第1話
文字数 1,156文字
秋だ。
もうすぐ運動会。
鴇は足が速いのでリレー。
足の遅い葵は、何故か障害物競走に出ることになった。
面白い…………イヤ、面白くないことに、今年の障害物はなんだか一風変わっているらしい。
まずサッカーでボールを蹴ってダンボールをくぐらせる。
次に平均台を端から端まで歩き、ネット越え。
そしてテーブルにある○○を、○○して○○の指示に従い、パン食い競争のあとゴールだ。
この、○○がいまだナゾらしい。
この辺、非常に葵は不安だった。
どうも出るメンバーが各クラスのお調子者で、しかも何故か人数が少ない。
おかしい。
5人ずつ、3組しかないのだ。
何か笑いものの予感がする。
担当の教師が、ひねくれている英語のミスター伊藤だ。
あいつはきっと、何かやる。
各組で選ばれたお笑い担当は、表面でおちゃらけながら、心の中では戦慄している。
「あーおーい〜、お前選ばれたんだって?
なんか内容秘密らしいじゃん、不安しかねえよなー」
隣のクラスの山本が葵に声をかけてきた。
「山ちゃんか、お前も選ばれたんだってな。
ふう………全校生徒と保護者の前だ、そこまで無理なことは言わないだろうさ。
ククク、この……えと、この……えと……」
「ミッション」
「そー!それー!!
ククク、このミッションを、俺達は全うするだけだぜ」
「冴えねえ奴」
「だって!わかんないんだもん」
ぷいぷいする葵の肩を、山本がポンポン叩く。
「ま、お互い頑張ろうぜ、字が読めない時は言えよ。俺様が読んであげるから」
「キーーー!!バカにすんな!バカ山本!」
大きな不安を抱え、日々は過ぎ……
そして、とうとうその日がやってきた。
花形のリレーは最後。
障害物競走は、メシ食って帰ろうとする保護者を引き留める為、メシのあとに行われる。
「ああ、なんか緊張してのどが渇くぜ。」
昼食後ゴクゴクお茶ばかり飲んでる葵に、鴇が最後の一個の唐揚げを食いながら準備テントを指さした。
「なんか、置いてある箱がでかくない?」
見ると、確かにデカイ箱が3つ。
「お、おう、なんか……ナニが入ってンだろうな。見に行くか?」
横にいた、同じクラスの大森が大きく手を振る。
「ダメダメ!ミスターが秘密だって頑丈に封がしてあるんだぜ。
きっと見られたら脱走するような物じゃねの?」
「え〜〜〜〜」
ドキドキ、なんか消化不良起こしそう。
『障害物競走に出る生徒さんは、スタート前に集まってくださーい』
とうとうその時間がやってきた。
葵が苦悶の表情で胃を押さえ鴇の手を握る。
「俺が死んだら、後は頼む」
「アフォか、さっさと行ってこい」
ペンと叩くと、泣きそうな顔になった。
「ううう……なんかさー、俺って可哀想だよな?な?なーーーーーー」
「行くぞ!葵!」
余韻を残して葵が隣のクラスの奴に引っ張られて行く。
「ま、ほどほどガンバレ」
鴇は弁当を片付け、立ち上がって一つ大きな伸びをした。
もうすぐ運動会。
鴇は足が速いのでリレー。
足の遅い葵は、何故か障害物競走に出ることになった。
面白い…………イヤ、面白くないことに、今年の障害物はなんだか一風変わっているらしい。
まずサッカーでボールを蹴ってダンボールをくぐらせる。
次に平均台を端から端まで歩き、ネット越え。
そしてテーブルにある○○を、○○して○○の指示に従い、パン食い競争のあとゴールだ。
この、○○がいまだナゾらしい。
この辺、非常に葵は不安だった。
どうも出るメンバーが各クラスのお調子者で、しかも何故か人数が少ない。
おかしい。
5人ずつ、3組しかないのだ。
何か笑いものの予感がする。
担当の教師が、ひねくれている英語のミスター伊藤だ。
あいつはきっと、何かやる。
各組で選ばれたお笑い担当は、表面でおちゃらけながら、心の中では戦慄している。
「あーおーい〜、お前選ばれたんだって?
なんか内容秘密らしいじゃん、不安しかねえよなー」
隣のクラスの山本が葵に声をかけてきた。
「山ちゃんか、お前も選ばれたんだってな。
ふう………全校生徒と保護者の前だ、そこまで無理なことは言わないだろうさ。
ククク、この……えと、この……えと……」
「ミッション」
「そー!それー!!
ククク、このミッションを、俺達は全うするだけだぜ」
「冴えねえ奴」
「だって!わかんないんだもん」
ぷいぷいする葵の肩を、山本がポンポン叩く。
「ま、お互い頑張ろうぜ、字が読めない時は言えよ。俺様が読んであげるから」
「キーーー!!バカにすんな!バカ山本!」
大きな不安を抱え、日々は過ぎ……
そして、とうとうその日がやってきた。
花形のリレーは最後。
障害物競走は、メシ食って帰ろうとする保護者を引き留める為、メシのあとに行われる。
「ああ、なんか緊張してのどが渇くぜ。」
昼食後ゴクゴクお茶ばかり飲んでる葵に、鴇が最後の一個の唐揚げを食いながら準備テントを指さした。
「なんか、置いてある箱がでかくない?」
見ると、確かにデカイ箱が3つ。
「お、おう、なんか……ナニが入ってンだろうな。見に行くか?」
横にいた、同じクラスの大森が大きく手を振る。
「ダメダメ!ミスターが秘密だって頑丈に封がしてあるんだぜ。
きっと見られたら脱走するような物じゃねの?」
「え〜〜〜〜」
ドキドキ、なんか消化不良起こしそう。
『障害物競走に出る生徒さんは、スタート前に集まってくださーい』
とうとうその時間がやってきた。
葵が苦悶の表情で胃を押さえ鴇の手を握る。
「俺が死んだら、後は頼む」
「アフォか、さっさと行ってこい」
ペンと叩くと、泣きそうな顔になった。
「ううう……なんかさー、俺って可哀想だよな?な?なーーーーーー」
「行くぞ!葵!」
余韻を残して葵が隣のクラスの奴に引っ張られて行く。
「ま、ほどほどガンバレ」
鴇は弁当を片付け、立ち上がって一つ大きな伸びをした。