【星に願いを】
文字数 391文字
星に願いを込めると叶うんだって。
そういったのは誰だったか。
そんな乙女ちっくなことが男の僕にできるはずもない。
でも…叶うなら。と思う。
彼氏のいる女性を好きになった叶わない恋に…。
一筋に希望を乗せてみたい。
隣に住む女性。ただのお隣さんでしかない僕。
そんな僕に貴方は突然、これをくれた。
星をあげる。
貴方はそういって僕に無理やり星型の石を手のひらに押し込んだ。
「私の願いは叶ったから、今度はあなたが叶う番だね」
そう笑顔を向けた貴方に僕の心は締め付けられた。
「ありがとう。でも僕の願いは叶わないんだ」
「どうして?」
僕は何もいわない。
たとえ、この石が願いを叶えてくれる本当にすばらしい石だとしても。
―だって、貴方には大切な人がいるでしょう?
僕よりも―
その日から貴方に会うことはなかった。
それでも、僕は貴方がくれた石を持っている。
叶うはずのない願いを…。
この星型の石に。
星に願いをこめて…。
おわり