒き散らされた文字が蠢きだす。
2017/03/03 10:01
「水の声を聞くこと!」
2017/03/03 10:01
カイムが月夜に吠えると、その水は地面に50音表を描き出した。
2017/03/03 10:01
「こっくりさん狐狗狸さん! 呪いを退散させてくださいな!」
2017/03/03 10:02
莉乃が懐から取り出した10円玉を弾くと、それは地面に五芒星を描くように飛翔する。
そこから光が溢れ、死神を包んだ。
2017/03/03 10:03
「闇……堕落……地獄……待ち侘びる……」
2017/03/03 10:04
光と共に死神が消えていく。
2017/03/03 10:05
「よかっ、た……」
2017/03/03 10:05
それを見て安堵したのか、あくあは噴水の中に倒れ込んだ。
2017/03/03 10:06
次の日。
2017/03/03 10:06
あくあは病院にいた。
昨夜の戦いで骨折していたようで、緊急入院となった為だ。
学校も休む事になってしまった。
しかし彼女は寂しくはない。なぜなら――。
2017/03/03 10:06
「びええええ! あくあちゃん数学教えてー!」
2017/03/03 10:07
「うんうん、熱下ったらね」
2017/03/03 10:07
隣に40度の熱を出した莉乃が入院していたからだ。
昨夜水を被った為か、はたまた呪いによる後遺症か。
彼女は高熱を出し倒れ、そのまま病院のベッドに寝かされていた。
2017/03/03 10:08
「ちくしょう、ちくしょう、テストがあ……」
2017/03/03 10:09
怨嗟の声が病室に響く。彼女の受験戦争はまだ始まったばかりだった――。
2017/03/03 10:09
「呪い返し、なう……」
2017/03/03 10:09
莉乃はそうSNSに投稿し、意識を失った。
2017/03/03 10:09
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登場人物紹介

名前:佐藤莉乃
性別:女学生
設定:
「マジカルリーノ@魔法少女 フォロバします(ง ˘ω˘)ว  リムブロはご自由に(๑•﹏•)」

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【好きな物は?】
「苺のショートケーキらぶ。生クリーム永遠に食べられる(๑´ㅂ`๑)ŧ‹"ŧ‹" あとお洋服作ってます(๑•̀ㅂ•́)و✧」

【嫌いな物は?】
「勉強。数学。受験やばい」

【将来の夢は?】
「やっぱりお嫁さん(*'∀'人)♥*+ 玉の輿乗りたいね(*´﹃`*) でも堅実に公務員かな……勉強しなきゃ……」

【最近の悩みは?】
「受験嫌だ……。勉強したくない。数学全然わからん。転校したばっかで友達もいないしハゲそう」

【最近はまってる事は?】
「ついったー。作った服の自撮りを加工して上げるとみんな優しくしてくれる……。わたしは生きていても許されるんだって気持ちになる……」

【手首に傷?】
「ねーよ殺すぞ」

能力:マジックユーザーEX
古今東西にて信じられ行使されていた魔法・呪術・妖術等のまじないを使用する事ができる。

相手を倒したい理由:
受験に有利になると聞いて

名前:水城あくあ
風紀委員の少女。
責任感が強く何でもそつなくこなす。

特殊能力:二酸化一水素試験
触れた水を自在に操る能力。
普段はその身体に水をまとい、光の屈折率の変化によってまるで服のように着こなしている。
水の動きを制御できる時間はその水に触れていた時間に比例する。

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