文字数 330文字

赤電話に走らなければならないかもしれない。密告者(タレコミ糞バスタード)と呼ばれても。

 お尻が逃げていく。お尻だけの姿で。
 ロングのウェイヴィーな髪のかかった背中も長い脚も闇に溶けこんだように、丸いお尻だけが逃げていく。
 あの娘だろうか。
 ずっとぼくがあこがれていた彼女だろうか。
 これまで見たこともないお尻だけで、あの娘かどうか判断するのは難しかった。
 でも、彼女のような気がしてならない。
 この、ぼくの前から逃げ行こうとするお尻は、彼女のものだろう。
 いままで見たことのないお尻だ。
 それをぼくは現実に目にしているのだ。夢のような気持ちだった。
 現実って、夢のようなものなのだ。
 「こんなこと現実にあるわけない」とおもったときこそ、現実のまっただ中なのだ。
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