7-4 雨都梢賢
文字数 1,042文字
見送りに出てきた
ザワザワと辺りの木々が揺れる。その音に紛れたのか、木の影から一人の男が音もなく現れた。
その男は細身で若い印象だった。
半袖で大きなシダ植物をあしらった派手な模様のシャツに、ジーンズを履いている風体はにこやかに笑う表情を更に軽薄な印象にさせる。
無造作に後ろ髪を縛っていて、耳に光るピアスが軟派なチンピラ風を完成させていた。
彼は一体何者なのか。
何故、
そして何を要求するのか──
目の前には実に綺麗な土下座があった。
土下座を続けたまま顔を上げた