第47話「とんでもねぇ悪女だよ」
文字数 1,108文字
「──なるほど……そんな事があったのね」
捜査一課長室内にて、椅子に座りながら焔火の報告を聞き終えた西園寺は、冷静な口調でそう呟いた。
「ああ……マジに驚いたよ……まさか自決するとはね……いや、それよりも驚いたのは、殺戮会が俺に20億の賞金を掛けてたって事だね」
「20億……か、一体うまい棒何本買えるんでしょうね?」
「え?え~と……1本12円だから……2000000000÷12=…………って!!いやいや!!そうじゃないでしょ!!もっとこう……!!心配するとかない訳!?健康優良男子高校生が賞金掛けられたんだぜ!?」
焔火は両手を広げながら、西園寺に激しいツッコミを入れた。
「ごめんなさい、ちょっとしたジョークのつもりで言ったのよ、気を悪くしないで」
西園寺は焔火に向かって、若干申し訳なさそうな顔を浮かべつつ、ごめんなさいポーズをしながらそう言った。
「……ジョークって……笑えないっつの……」
焔火は苦笑いをしながら西園寺にそう言った。その後西園寺は焔火に話を続ける。
「それにしても、翡翠碧は、どうしてあなたに賞金なんて掛けたのかしらね」
「さぁ?死んだハゲ曰く、何か唐突にいきなり決めたらしいよ?全く……とんでもねぇ悪女だよ、何にも悪い事してない超絶真面目ボーイに賞金掛けるなんて……どんな思考回路してりゃこんな恐ろしい事できんだよ……」
焔火はイラついた様子で答えた。
「まぁまぁ落ち着いて、イライラしたってどうにもならないわよ」
「……ああ……そうだね……確かにイラついたってどうしようもないや……ま、とりあえず俺は、これからも翡翠碧の捜索や殺人のゲームの阻止を続けるよ……」
「ええ、お願い、くれぐれも無茶だけはしないでね」
「へ~い……あ!」
焔火は何かを思い出した様な顔を浮かべた。
「ん?どうしたの?」
「俺……明日から学校どうしよう……」
「ああ、その事なら心配いらないわ、私が今日の昼間に連絡を入れておいたから」
「それで学校側は何て?」
「あなが刑事活動してる間、あなたを公欠扱いにするとの事よ」
「ほえ~……そっか~……そりゃあよかった……公欠扱いにしてくれるなら出席日数が足りなくて留年なんて事にはならないからね、そんじゃあ俺はこの辺で失礼しやす、明日も刑事活動頑張りま~す、ではお休みなさ~い」
焔火は西園寺に手を振りながら捜査一課長室から出ていった。
「……燈焔火君……刑事代行1日目にして殺人事件を解決……やっぱり私が見込んだ通りの男だったわね」
西園寺は静かにそう呟いた。