第3話(7)

エピソード文字数 1,137文字

「その人――ああいやっ。その方々は、オマエのお知り合いか?」

 僕の予定をぶち壊してくれた男――ああいやっ。坊主が素敵な帯町は、レミアにビビって言葉遣いを丁寧にする。
 この子って見た目は、冷酷な魔王様だからね。朝と放課後に道路で立ってる時も、通行人さんがビクビクしてましたわ。

「こっちの三人は俺のダチであり、麗平さんの遠い親戚なんだよ。そんで三人は夏休みで遊びに来てて、折角なんで学校紹介をしてたんだ」

 我ながら、ナイスな言い訳である。
 遠い親戚――。ソレを証明しろとは滅多に言われないので、皆さんも説明に困ったらお使いください。

「あー、そういうことか。だがうちの顧問って、校則に厳しいかんなぁ。許可を取ってない人は、知人でも入れない方がいいぞ」
「そ、そうだな、忠告あんがとう。……ところでさ」

 ここでボクは、すかさず話題を変える。

「そっちは、朝早くどうしたの? 今気が付いたけど、朝練ってもっと後だったでしょ」

 本来なら、登校はもう少しあとのはずだ。どうなってるにゅむ?

「それが顧問が張り切っちゃって、今週は早まってるんだわ。おかげでオレは、始発に乗る羽目になったんだよ」

 く、柔道部顧問め……! 自分の都合で可愛い生徒を振り回すんじゃない! お前のせいで、電車通学の帯町は苦労してるんだ! 教育者なんだからもっと俯瞰しろや!
 って、八つ当たりをしてみた。

「ぅーん、帯町も大変だな。どうにか部活を頑張ってくださいな」
「あいよ。柔道部には口が軽いヤツが多いから、早めに出た方がいいぞ」
「りょーかい。またなー」

 俺は笑顔で学友に手を振り、お見送り。そして彼が見えなくなった途端、はぁーーーーーーーーーーーーーーーーーっと大息を吐いた。

「お聞きになった通りで、作戦続行は賢明じゃない。俺と麗平さんが休み時間と昼休みに捜索するから、そこで見つからなかったらレミア達は放課後参戦してくださいな」
「セキュリティーが厳しくなったら、九月から大変になるものね。私達は屋上で見守っているわ」
「ゆーせー君活美ちゃん、ファイオーだよっ。あたし応援(おーえん)してますーっ」
「わたくしめも、屋上より声援を送らせて頂きます。御迷惑でなければ、糧としてください」

 すんごいな、サクは。援護も謙虚だ。

「黄村クンの声援だって、力になりますわ。色紙クンっ、なんとしても放課後までに見つけてやりますわよっ!」
「そうだね。ちゃっちゃと発見して、のほほんと過ごそう!」

 俺と麗平さんは、気合を注入。共に高々と拳を振り上げ――「二人仲良くは許せないわ」――とやっぱりシズナも混ざって拳を振り上げ、一先ずいつも通りの生活に戻ったのだった。
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

リリウ 神様


願いを聞き間違えて、優星を魔王使いにしてしまった神様。

神様の世界で流行しているゲームに夢中で、神様のお仕事はほとんどしない。

とってもダメな、神様(?)な神様。

麗平活美 16歳の少女


ストロベリーブロンドのドリルヘアーが特徴の、優星のクラスメイト。

お嬢様然とした容姿で気品があるように見えるが、非常に活発。実は……。

空霧雲海 16歳の少年


頼れる兄貴系の容姿と性格を持つ優星の同級生であり、悪友であり、重度のオタク。

作中に登場する名曲(迷曲)を作った人。

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