第1話

文字数 385文字

記 憶

家の中に降る雪がある
家中に降り積もっている埃は
ときの脱け殻
その家の記憶が層をなして
降り積もっている

記憶が白い埃となって
こころに降り積もる
それは雪のように溶けたりしない
いつまでも降り積もり
たったひとつの
地層を形づくる あたかも
樹木の内側に静かに刻まれる
年輪のように
いつまでも いつまでも
けっして やむことがない
雪のように


ファンレターさまの紹介

記憶を透かせば
 
美しい詩ですね。ひとときの静寂に包まれました。家に降り積もる埃が永遠に消えることのない雪のようですね。セピア色の写真のような家の片隅に、時の記憶が雪のように、そして年輪のように重なり、その家とそこに住む者が確かに存在したことを刻み込んでいるようです。その雪を指でそっと撫でて、日の光に透かしてみたら、そこにあった息吹きや営みが見えるでしょうか。現実を暫し忘れて、このような想像に浸るのも悪くないと思いました。


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