7-4 雨都梢賢

文字数 1,042文字

 わお、とっぷりと日が暮れてラァ
 ヤベ……母ちゃんから鬼電入ってる
 こわー!早く帰ろ!

 見送りに出てきた星弥(せいや)鈴心(すずね)に手を振ろうと(はるか)が振り返った時、少し強い風が吹いた。

 

 ザワザワと辺りの木々が揺れる。その音に紛れたのか、木の影から一人の男が音もなく現れた。

 ──やーっと出てきた!待ちくたびれたでぇ
 !?

 その男は細身で若い印象だった。(はるか)達よりも少しだけ年上に見えるが学生のような頼りなさを感じる。


 半袖で大きなシダ植物をあしらった派手な模様のシャツに、ジーンズを履いている風体はにこやかに笑う表情を更に軽薄な印象にさせる。


 無造作に後ろ髪を縛っていて、耳に光るピアスが軟派なチンピラ風を完成させていた。

 ──何者だ!?
 ──!!
 おほほ、すごいねえ


 ザ・忠臣って感じ、カッコイイー!

 お前、どこから入った?
 ああ、ええねんええねえ、そんなんはどうでもええねん


 まずは自己紹介やね、オレは雨都(うと)梢賢(しょうけん)

 雨都(うと)!?
 雨都(うと)ですって!?
 お前ら、知ってんのか?
 ほ、ほんとに雨都?
 あなた、(かえで)の?
 (かえで)はオレのばあちゃんの妹や


 で、オレは雨都(うと)家待望の跡取り息子やねん!──まあ、坊さんにはならんけど

 ?
 探したわー、ほんとあんたら隠れ過ぎやで
 はあ…… 
 そこのバカ面の君がライくん?

 ごめんなあ、君にはなんのことかさっぱりやろ

 ま、まあ──バカ面?
 まさかそちらからまた会いに来てくれるなんて……
 そう、めっちゃ大変やってん


 父ちゃんも母ちゃんも、お前らには関わるなーてえらい剣幕で

 それで?僕らは何をすればいい?
 ──(はるか)!?
 話が早くて助かるわあ

 梢賢(しょうけん)はにっこり笑って余裕綽々といった体でその場の全員を見回す。


  

 彼は一体何者なのか。

 何故、(はるか)は無条件で彼に従うつもりなのか。

 そして何を要求するのか──

 

 (はるか)鈴心(すずね)蕾生(らいお)も、そして少し後ろで見守る星弥(せいや)さえも緊張で息を呑んだ。

 お願いします!

 助けてくださいっ!

 エ──

 目の前には実に綺麗な土下座があった。

 

 (はるか)は呆然。鈴心(すずね)も唖然。蕾生(らいお)星弥(せいや)は訳がわからない。特殊で間抜けた空気が漂った。

 

 土下座を続けたまま顔を上げた梢賢(しょうけん)は白い歯を見せて、眉を八の字に曲げ、同情を引くように情けない笑顔を振り撒いていた。

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登場人物紹介

唯 蕾生(ただ らいお)


15歳。男子高校生

怪力なのが悩みの種

九百年前の武将、英治親の郎党・雷郷の転生した姿


周防 永(すおう はるか)


15歳。男子高校生

蕾生の幼馴染

九百年前の武将・英治親の転生した姿


御堂 鈴心(みどう すずね)


13歳。銀騎家に居候している少女

英治親の郎党・リンの転生した姿

永と蕾生には非協力

銀騎 星弥(しらき せいや)


16歳。高校一年生

銀騎詮充郎の孫で、銀騎皓矢の妹

鈴心を実の妹のように可愛がっている

永と蕾生に協力して鈴心を仲間に入れようとする


銀騎 皓矢(しらき こうや)


28歳。銀騎研究所副所長

詮充郎の孫

銀騎 詮充郎(しらき せんじゅうろう)


74歳。銀騎研究所所長

およそ30年前、長らく未確認生物と思われていたツチノコを発見、その生態を研究し、新種生物として登録することに成功した


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