【僕の想いは君の中へ】
文字数 447文字
-戻れないと思った-
君は僕を置いて、遠くに逝ってしまった。
今でも僕の身体には、君の温もりが残っている。
-そう…まだ温かいのに-
君はいない。
この手に抱きしめることも。
声を聞くことも。
触れ合うことも出来ない。
それなのに、僕はただうつむいていた。
声も涙も出ないままに。
心はこんなに大きく穴が空いているのに。
大切な君への想いだけが募って、
静かに君の温もりと幻影だけを追った。
-僕は確かに、君を愛していた-
でも。
今は。
もう、僕は君の想いを乗せてどこまでも走り続けようと思う。
君の想いは僕の中へ、僕の想いは君が遠くへ連れて行ったから。
僕は静かに目を閉じる瞬間まで、君の想いを抱きしめようと思う。
それが残された僕にできるせめてもの、君に対する想いなのだから。
-僕は本当に、君を、君を-
僕は目を閉じる瞬間、眩しい光の中を駆け巡った。
その中に君の姿を見つけた。
あの時のままで。
僕はその姿をみた瞬間、静かに涙を流した…。
-愛していたんだ、本当に-
僕は差し出された君の手を握りしめ、眩しい光の中を君とともに歩いた。
完