宝物なんだけどね

文字数 745文字

 先日、無事に誕生した娘の陽奈(ひな)は、現在も24時間営業中だ。

 泣く、おっぱい、泣く、オムツ、泣く、泣く、おっぱい、泣く、オムツ…… そして静か過ぎると「息してるよな」と心配になったりして……。
 
 赤ん坊ってそんなもの。
 気持ちを伝える手段が「泣く」しかなけりゃそれは泣くさ。
 そう理屈では分かっていても、付き合うのは結構シンドイ。
 あれほどバイタリティに溢れていた妻が、げっそり痩せてフラフラだ。

 俺におっぱいさえあれば、もう少し力になれるんだけれど、この時期父親の出番は少な目。
 しかも俺は、卒業式を控え仕事も正念場。4月からの休業に備え、引き継ぎ資料の作成なんかもあるから結構忙しい。
 その辺は妻も分かっていて、気をつかってくれるんだけど、目の下に隈を作った彼女を放っておくこともできない。
 俺は娘を車に乗せて、連日深夜のドライブに出掛ける事にしている。
 今はこれ位しかできなくて申し訳ない。妻が安心して少しでも睡眠を取れればいいんだけれど。

 深夜の車内に、陽奈の泣き声と俺のミスチルが響く。

 一生の長さを思えば、きっと一瞬の出来事だろうけど、きっついな。
 あとちょっとしたら、妻とバトンタッチか。 
 子どもは可愛くて宝物なんだけれど……果たしてやれるのか? 俺は急激に自信が萎んでいくのを感じている。
 


*赤城の育休メモ*
 子どもの誕生後は「産後クライシス」にならないためにも、夫婦チームとなって対応する姿勢が大事だよ。
 産後の女性は、体のダメージもまだ残っていて、大きくホルモンバランスもが崩れているらしい。加えて、逃げられない子育て、深刻な睡眠不足に陥ってストレスMAXだ。
 2人で一緒に親になっていくのだから、積極的に出来る事を増やしていこう。
 構ってくれないからって泣かない! 
 
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