第2話 後攻の愚痴

文字数 716文字

姪がマザーストレスを発散した翌日、お昼ご飯を作ろうと部屋から出たタイミングでチャイムが私の鼓膜を揺らす。
「来たな。」
私は独りごちながら玄関の扉を開ける。そこには、、、
そう昨日愚痴に来たJKの母親であり、私の姉でもある貴子がいた。
「昨日も娘がお邪魔してごめんねぇ〜」
謝る気がないことが分かるような語尾を付け、娘よりも重たそうな身体を操ってドカドカと私に先行してリビングに入る姉。
そしていつも娘が来た翌日に決まってうちに来る。なんなんだこの母娘は、、、
「麦茶で大丈夫?」
「うん、ありがと〜。この部屋はいつ見ても変わらないねぇ〜」
あなたの娘は麦茶を用意してくれたぞ、、、とちっちゃい不満がひとつ溜まる。
「私の部屋のことはいいの。どうせお姉ちゃんときさらちゃんぐらいしか来ないんだし」
「あの子どうせまた私の愚痴言いに来てたんでしょ!」
急に語尾がはっきりしてきた。
昔のなんでもゆったりな姉から急に母親の顔を見せるこの瞬間は、なんとも堪らない。
「あの子ったらいつもすぐ部屋に入って全然出てこないし、学校の話を聞いても空返事だし、声かけてくる時は決まって私をものすごい剣幕で罵ってくるのよ!先週だって、、、」
まだまだ愛くるしいJKの話はそれが愚痴でも、うんうんと聞けるのだが、ただのアラフォーに成り下がったおばちゃんの愚痴は面白くないな。それが血のつながった姉だとしても。

「夕飯の準備しなきゃ!」
娘の愚痴から夫の愚痴までたらふく発散し切ると、
もう満足したらしく、そそくさと帰り支度を始める。
「またいつでもご飯食べにきてねぇ〜」
母親から姉へと戻り、「じゃあねぇ〜」と言いながら帰ってった。
よし。これで今週の私の副業は終わった。お金もらってないけど。
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