第1話

文字数 1,400文字

 皇国(コウコク)興廃此(コウハイコ)一戦(イッセン)()各員(カクイン)一層(イッソウ)奮励努力(フンレイドリョク)セヨ
 1905年(明治38年)5月27日午後1時39分、対馬(つしま)東方海域でロシア・バルチック艦隊を発見した連合艦隊は、砲撃戦を仕掛けるため単縦陣で進んだ。午後2時5分、両艦隊の距離が8,000 mになった時、東郷平八郎(とうごうへいはちろう)司令長官が命じた「敵前大回頭(だいかいとう)」、別名「東郷ターン」の作戦により、連合艦隊が砲撃を開始してからおよそ30分で、海戦の勝敗は連合艦隊の勝利にほぼ決した。
 これが日本海海戦で、ロシア・バルチック艦隊は旗艦「スワロフ」を含む戦艦3隻、その他多数が沈められた。

 今、ロシアのウクライナ侵攻が止まらない。
 島国の日本の、東北の山形の庄内にいると、ロシアのウクライナ侵攻はよそ事のように感じる。が、実は日本はおよそ120年前にこのロシアと戦争をし勝利したのだ。いわゆる日露戦争だ。その当時は日本には軍隊があった。職業軍人は戦って戦果を挙げるのが功績だから、それぞれの国の軍隊が衝突すると戦争になる。
 自分は決して戦争を美化はしないが、まだ軍隊同士のぶつかり合いなら最低限のルールがあったように思う。降伏、捕虜の扱いなどを定めた国際法、そして戦争後の和平を構築する講和条約の締結などだ。
 今回のロシアのウクライナ侵攻が凄惨なのは、軍人が武器を持たない丸腰の民間人を多数、殺戮していることだ。どんな戦争にも少なからず民間人の犠牲が出る。講和条約締結(ていけつ)以前の停戦協定の段階で、この民間人の犠牲を「相手国が流したフェイク・ニュースだ」と言ってのける国の指導者には幻滅する。武士道の精神、職業軍人ならプロとしての誇りはないのだろうか?

 2022年4月13日、ロシア黒海艦隊の旗艦「モスクワ」が沈没した。
 ロシア海軍で艦隊の旗艦が戦時に沈没したのは、前述した1905年の日露戦争の日本海海戦で、バルチック艦隊の旗艦「スワロフ」が日本の連合艦隊によって撃沈されて以来のことらしい。
 ウクライナは、自分たちが発射した対艦ミサイル「ネプチューン」2発が命中して旗艦「モスクワ」は沈没したと発表した。ロシアはさすがに「それはウクライナが流したフェイク・ニュースだ」とは言えないらしい。「火災が起こり沈没した」と苦しい言い訳をしている。
 もうロシアはウクライナ侵攻から引くべきだと思う。
 NATOから国を守るために西方に武力で領土を拡大する。時代遅れの発想だと思う。地球温暖化で、ロシアの永久凍土が溶けているのだ。国が溶けている一大事に加えて、120年振りに海軍の旗艦も沈められた。何か漫画の世界のようで滑稽に見える。
 「ゴメン、ロシアは気が付いた。ロシアは隣国に銃の引き(がね)を引くのではなく、人類共通の課題、地球温暖化の防止に立ち向かう。」と言えば格好がつく❨←表現が不適切かも知れない。もはや許されない。❩と思うのだが…。(私、国際政治にはど素人で、実際は難しいのだろう。トホホ…。)

 さて写真は日本海に沈む夕日だ。私は日が沈む時間に日本海の写真を撮る機会がなかったので、今回は山形県の観光サイト(https://yamagatakanko.com/photos/detail_186.html)からダウンロードした。

 日の出とは異なり、夕日が沈む景色はどこか感傷的である。約120年前に歴史に残る日本海海戦が行われた海とは思えない静寂さを感じる。
 んだんだ。
(2022年4月)
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