読書の悩み

文字数 985文字

 眠れない。明日も仕事なのに緊張して寝付けない。無駄だと思いつつもホットミルクを飲んで眠気をさそおうとする。
 羊の数を数えようかとも思ったが、無駄であった。英語でやるから初めて意味があるのであって日本語で羊を数えても何にもならない。
 暗闇の中、薄暗く周りが見える。こんな日もあるものだ。
 スマホに手を伸ばそうとするが止めた。却って眠れなくなるだけだ。
 こういう時は読書が一番なのだが、一度読みだすと朝まで読んでしまう可能性があって中々読む気にもなれなかった。
 素数を数えたり、国際関係について思考したりするが、それで朝まで思考が止まらなくなる。
 こういう日に必要なのはカフェインかエナジードリンクだなと思いながら思考の沼にはまって深夜を過ごしていく。
 ある意味贅沢な時間の使い方であった。
 うん、眠れないならいっそ寝ないで好きなことをやろう。
 人生万事塞翁が馬。
 こういう夜も悪くない。
 スマホを起動する。前にマンガボックスの「アガルタ」が途中で読めなくなっているのを思い出してちょっと悲しい気持ちになった。あれ、凄く良い作品だったのになあ。でも、まあ、仕方がない。良い作品を無料で見させて頂いたと思えば貴重な体験だった。「レイン」も途中で読めなくなってしまったのも思い出した。まあ、確かにあれ程の作品を無料化してしまうのは惜しいか。
 だけど、不思議なことに次々と新作が出てくるのだ。
 近年はノベルデイズの「ラピスの再生論」にはまって深夜まで読んでいた。 
 時刻は24時。迷う。続けて読むべきか? それとも明日の仕事に備えて強制的に寝るか? でも、眠れない。
 社会人として考えるなら何が何でも寝るという一択だ。だが、この小説を前に迷っていた。もの凄く長い小説なのだ。しかも続きが気になる。とにかく続きが気になって読みたい。後、何章読めば良いのか。迷う、迷う。悶々として迷う。好きなことはしたい。
 しかし、煩悩の塊よ、頼むから今は寝させてくれ。明日も仕事なんだ。仕事に支障をきたす訳にはいかない。
 しかし、小説の続きが気になる。な、悩むなああ。た、頼むよおお。最早、何を悩んでいるのか頼んでいるのかさえ判らない状態だった。
 時刻は既に24時50分を回っていた。
*漫画、小説は実在のタイトルです。宜しければお読み頂ければ幸いです。
                  -了-
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