平原の上

文字数 501文字

起こした鳥が突き破っていく
地下水の迷路に迷う、月の光を求めて
部屋は束縛した、自由の輪郭なのに
感情がうろついていて、離れることはなく
本棚が、選んでいく、それに囚われて
時間は先へと向かっていった
そこにあるはずの幻覚に導かれて
狂った過敏がようやく、閃光を放つ
疲れ果てた机の上のノートに記した
未知の青空を絵の具で描こうとした筆跡
漂う点線に広がっていく風景が、
大地が燃えているのを眺めて、
そんなに簡単ではない数式だと思いつつ
曖昧な記号の中に沈んでいく
青く色が変わる水は、様々な反応を引き起こす
どこかで絶望した動物が、取り出すのも
同じ形のものかもしれない
椿が咲いた花の道を歩く
悲し気な声が霧散していくのを
テーブルの上の蜂が見ていた
いったいどんな感覚なのか、理解できずに
ただそれが終わりへと向かっていった
歩き出したのは、空中に漂う粒子の
果てに見る地続きの平原で
そこに当たり前に家族が並んで、
それすらも限定されているような気になる
蝶が舞っていて、助けを求めているような
それすらもいずれ猫に変わるから
だから、果てしなくこれは起こり得る
いつか見た画面の中の
死んだ亡霊が告げているのも
それは同じことかもしれないと
回想している

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