画図百目鬼夜行

文字数 819文字

 



◎ 画図百目鬼夜行【 拾壱 】


■ 鬼門陰陽流古武術
  巌断(いわおだ)



『 拾の戦 ≪ そういう役の男 』より。

 鬼門陰陽流古武術、独自の投げ技である。

 対象を肩の上に仰向けに担ぎあげ、両手で顎と太ももを掴んで弓形(ゆみなり)に背中を反らせるプロレス技『アルゼンチンバックブリーカー』に似た体勢をつくる。そうして、頭から地面に落下させるのである。この際、顎に掌を添え、押しつけるようにして落下させることで、対象の頭頂部(テンプル)に甚大な損傷を与えることを目指している。

 難しいのは、対象の右腕を脇に絡ませること。よって、担ぎあげる前の攻防として右腕の捕捉に重点が置かれ、充分な組手の技術も要される。鬼門陰陽流の中でも特に豪快な、見映えのある殺人技だが、組手の技術の他、対象を不安定な体勢にして担ぎあげるバランス感覚、投下するタイミングなど、繊細な技術がなければ完成させることはできない。




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◎ 画図百目鬼夜行【 拾弐 】


■ プロレスリング
  D.D.T.



『 拾の戦 ≪ そういう役の男 』より。

 正対する対象の頭部を片脇に抱えこみ、そのまま尻餅をつくように後方へと倒れ、対象の頭部を地面に叩きつけるプロレス技。有効的な返し技が少ないとされ、プロレス界ではしばしば重宝されている。

 ジェイク・ロバーツが開発したとされ、氏曰く、殺虫剤のDDT(Dichloro Diphenyl Trichloroethane)に由来するとのこと。さらには、ダブルミーニングとして、ペットのニシキヘビの名前による『ダミアンズ・ディナー・タイム』であるとする説もある。ちなみに、プロレス実況解説者の(つじ)よしなりはDDTのことを「リング上の殺虫剤」と、また福沢ジャストミート(あきら)は「プロレス人間殺虫剤」と形容した。

 日本では、故・橋本真也(はしもとしんや)を筆頭として、天龍源一郎(てんりゅうげんいちろう)大仁田厚(おおにたあつし)などが得意としている。派生技も数多くあり、プロレス界をリードする技のひとつであるといえよう。



 
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