「冷蔵庫の中身って家柄が出るよね」
文字数 806文字
戦闘に入ることなく、なぜか部屋のど真ん中でちゃぶ台挟んで正座することになった魔王と勇者。
お茶のお代わりまでやってくる待遇の中、突如緊張に絶えきれなくなった魔王が席を立ち走り出す。
慌てて追いかけた先はカーテン奥に隠れた質素な扉。
その先で待ち受ける舞台裏とは。いつになったらＲＰＧらしくなるのか。
冷蔵庫の密度はなぜあんなにも家庭によって違うのか。
ん。
茶はもういらん。
青汁。
尚更いらん。
やー、ビックリっしょ。隠された扉の奥が一般家庭のダイニングルームみたいな感じなんて。
向こうのカウンター奥はキッチンになってるんすよ。
生活感に溢れているな。
オレらも食事しねーとやってらんねーんで。
おい、ナイトメア！談笑してないでこちらを手伝え！
魔王、落ち着け！んなことやっても頭に頭痛起きるだけだっつーの！
今この瞬間、モンクさんの教養の無さが露呈しましたね。
魔王はそこにいるんだな。
特に動く気のないドラゴン使いの少女の横を通り過ぎ、勇者はナイトメアに続きキッチンへ向かう。
腰に携えた剣の鞘に手を伸ばし、今となっては雑魚同然の四天王もろとも葬ろう。そう、思った矢先だった。
魔王ー、冷蔵庫に頭突っ込んでもしょーがねぇだろうよ。
お風邪を召されてしまいますよ！ほら、落ち着いてください！
どういう心境なのかすげー気になるっすわ。
……何をやっているんだ？
精神分析。
精神分析初期値は……１％…………ボクのダイス目では………………。
魔王様！しっかりなさってください！！
斬っていいか？
てめぇには血も涙もないのか！！
今日のところは帰ってくれ！これでは戦闘前のイベントすら始められません！
下手するとバグりそうっす。
それは困るな……。
帰るなら、これ。
クッキー……。
あげる。
魔王様！私は精神分析とってます！ですから、どうかSAN値の回復を！
８０とってると仮定して、
１ｄ１００→６１で成功。
１ｄ３→１だから１点回復っす。
なんでオマエが振ってんだ？
…………帰るか。
