最強の三人

エピソード文字数 1,740文字


 彼らは試す。人を、その心を。



 彼らは選ぶ。人を、その世界を。



 私は笑う。人と、この世の全てを!



 人々はやがて知ることになる。世界の真実を、その形を。そう、逃れられぬ慟哭と悲憤の中で。



 人はたやすく死する。それでも人の世は続いていく。だが、もう終わりにしよう。そんなものはもはや……いや、最初から必要なかったのかもしれない。



 だが一つ、人々に光を授けよう。彼らの意志を示せる光だ。



 私は待っている。永い永い静寂の中で。



 期待など無意味と知りながら――。


魔異蹴堕愚羅巣(まいけるだぐらす)高校 1年128組

中学では敵なしで、誰もが認める最強の三人組がいた。

その強さは街中に知れ渡り、三人のうちの一人、梗の右腕と背中にある、タトゥーのような火傷の傷痕をちょいと見せれば、それだけで誰だろうと恐れをなして逃げた。

さて、入学早々この学校もシメてやるぜ! ということで番長をさがして三人がうろついていると、それらしきいかにも悪そうな上級生が数人引き連れ廊下を歩いていたのだった。

「おい、あんた番長か?」

普段は真面目メガネの花寺飛燕(はなでらひえん)が質問した。彼は頭が良いがメガネをとるととたんに凶暴化して強くなる。

「いえ違いますけど」とヤンキー。

「あ、すみません」と飛燕が謝る。

どうやら全然ちがったようだ。

さすがはマイケル高校。番長と見間違えるほどワルソーなやつらがうようよしている。どいつもこいつも悪人面だ。ほんとうになんてひどい高校だろうか。

しかし三人は懲りずに探し続ける。

今度はもう一人の梗の仲間、椹木日馬(さわらぎはるま)が190センチのプロレスラーのような巨体でビビらせるようにきく。

「おおい、お前、番長か!?」

「いえ、だから違いますけど」と、さっきのヤンキー。

なぜ違うと言っているヤツに聞き直したのかは謎だが、日馬は単純だから仕方がない。

ううん、しかたがない。ここはオレがちゃんと仕切ってやることにする。と梗。

「おい、この人は番長じゃないって言ってるだろ。お前らいい加減にしろよ迷惑だろ。どうもすみませんね」

「いや大丈夫ですよ。気になさらずにどうぞ」とヤンキーのくせに物腰柔らかだ。

「で、お前が番長だな?」と、もう一度聞き直す。

「だから違うって言ってるでしょうが!」

めっちゃ怒った。

この人はヤンキーだけど口調だけは紳士風なので゛言葉遣いだけ紳士風ヤンキー゛と呼ぼう。

「いや、ほんとすまなかった。お約束だからさ。で、俺たち番長を探してるんだけど知りませんかね?」とへらへらする。

「なるほど、人を探してるんてすね、おもしろい。それじゃあ教えてあげても良いですけどタダというわけには行きませんな」

と言葉遣いだけ紳士風ヤンキーがほくそえむ。

「なるほど……」と梗も笑う。

やはりヤンキー高校、求めるものはケンカか金のどちらかだ。

「見たところあなたたちはとても強そうですね。どこの中学からこの高校にきたのかは知りませんが、ひとつお手並み拝見といきましょう。私の部下であるこの三人を倒せたなら……」

との説明もつかの間、梗たちは一瞬でそいつらを倒して見せた。

「えっ……」

呆然とする目の前の言葉遣いだけ紳士風ヤンキー。

「どうだい? 教えてくれる気になったかな」

「は? い、いや……く、くそう……。い、いやだ……こんなことをされて……絶対におしえてあげるもんですか! いや、むしろ教えるなんて言ってない! 倒せたならそれはそれですごいなあ、って言いたかっただけだから! こんなやつら俺でも倒せるし! よゆーでね!」

なんかゴネだした。

「どうすんだよこれ」

飛燕がいう。

「シメて名を売っとくか」

その言葉に皆が賛同した。ならばやることは一つ。

殴る!

「げぺらっ!」

梗たちは言葉遣いだけ紳士風ヤンキーを粉砕した。

いっちょ上がりだな!

「この調子でテキトーにやっつけていれば目立つし、そのうち番長の方からでてくるだろ。俺たちはつええ! この学校も余裕でシメられそうだ」と息巻いた。
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