第1話

文字数 963文字

灼熱の敬老の日に

もう 十年物のエアコンが
うんうんと唸りながら働いている
今年の夏は本当にフル稼働で
九月に入っても朝までつけっぱなしだ
この一台しかない老いたエアコンに
私たち家族の命はかかっている
実際に汗水を流しながら働いている
ときどき 涙か汗のような水が
たらたらたらたらと滴り落ちてくる
そして 私たち家族をこの殺人的な
夏から辛うじて守ってくれているのだ

今日は敬老の日
一応 六十五歳からが
老人ということになっているが
お上は老人の数を
どうしても減らしたいらしく 
老人を大量に抹殺するつもりらしい
いきなり 七十歳 もしくは
七十五歳からを老人としてカウントし
統計上 大量の老人を抹殺しようとしている

とにかく喰うために働け 年金など
あてにせずに自己責任でやってくれ
クニはお前たちの面倒はもう見られない
働ける奴は働き カネもなく働けない奴は
どうか 勝手に野垂れ死んでくれ
会社は大量の喰えない老人を安くこき使えるし
年金は八十からにすればいいし こんな
いいことはクニや経済界にとってないだろう

七十五歳以上を老人とするという背景にある
どす黒いこの国の意図に戦慄する
国民を奴隷のようにこき使った挙句
最後にはいっせいに棄民するつもりなのだ
あの満州国が最後にやったように


ファンレターさまの紹介

 日本はいつから軽老の日に

長寿国日本は、いつの頃から老人を敬うのではなく軽視するようになったのでしょう。日本経済を支え、社会や家庭で汗水を垂らして働いて下さった高齢者の方々を敬い、今度は次の世代が恩返しをするように働き、介護をするのが理想的なのでしょう。しかしその均衡は壊され、老人も死ぬまで働いて自分の食い扶持を稼げ、動けなくなったら自分で自分の最期は責任を持てと政府から圧をかけられるような現状になっていると感じます。こんな国では長生きすることが悪であり、不幸なのだと思わずにはいられません。古いエアコンのように、老体に鞭を打って涙と汗を流し壊れるまで酷使される。自分もいつか同じ目に遭うのかと考えると不安です。私は体力に自信がないので、早い段階で困ることになりそうです。健康年齢は個人差が大きいので平均寿命で区切られてしまうと、多数の老人難民のような人達で溢れかえるのではないでしょうか。長生きして良かったと思える国にして行かなければならないと感じました。



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