現状のまとめ  

文字数 3,896文字

ある昼下りの情事、私は電車で知人の家に向かった。
田舎でも都会でも無い場所、言わば「半都会」
そんな所にある一軒家。
私はLINEで「ついたよ」と送ると、すぐに玄関のドアが開いた。
知人の名前は『田下(仮)』、私の作家仲間だ。
ソファに座り、机に置いてあるお茶を飲み、話を切り出した。
私「それで、自分の小説の件なんだけど」
田下「ケルベロスじゃない方の?」
私「そう、それで気付いてると思うけど、アレって実は関連性があるんだよ」
田下「なんだっけ?『山上広谷』だっけ?」
私「そうそれとか、『しうおに』とか『山蹴さんのブログ』とか」
田下「気づいてたけど……それがなに?」
私「私がまとめてきたサイト、書き込み、ブログには絶対に隠されたストーリーがある」
私「だから私がまとめてきたサイト、書き込み、ブログを考察してこのストーリーを見つけ出す」
田下「……ふーん……分かった」
田下はタブレットを取り出し、私の小説を映す。

田下「まずは、ヤマカミンのヤツからだな」
スクロールし、読み終える。
田下「…………ブログだけ観れば…頭がおかしくなった奴が愚痴を言うだけのブログだが……」
田下「下の文を観れば…………ふーむ………」
田下「一番最初の話だからか隠されたストーリーっていうのは無さげだが……」
田下「この"働いていた場所"っていうのが気になるね…」
私「私も」
田下「環境は劣悪……仕事内容もかなり……だなぁ…」
私「そして働いていた場所だと思われる写真…」
田下「トンネルか?」
私「多分トンネル」
田下「……まだ、よくわからないな、次の話だ」









田下「呪いの写真を普通に公開するなよ…」
私「ごめん…」
田下「まぁ…このブログ、簡単に言えば……『何か裏がありそうな村の凄い怪しい祭りで楽しんだ!!!』だな」
私「そうだね」
田下「…………………写真は見るとどうなる?」
私「『しうおに』と『親父について』の反応からして、ガチモンだから、絶対に見ないほうが良い」
田下「そうか……」
田下「……このブログの最後にある『用語解説』はお前が?」
私「いや、ブログに書かれてた」 
田下「山蹴っていう奴はこの『用語解説』を書いている時にどんな気持ちだったのかなぁ?」
私「多分……いや確実に正気の沙汰では無かっただろうね」
田下「なんで?」
私「この『親父について』で書かれてる」
私「写真は見ないでね」




田下「山上広谷と山蹴は親子関係…?!」
私「自分もこのブログを見つけた時は驚いたよ、本当に」
田下「てことは山蹴真吾郎って名前は噓ってことか、この時代と年齢を考えると本名じゃないのはなんか珍しいな」
私「そうだね…」
田下「だが、母親は?」
私「確かに、山上広谷さんの首吊り死体はお母さんが発見したって…」
田下「親子そろって自殺か……縁起悪いな」
田下「母親も可哀想だなー」
私「…………………」
田下「そしたら…次は…これだな?『行方不明者』のヤツ」
私「これねぇ……」




田下「なんだこれ…?創作か?」
私「いや、本当に某ホラーサイトに書いてあった」
田下「ん?なんだ?やっぱり創作じゃないか?」
私「いや、実はさ…」






私「この尾野卓三っていう人の行方不明情報サイトは実際にあるんだよ…」
田下「え?」
私「つまり実際に行方不明になっている人が載っているサイト情報を改ざんしてホラー作品にした
田下「マジか…」
私「ヤバいよね…」
田下「……だけど…なぜ…?」
田下「……………まぁ…とりあえず…次の話を……」
私「うん、そうだね…」
田下「次は……『神奈川県横浜市一家四人殺人事件』か…」









田下「4人…?」
私「うん、確実に殺害されてるのは、謙介さん、咲さん、日杉さんなのに神奈川県横浜市一家四人殺人事件っていうタイトルになってた」
田下「この事件って他のサイトとかだと、どうなっている?」 
私「横浜一家殺人事件横浜市三人殺人事件っていう事件名になってる」
田下「神奈川県横浜市一家四人殺人事件っていう事件名なのはこのサイトだけか……」
私「この事件名で検索してもこのサイトしか出なかったし」
田下「これってさ…「おれがころしたよ」ってコメントした奴と投稿主が同じじゃないのか…?」
私「………あっ…」
私「妹を殺したのを知ってるから四人に?」
田下「その可能性が高い………まぁ…ただの誤字かも知れないけど」
私「次は『しうおに』だね、これも写真は見ないように」








