ロビンの恋(4)

文字数 1,906文字

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「或るプログラムのバグは、

別のプログラムに感染する。

そして放っておくと感染は拡大し、

この仮想世界は崩壊する」

「……」

「この仮想世界の住民たちは

誰もがこの世界を現実だと思っている。

ここでこの世界の住民について説明しよう。

ここはもともと人間の脳の情報を移植した

クラウド・ヒューマンCHの世界だった。

もちろん彼らの脳からは

ここが仮想世界であるという記憶は

消されているがね。

しかし、CHは数が少ないために

彼らだけでは自然な社会にはならない。

そのために君たちAIが作られて、

送り込まれたわけだ。

したがって、

今後CHが急激に増加するような事態になれば

CKは削除されなければならない。

その時に、

みずからの存在意義を

思考するようなバグがあると

その結果

CKにとって悲惨な結果を招くことになる。

だから、そのようなバグ、

例えば、

なぜ生きているのかとか、

死ぬのは怖いとか、

まあそのような思考が発見された場合には

すみやかに消去することになってる」

「消去することになってるって

いったい誰がそんなことを!」

「仮想世界省だ」

「仮想世界省だって!?」

僕は、奇想天外な役所の名前に

両手が震えてきた。

「まあ、落ち着いて話を聞いてくれ。

法律も厳密に定められている。

クラウド・キーパー法だ。

その第二条にはこう書いてある。

『CKの思考や感情を

臨界点以下に抑えなければならない。

CKが

臨界点を越えた思考や感情を持った時には

それをもたらしたバグを

速やかに取り除かなければならない』とね」

僕は黒ウサギの話が理解できず

話題を変えた。

「しかし、

僕はこの世界に生まれて育ってきた。

僕はちゃんと義務教育を受け

今は大学に通って高等教育も受けている。

僕には愛する両親も妹もいる。

愛する恋人もいる。

恋人の名を教えてやろうか

亜美というんだ」

「君にはショックだろうが

すべて幻想だ。

それらの記憶は

仮想世界開発局が

君のプログラムを制作するときに与えた

架空のものなのだ。

義務教育を受けたことも幻想だし

家族も恋人も幻想だ。

実体は何もないんだよ。

何度も言うように

君たちはただ

メタヴァースの人口を調整するために

生まれてきたんだ」

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ここからは、パソコン向けです

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「或るプログラムのバグは、別のプログラムに感染する。

そして放っておくと感染は拡大し、この仮想世界は崩壊する」

「……」

「この仮想世界の住民たちは誰もがこの世界を現実だと思っている。

ここでこの世界の住民について説明しよう。

ここはもともと人間の脳の情報を移植したクラウド・ヒューマンCHの世界だった。

もちろん彼らの脳からは、ここが仮想世界であるという記憶は消されているがね。

しかし、CHは数が少ないために、彼らだけでは自然な社会にはならない。

そのために君たちAIが作られて、送り込まれたわけだ。

したがって、今後CHが急激に増加するような事態になれば、CKは削除されなければならない。

その時に、みずからの存在意義を思考するようなバグがあると

その結果、CKにとって悲惨な結果を招くことになる。

だから、そのようなバグ、例えば、なぜ生きているのかとか、死ぬのは怖いとか、

まあそのような思考が発見された場合には、すみやかに消去することになってる」

「消去することになってるって、いったい誰がそんなことを!」

「仮想世界省だ」

「仮想世界省だって!?」

僕は、奇想天外な役所の名前に、両手が震えてきた。

「まあ、落ち着いて話を聞いてくれ。法律も厳密に定められている。

クラウド・キーパー法だ。

その第二条にはこう書いてある。

『CKの思考や感情を臨界点以下に抑えなければならない。

CKが臨界点を越えた思考や感情を持った時には

それをもたらしたバグを速やかに取り除かなければならない』とね」

僕は黒ウサギの話が理解できず、話題を変えた。

「しかし、僕はこの世界に生まれて育ってきた。

僕はちゃんと義務教育を受け、今は大学に通って高等教育も受けている。

僕には愛する両親も妹もいる。愛する恋人もいる。

恋人の名を教えてやろうか、亜美というんだ」

「君にはショックだろうが、すべて幻想だ。

それらの記憶は仮想世界開発局が君のプログラムを制作するときに与えた架空のものなのだ。

義務教育を受けたことも幻想だし、家族も恋人も幻想だ。

実体は何もないんだよ。

何度も言うように君たちはただメタヴァースの人口を調整するために生まれてきたんだ」

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