6-7 逢瀬

文字数 914文字

 なんてこと……お兄様はご存知だったんですか!?
 ああ……。だからなんとしても星弥(せいや)は目覚めさせなければならない
 馬鹿を言うな、皓矢(こうや)!この子はその為に生まれた子だ!


 実験は成功しようとしているのに!

 お祖父様!星弥(せいや)の実験は凍結したはずです!


 この子には普通の人生を送る権利がある!

 では、その凍結を今ここで解除する


 ウラノス計画は再び動き出すのだ!

 お願いします!星弥(せいや)だけは見逃してください!


 萱獅子刀(かんじしとう)を使わせてください、因子の沈静化を図るんです!

 ……あまり失望させるな、

皓矢(こうや)


 そもそもあのレプリカは(ぬえ)化を促すためのものだ。逆の用途に使うなど言語道断!

 そうして机のボタンを押しながら怒りに任せて叫ぶ様は鬼のようで、それまで必ず余裕を垣間見せていた詮充郎(せんじゅうろう)はもうどこにもいなかった。
 ついにこれを使う時が来たのだ……
 詮充郎(せんじゅうろう)は後ろに現れた棚から萱獅子(かんじしとう)刀を取り出し、その刀身を引き抜く。鈍く光る刃には非情な鬼の姿が映っていた。
 力を持たないお前が使えるのか?それは呪具なんだろ?
 案ずるな。私にはこれがある
 ──!!
 それは?
 銀騎家(しらき)に代々伝わる家宝、

幽爪珠(ゆうそうじゅ)──その成れの果てだ


 これには我が息子がこめた術式が施されている。私でも扱える、な

 そんなことが?考えられない、呪力なしに発現する術なんて──
 皓矢(こうや)よ、お前の父は偉大な陰陽師だったのだ


 その血を引いているお前が、小娘一人の命乞いなど恥を知れっ!

 お祖父様──
 皓矢(こうや)、結界を張りなさい。これから偉大なる(ぬえ)が顕現する
 お願いします、お祖父様……


 星弥(せいや)を、星弥(せいや)を──

 この腑抜け者めが
 ──承知致しました
 入口付近で控えていた佐藤は短い返事とともになんの前振りもなく、素人の(はるか)蕾生(らいお)にもわかるような堅牢な結界を部屋中に張った。
 佐藤さん、あなたは──何者なんですか!?
 わたくしは博士の忠実なる(しもべ)でございます
 さあ、始めよう!(ぬえ)との逢瀬を!
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登場人物紹介

唯 蕾生(ただ らいお)


15歳。男子高校生

怪力なのが悩みの種

九百年前の武将、英治親の郎党・雷郷の転生した姿


周防 永(すおう はるか)


15歳。男子高校生

蕾生の幼馴染

九百年前の武将・英治親の転生した姿


御堂 鈴心(みどう すずね)


13歳。銀騎家に居候している少女

英治親の郎党・リンの転生した姿

永と蕾生には非協力

銀騎 星弥(しらき せいや)


16歳。高校一年生

銀騎詮充郎の孫で、銀騎皓矢の妹

鈴心を実の妹のように可愛がっている

永と蕾生に協力して鈴心を仲間に入れようとする


銀騎 皓矢(しらき こうや)


28歳。銀騎研究所副所長

詮充郎の孫

銀騎 詮充郎(しらき せんじゅうろう)


74歳。銀騎研究所所長

およそ30年前、長らく未確認生物と思われていたツチノコを発見、その生態を研究し、新種生物として登録することに成功した


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