第11話 お風呂で眠る夜に見る夢
文字数 1,184文字
夢を見た。私は、買ったばかりの水着を着て、その上に白いTシャツを着て、レジャーシートの上に座っていた。隣には大輔が座っていて、彼の差す日傘に二人で入っていた。私たちの他に誰もいない静かな砂浜で、ずっと向こうまで海が見えた。
「海だー!」
後ろの方から声がしたので振り返ると、由紀と亜紀ちゃんが走ってきた。二人はそのまま海に入ると、互いに水を掛け合って遊んだ。二人が立てる水しぶきに陽の光が反射してきらきら光った。どこから現れたのか、気がつくと悠太も海に入っていて、三人はビーチボールでバレーを始めた。亜紀ちゃんがトスしたボールを、悠太がトスして、それを由紀がトスして、亜紀ちゃんに戻った。悠太がボールを取り損ねて、海面にダイブした。由紀と亜紀ちゃんがころころ笑うので、私もふと笑ってしまった。
「大輔も海に入らないの?」
私は隣に座る大輔に声をかける。彼の姿は高校生のままで、私と同じ白いTシャツを着ていた。じっと座っているだけなのに、額に汗がついていた。
「肌が弱いから、海水に入るとひりひりするんだ」
大輔はそう言った。
場面が変わり、私は由紀の部屋にいた。本物の由紀の部屋よりは広くて綺麗で日当たりも良いけれど、夢の中の私は、そこが由紀の部屋だと信じて疑わない。テレビの前に亜紀ちゃんと大輔が座っていて、二人でゲームのコントローラーをかちゃかちゃ鳴らしていた。画面の中ではビビッドな色のキャラクターたちがレースカーで疾走している。私も早くゲームをしたくて、兄を持った小学生の弟のようにうずうずしている。
亜紀ちゃんのキャラクターがゴールし、五秒遅れて大輔のキャラクターがゴールした。その瞬間に、私は大輔に後ろから抱きついてコントローラーを奪い取った。
「大輔、もう終わり。私の番だから」
私の声は随分とうれしそうだ。
「ああ、わかってるよ。だから離れなって」
大輔はもぞもぞ動いて抵抗するけれど、本気で私を振りほどこうとはしない。私は大輔の両肩に二の腕を置いてコントローラーを握りなおす。
「こらそこの二人、いちゃいちゃしないの」
亜紀ちゃんが棘っぽい声を漏らす。
「いちゃいちゃしてないよ。こいつが勝手に」
「あんたは肘掛けなんだから黙ってなさい」
「誰が肘掛けだよ」
大輔と問答しながらも私は奮闘したけれど、結局また亜紀ちゃんが勝った。連続で勝ったので、彼女は得意げに鼻を鳴らした。
玄関がガチャリと音を立てて、買い物に行っていた悠太と由紀が戻ってきた。悠太はぱんぱんに詰まったスーパーの袋を両手に持っていて、由紀は手ぶらだった。二人が買ってきた材料で、ちょっとしたパーティーが始まった。二十玉を同時に作れるたこ焼き機と、サラダやらフライドポテトやら春巻きやらで、テーブルはすぐに華やかになった。各々缶ビールを片手に乾杯した。五つの缶がたこ焼き機の真上に集まり、触れ合った。
「海だー!」
後ろの方から声がしたので振り返ると、由紀と亜紀ちゃんが走ってきた。二人はそのまま海に入ると、互いに水を掛け合って遊んだ。二人が立てる水しぶきに陽の光が反射してきらきら光った。どこから現れたのか、気がつくと悠太も海に入っていて、三人はビーチボールでバレーを始めた。亜紀ちゃんがトスしたボールを、悠太がトスして、それを由紀がトスして、亜紀ちゃんに戻った。悠太がボールを取り損ねて、海面にダイブした。由紀と亜紀ちゃんがころころ笑うので、私もふと笑ってしまった。
「大輔も海に入らないの?」
私は隣に座る大輔に声をかける。彼の姿は高校生のままで、私と同じ白いTシャツを着ていた。じっと座っているだけなのに、額に汗がついていた。
「肌が弱いから、海水に入るとひりひりするんだ」
大輔はそう言った。
場面が変わり、私は由紀の部屋にいた。本物の由紀の部屋よりは広くて綺麗で日当たりも良いけれど、夢の中の私は、そこが由紀の部屋だと信じて疑わない。テレビの前に亜紀ちゃんと大輔が座っていて、二人でゲームのコントローラーをかちゃかちゃ鳴らしていた。画面の中ではビビッドな色のキャラクターたちがレースカーで疾走している。私も早くゲームをしたくて、兄を持った小学生の弟のようにうずうずしている。
亜紀ちゃんのキャラクターがゴールし、五秒遅れて大輔のキャラクターがゴールした。その瞬間に、私は大輔に後ろから抱きついてコントローラーを奪い取った。
「大輔、もう終わり。私の番だから」
私の声は随分とうれしそうだ。
「ああ、わかってるよ。だから離れなって」
大輔はもぞもぞ動いて抵抗するけれど、本気で私を振りほどこうとはしない。私は大輔の両肩に二の腕を置いてコントローラーを握りなおす。
「こらそこの二人、いちゃいちゃしないの」
亜紀ちゃんが棘っぽい声を漏らす。
「いちゃいちゃしてないよ。こいつが勝手に」
「あんたは肘掛けなんだから黙ってなさい」
「誰が肘掛けだよ」
大輔と問答しながらも私は奮闘したけれど、結局また亜紀ちゃんが勝った。連続で勝ったので、彼女は得意げに鼻を鳴らした。
玄関がガチャリと音を立てて、買い物に行っていた悠太と由紀が戻ってきた。悠太はぱんぱんに詰まったスーパーの袋を両手に持っていて、由紀は手ぶらだった。二人が買ってきた材料で、ちょっとしたパーティーが始まった。二十玉を同時に作れるたこ焼き機と、サラダやらフライドポテトやら春巻きやらで、テーブルはすぐに華やかになった。各々缶ビールを片手に乾杯した。五つの缶がたこ焼き機の真上に集まり、触れ合った。