第三四話 売上急増!

エピソード文字数 1,303文字

申し訳ありません、ただいま魔法剣スリーパーの在庫が、展示品の一本しかなくなってしまってるんです……! 工房のほうで鋭意製造中ですので、次の納品までもう少しお待ち頂けませんか?
展示品を売ってもらうわけにはいかないのかな?
当社でも販売の都合上、展示品まで売却するわけには……。
じゃあ次の納品には確実に買えるの?
ただいま4名の購入予約者がいらっしゃいます。月末に6本の完成品が上がってきますので、今申し込んで頂ければ、たぶん月末のお引き渡しで大丈夫かと思うんですけど……。
たぶん……ってどういうことなのさ。来月頭の息子の成人の儀式のときに、魔法剣スリーパーを贈ろうと思って奮発するつもりなのに。
困るんだよ、そんな曖昧なこと言われたんじゃ!
ひうっ……。ゴメンなさい……! なんとかしてお客様に――
お客さま、当社としても、可能な限りお客さまのご要望に添いたいと考えております。
ただ、魔法剣スリーパーのような高額商品の販売にあたっての業務の流れをお伝えいたしますと、まず納品があったあとに当社のほうで品質チェックを行います。品質チェックの第一段階としては、まず私とこちらの勇者のほうで、剣としての基本性能、およびサイズの計測などの過不足の確認をいたします。そののち、当社社員である魔導師が、二度にわたって入念に一つ一つの魔法力を計測している次第でございます。それらテストに合格した商品だけが店頭に並べられ、お客さまと契約を交わしたあとにお引き渡しということになっています。
そんな面倒なことしてるの? 普通、武器ってモノさえ見れば別に……。
魔法剣を扱ったことのある方でないとなかなかわからないことなんですけど、なにぶん魔法を封じ込めた特殊な商品だけに、納入時の段階でバラつきがあるんです。ただし当社が万全を期して品質チェックした製品でしたら、長い間お客さまの貴重な冒険のお供としてお役立て頂くことができると思います。
この魔法剣スリーパーは『ドリームアームズ』だけが扱う新ブランドということもあり、しっかり品質保証をしています。素材部分に関しては通常の聖鉄製武具と同程度、睡眠作用に関する耐用年数は10年程度となっており、高額商品ではありますが、十分に金額に見合う製品になっていると考えております。
そこまでやってくれているんなら、奮発して購入する甲斐があるってものだ。まさか魔法剣がこんな価格で買えるとは思ってなかったから、冒険者を目指してる息子にぜひとも贈りたいんだ。ただ問題は成人の儀式だよ。今日予約していくから、なんとか間に合わせてもらえないかね?
………………。
………………お客さま、かしこまりました。
万が一、もし本当に万が一、お子さんの成人の儀式に間に合わないときは、当社が責任を取って展示品をお譲りいたします。
えっ? でも展示品って中古じゃあ……。
ご安心を。展示してある商品は、実は最も封じ込めている魔力が高く計測されている一品なんです。これからも展示品として活用していく予定でしたが、せっかく大切な成人の儀式に間に合わないのは当社の問題ですので……。
そ、そうなの? いやそれならむしろ展示品が欲しいんだが……。
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登場人物紹介

勇者

剣技・魔力ともに秀でた有数の戦闘技術の持ち主。幼いころからその力は有名で、王国政府から懇願されて魔王討伐の旅に出た。
心優しく、単純な性格。誰に対しても丁寧で、魔王にすら謙虚な姿勢で臨む。

魔法使い

まだ年若いにもかかわらず、王国魔法協会で最高の魔力の持ち主。勇者を護衛するメンバーとして王国魔法協会から派遣され、最も早くからパーティーに参加した。ギャンブル好きで、大都市にくるとカジノに入り浸る。

僧侶

教皇庁の特殊工作員。教皇庁の思惑から勇者パーティーに派遣され、魔王軍攻略に参加している。
ゾンビ30体を同時召還し使役することができるほどの驚くべき魔法力を秘め、その実力は魔法使いを上回る。タイマン勝負でも、愛用の聖鉄製大型ジャッジガベルを振り回し、戦士を圧倒する実力をみせる。表向きは清楚な女性に見えるが、パーティー内での戦闘力は、実のところ僧侶が最も高い。

戦士

ツワモノ揃いのパーティーメンバーのなかで、唯一の庶民的能力。
苦学生で、生活費を稼ぐために、冒険者ギルドに所属して時々バイト活動をしていた。あるときダンジョンに挑む勇者パーティーにポーター(鞄持ち)として雇われる。最後に加わったメンバー。
正式には今でも冒険者バイトだが、数字や法律に強く、パーティーの知能を担っている。すでに古株になってしまっており、最後まで同行しそうな雰囲気である。

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