ロビンの恋(1)

文字数 2,040文字

スマホ向け、パソコン向けの順に

並んでいます。

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次に紹介するのは

ロビンというCloud Keeper(CK)の事例であり

「自我に目覚め、恋をした」

というケースである。

この事例は発見が遅く

バグが自我に深く関わったため

Cloud Keeper(CK)そのものを

削除せざるを得なかった。

なお、この記録はCloud Keeper(CK)の記憶を

抜き取ったため、一人称で記載されている。

~~~   ~~~   ~~~   

まぶしくて目が覚めた。

ベッドに座り

薄く開けた目をこすりながら

窓の外に目をやると

すでに日は高く上り

木々が五月の風にさやさやと揺れていた。

昨日の素敵なデートを思い出し

僕の胸は熱くなった。

そうだ。

昨日、

亜美と初めてキスを交わしたのだった。

午前の講義が終わる頃に

キャンパスの図書館で待ち合わせ

亜美が見たがっていた映画

「愛は永遠に」を見て

ロイヤルで夕食を食べた。

そして夕暮れの公園を散歩した。

噴水の前で亜美の肩に手をまわすと

亜美は静かに寄り添ってきた。

上を向いた青銅の獅子が

水の束を気持ちよく大空に吐き出していた。

恋愛映画を見てロマンチックになった僕らは

初夏の爽やかな風のなか

自然に唇を重ねていたのだった。

そんな昨日の記憶を思い出していたが

置時計に目を移すと九時を過ぎていた。

遅刻だ! 

僕は急いで洗顔し洋服に着替えて

マンションを飛び出した。

大学まで早足で歩いていると

いつもの空き地に不思議なものを見かけた。

不定形の黒い塊が

地上すれすれに浮遊しているのだ。

僕の体の2倍ほどの大きさで

まるで心臓の鼓動のように

規則正しく膨らんだり縮んだりしている。

近づいてみるとそれは洞穴だった。

覗き込むと

強い引力のような力で吸い込まれた。

僕は暗く、長いトンネル状の坂を

一気に滑り落ちていった。

まるでウォーターシュートのように

左右にカーブしながら次第に加速していく。

恐怖で息もできなかった。

やがて、

ふわりと無重力状態になったかと思った瞬間

全身に強い衝撃が走った。

しばらくは肩や腰、手足の痛みで

身動きできなかったが

暫くして顔をあげてあたりを見廻すと

転げ落ちたところは

湖のほとりの芝生の上だった。

目の前に

僕と同じぐらいの背丈の

黒いウサギが立っている。

黒ウサギは僕を見てニコニコと笑っている。

誰かがウサギのぬいぐるみを

かぶっているのか?

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ここからは、パソコン向けです

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次に紹介するのは、ロビンというCloud Keeper(CK)の事例であり

「自我に目覚め、恋をした」というケースである。

この事例は発見が遅く、バグが自我に深く関わったため

Cloud Keeper(CK)そのものを削除せざるを得なかった。

なお、この記録はCloud Keeper(CK)の記憶を抜き取ったため、一人称で記載されている。

~~~   ~~~   ~~~   ~~~   ~~~   ~~~   ~~~

まぶしくて目が覚めた。

ベッドに座り、薄く開けた目をこすりながら窓の外に目をやると

すでに日は高く上り、木々が五月の風にさやさやと揺れていた。

昨日の素敵なデートを思い出し、僕の胸は熱くなった。

そうだ。昨日、亜美と初めてキスを交わしたのだった。

午前の講義が終わる頃にキャンパスの図書館で待ち合わせ

亜美が見たがっていた映画「愛は永遠に」を見て、ロイヤルで夕食を食べた。

そして夕暮れの公園を散歩した。

噴水の前で亜美の肩に手をまわすと、亜美は静かに寄り添ってきた。

上を向いた青銅の獅子が水の束を気持ちよく大空に吐き出していた。

恋愛映画を見てロマンチックになった僕らは

初夏の爽やかな風のなか自然に唇を重ねていたのだった。

そんな昨日の記憶を思い出していたが、置時計に目を移すと九時を過ぎていた。

遅刻だ! 僕は急いで洗顔し洋服に着替えてマンションを飛び出した。

大学まで早足で歩いていると、いつもの空き地に不思議なものを見かけた。

不定形の黒い塊が地上すれすれに浮遊しているのだ。

僕の体の2倍ほどの大きさで

まるで心臓の鼓動のように規則正しく膨らんだり縮んだりしている。

近づいてみるとそれは洞穴だった。覗き込むと強い引力のような力で吸い込まれた。

僕は暗く、長いトンネル状の坂を一気に滑り落ちていった。

まるでウォーターシュートのように左右にカーブしながら次第に加速していく。

恐怖で息もできなかった。

やがて、ふわりと無重力状態になったかと思った瞬間、全身に強い衝撃が走った。

しばらくは肩や腰、手足の痛みで身動きできなかったが

暫くして顔をあげてあたりを見廻すと、転げ落ちたところは湖のほとりの芝生の上だった。

目の前に僕と同じぐらいの背丈の黒いウサギが立っている。

黒ウサギは僕を見てニコニコと笑っている。誰かがウサギのぬいぐるみをかぶっているのか?
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