田下「……………反応からして……おかしくないか?」
私「え?」
田下「『山蹴のブログ』と『ヤマカミンの親父について』からすると…あまりにも呪いの効果が早くないか?」
田下「山蹴は写真を見てから猶予はあったようだが……この『しうおに』では一瞬で全員が狂った」
私「確かに…!全く気にしてなかった…!」
田下「これってさぁ……スレ民の一人が言ってた『御祓い』が関係してるんじゃ…?」
私「呪いがもっと強くなった…?」
田下「それと…『伏せ字』と『餓鬼草紙』………これもこのサイトに?」
私「そう、伏せ字は管理人がやったらしい」
田下「そしてもう一つ、山蹴真吾郎のブログが結構知られているという事」
私「うん、この『█████の███で███の回の時のヤツ』は『山蹴慎吾郎のブログでわあおにの回の時のヤツ』かな?」
田下「多分そうだと思う」
私「まぁ…でもこの隠されたストーリーの中心部分は『しうおに』だな…」
田下「いつか八荘村に行ってみたいなあ」
私「次は…『末路、末路、末路』…」







田下「胸糞が悪いなぁ…」
田下「だけど、急にアメリカの銃乱射事件…?」
私「この被害者を名前を見て」
『被害者(Ⅴ)(29)山上浩二郎『末路』 左腕、肺 5時間後死亡 もっと苦しめ』
私「そして」
『⬆こいつら全員死んだんだぜ?ざまあねえだろ、特にお前、ははっ、死んだ事きかされたとき嬉しくなって叫んだよ、オレとは違ってアメリカの超優秀高校で教師だって?反吐が出る。
そのまま、汚ねぇ土の中で苦しめ、地獄に落ちろ、くずが』
私「これってさ、ハッキングして文章を変えたのってさ…」
田下「山上広谷……」
私「でも、この記事がハッキングした時にはもう山上広谷は自殺してる……」
田下「関係は無いのか…?」
私「でも、この口調とデリカシーの無さ……………あまりにも山上広谷に似ている…」
田下「てか、このハッキングした人物が本当に山上浩二郎氏に悪意を向けたのか?他の被害者じゃないのか?」
私「山上浩二郎氏に向けたよ、証拠に他の被害者よりも私怨があるからね」
田下「

………か」
田下「ならヤマカミンのブログで暴言を吐いたのは山上浩二郎氏に?」
私「いや、ブログでこんな事言ってるから別人だと思う」
『あっそういえば【████】さん?お母様が突然倒れて、危篤状態になったらしいですね?』
田下「確かに…広谷の母は

したから危篤状態では無い…」 
私「うーん……じゃあ…次…『無限のひろば』」









田下「湶陽は集修行をしていた…」
私「これが1代目か2代目か分からないけど無限のひろばは『しうおに』になんか関係がある…」
田下「そしてもう一つ『合蘇禾福業流し』…」
田下「業を流す理由は分かるけど……なんで福まで?」 
私(『義当名』4人……『ユウ』1人………)
田下「なんで4人も司祭…?」
私「あっ、いや…え…」
田下「どうした?」
私「4人でやる儀式になんか……既視感が…」
田下「なんだ?」
私「自分が聞いた怪談で一番怖かった怪談………


田下「あっ…」
田下「いやでも…ユウも含めると5人……」
私(ユウ…ゆう………幽…?)
私「ユウって……幽霊じゃない?スクエアで現れる幽霊を担当する役割が…ユウ」
2人の空気が凍り付く。
私「…幽霊として召喚するほどの人物?」
田下「1代目湶陽様…」
私「その正体が宮尻乾二……」 



私「………………ねぇ……話は変わるんだけどさ」
私「白辺東太郎が近江山鉄に殺害された件」
田下「…普通に考えればこの無限のひろばという組織は悪徳商法をやってて、それを恨まれて殺された………だけどそんな単純では無さそうだ」
私「この近江山っていうヤツ、経歴を調べてみたら東大卒で東大の教授だぞ」
田下「ホントだ、Wikipediaの記事にもなってる」
私「2028年に出所予定………」
田下「うーん…これだけじゃなぁ…」
私「最後にまとめるか…」







田下「まずはこういう感じか」
私「うん、そだね」
田下「じゃあ自分らが出した考察をまとめよう」
_________________________
①神奈川県横浜市一家四人殺人事件という名で記事を公開した人物とコメントで「妹はおれがころした」と書いていた人物と同一人物説
②無限のひろばが行っていた"儀式"は怪談のスクエアと同じ説
③山蹴氏が撮った"呪いの写真"は"御祓い"によって呪いが濃くなった説
_________________________
田下「これぐらいかな?」
私「御祓いねぇ…」
田下「まだ考察はできないなぁ…」
私「でも一つだけ明確になった事がある」
田下「なに?」
私「山上家がこの隠されたストーリーの鍵になる事」
私「山蹴氏はこの隠されたストーリーの中心のしうおにをネットに広め」
私「山上広谷氏は隠されたストーリーを考察する材料になる、愚痴、謎を遺した」
田下「じゃあ今度、山上家に調べるか?」
私「うん、私は山上広谷氏の母親にコンタクトをとってみる」
田下「それじゃあ…御開きかな?」








この後、自分は電車に乗り、家に帰った。









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