あとがき

文字数 599文字

自分の見ている世界と、他人の見ている世界。
それが同一であることを証明する術は、残念ながらないそうです。

この共有できない感覚に関する議論は、「クオリア(感覚質)」という専門用語で語られることが多いため、哲学に造詣が深いかたであればご存知かと思います。

視界を共有できない。

これを知ってから、自分は専らこう思うようになりました。
他人(あなた)と同じものが見えていたらいいな」と。
感覚を共有し、喜怒哀楽を分かち合えたならどんなに素敵でしょうか。
すれ違うこともなくなって、今よりもっと他人を信用できるでしょう。

しかし同時に、旅するなかでこう思うようにもなりました。
他人(あなた)と同じものが見えていなくてもいいかな」と。
すれ違うことを前提にすれば、今よりもっと優しい人間になれるような気がします。

相反していてちょっとだけ可笑しいですが。

シデの過去を知る人が現われはじめた2巻。
不定期で気まぐれな更新、そして、このような拙い文章に付き合っていただいたあなたに、心より感謝いたします。本当にありがとうございます。

ありきたりな旅は物語性を増し、次巻に続く予定です。
よろしければ『シデの旅道③』も覗いてみてください。

((道中/執筆中にお世話になった宿泊先))
・葉山うみのホテル 様 https://www.umino-hotel.com/
・箱根つたや旅館 様 https://hakone-tsutaya.com/



『シデの旅道Ⅱ』了
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登場人物紹介

シデ

原付バイクで旅をしている青年。

人の顔を認識することができず、まれに、人以外のものを「人」と認識する。

”アオイさん”

青い塗装の原付バイク。

車種はホンダ スーパーカブ110。事故死したシデの従姉・麻木青衣の遺品。

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