第17話古書店主 山本
文字数 1,100文字
今日のお客は、古書店主
古書を何冊か持って、入って来た。
飛鳥は「山本さん、ご苦労様です、重たいのに」と声をかける。
山本古書店主は、「いやいや、本屋が本を持って重いなんて、罰が当たる」と笑いながら、飛鳥の前に座る。
飛鳥もそれには笑う。
「ビールを出したいけれど、今は奥様が店番を?」
と言いながら、オレンジ風味の炭酸水を、山本古書店主の前に。
山本は、苦笑い。
「うん、鬼女房がね」
「ここに配達って言ったら、ようやく店番をしてくれた」
と言いながら、「美味しいねえ、この塩梅がいいよ」と、飲み干してしまうので、飛鳥は、もう一杯を追加する。
飛鳥は、山本が持って来た古書を確認。
「メディチ家の歴史」、「カトリーヌ・ド・メディシス」、「フィレンツェ写真集」、「マキャヴェリ君主論」等がカウンターに置かれる。
山本は少し笑う。
「フィレンツェ中心だね、見事に」
飛鳥は、山本の前に、エスプレッソを置く。
「ロレンツィオに興味があって」
山本は、頷く。
「フィレンツェの大旦那か」
「ルネサンスの美術も、ダヴィンチもミケランジェロも、彼がいなければ、どうなったことか、その意味では、素晴らしいパトロン」
「大浪費家かもしれんが、後世の人は、それ以上の恩恵を受けている」
飛鳥は、ページをめくる。
「ローマ教皇と対立してみたり、表面的には仲直りをしてみたり」
「フィレンツェの窮地に、敵になるかもしれないナポリに、自ら乗り込んで、フィレンツェの安全を勝ち取って・・・その男気かな」
山本は、飛鳥を見て、含みのある顔。
「一冊書いてみたら?」
「飛鳥君の文は、読みやすい」
「学識はあっても、文がぐちゃぐちゃな教授より余程いいからさ」
飛鳥は首を横に振る。
「なかなか・・・そうするには、旅行して、現地を見ないと書けない」
「見ていない空は書きたくない」
「書くなら、せめて、墓参りをしてから」
山本
「親父さんも、そんなことを言っていたよ」
「それで今は、旅行だね」
「親父さんも、文は上手いよ、固いけれど」
飛鳥は、笑う。
「旅行がしたくて、引退したとか」
「好き勝手させます」
香苗がキッチンから顔を出した。
小さな皿に湯気が立つ料理が入っている。
「はい、フィレンツェ風、モツの煮込みです」
山本は、ますますうれしそうな顔。
「香苗ちゃん、いいねえ・・・」
「うちの女房なんて、絶対作ってくれないもの」
「いや、コクがあって、美味いよ、絶品」
飛鳥は、含みのある笑い。
「奥様孝行で、フィレンツェはいかが?」
山本は、思い切り、首を横に振る。
「勘弁してくれ、旅行に行っても、俺は尻に敷かれっぱなしで」
「見ればわかるだろ?あいつの・・・やたらにでかい・・・」
飛鳥と香苗は、同時に横を向いている。
古書を何冊か持って、入って来た。
飛鳥は「山本さん、ご苦労様です、重たいのに」と声をかける。
山本古書店主は、「いやいや、本屋が本を持って重いなんて、罰が当たる」と笑いながら、飛鳥の前に座る。
飛鳥もそれには笑う。
「ビールを出したいけれど、今は奥様が店番を?」
と言いながら、オレンジ風味の炭酸水を、山本古書店主の前に。
山本は、苦笑い。
「うん、鬼女房がね」
「ここに配達って言ったら、ようやく店番をしてくれた」
と言いながら、「美味しいねえ、この塩梅がいいよ」と、飲み干してしまうので、飛鳥は、もう一杯を追加する。
飛鳥は、山本が持って来た古書を確認。
「メディチ家の歴史」、「カトリーヌ・ド・メディシス」、「フィレンツェ写真集」、「マキャヴェリ君主論」等がカウンターに置かれる。
山本は少し笑う。
「フィレンツェ中心だね、見事に」
飛鳥は、山本の前に、エスプレッソを置く。
「ロレンツィオに興味があって」
山本は、頷く。
「フィレンツェの大旦那か」
「ルネサンスの美術も、ダヴィンチもミケランジェロも、彼がいなければ、どうなったことか、その意味では、素晴らしいパトロン」
「大浪費家かもしれんが、後世の人は、それ以上の恩恵を受けている」
飛鳥は、ページをめくる。
「ローマ教皇と対立してみたり、表面的には仲直りをしてみたり」
「フィレンツェの窮地に、敵になるかもしれないナポリに、自ら乗り込んで、フィレンツェの安全を勝ち取って・・・その男気かな」
山本は、飛鳥を見て、含みのある顔。
「一冊書いてみたら?」
「飛鳥君の文は、読みやすい」
「学識はあっても、文がぐちゃぐちゃな教授より余程いいからさ」
飛鳥は首を横に振る。
「なかなか・・・そうするには、旅行して、現地を見ないと書けない」
「見ていない空は書きたくない」
「書くなら、せめて、墓参りをしてから」
山本
「親父さんも、そんなことを言っていたよ」
「それで今は、旅行だね」
「親父さんも、文は上手いよ、固いけれど」
飛鳥は、笑う。
「旅行がしたくて、引退したとか」
「好き勝手させます」
香苗がキッチンから顔を出した。
小さな皿に湯気が立つ料理が入っている。
「はい、フィレンツェ風、モツの煮込みです」
山本は、ますますうれしそうな顔。
「香苗ちゃん、いいねえ・・・」
「うちの女房なんて、絶対作ってくれないもの」
「いや、コクがあって、美味いよ、絶品」
飛鳥は、含みのある笑い。
「奥様孝行で、フィレンツェはいかが?」
山本は、思い切り、首を横に振る。
「勘弁してくれ、旅行に行っても、俺は尻に敷かれっぱなしで」
「見ればわかるだろ?あいつの・・・やたらにでかい・・・」
飛鳥と香苗は、同時に横を向いている。